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白髪の旅人  作者: らくしむす
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黒山羊

ふとアスカは気付き、フレイに再度質問した。


「パンドラ教会がそこまで「自然」を説いてるなら、、フレイさんは「神」に身を捧げる意味はないんじゃないですか?」


「単純に私が捧げたいと思っただけなんです。

「パンドラ教会」の中でも「修道女」の格好をしていたのは私くらいでしたしね。

神に仕えなくても何かあるわけではないし、仕えたとしても何も無いんですけどね。


ただそうしたいと思ったからそうしただけです」


「それじゃぁ、何故そんな寛容な教会に属していたシスターさんが、「黒山羊教団」を潰す気なんですか?」


そう言うアスカの目は、闘いの中で時折見せる鋭いものになっていた。


「・・・ただそうしたいと思ったからそうしたいだけです」


「・・・」


「・・・」


3人の間に沈黙が走る。


「じゃあ質問を変えます」


沈黙を破ったのはアスカであった。


「パンドラ教会は今どこにあるんですか?」


「・・・!」


目は見えずとも、フレイの動揺はミナミも感じた。


「アスカ、それってどういう・・・?」


「パンドラ教会については知らなかったんですが、名前は見たことありますよ」


「どこで?!」


アスカは懐からボロボロの地図を取り出し、ミナミに見せた。


「アンタそれ結局直してたの!?いつの間に!!」


「よくよく考えたら村長から貰ったものだったんで」


「今更か!」


ミナミはアスカが指差すところを見た。

一度紙吹雪の様になっていた為に、数カ所穴の空いた地図ではあったが、その重要な名前は載っていた。


現在バナデロが位置する場所から東に少し進んだ場所。

巨大な港町で有名な「ゴーウ」という国がある。

国としては4大国家には劣るものの、漁業が盛んであり、ワダツミからの海産物を大陸中に届けるための橋渡し的役割もしているため、それなりに大きく、歴史もある国である。


この「ゴーウ」の外れに「パンドラ教会」の名前は書かれていた。


「え?!パンドラ教会ってゴーウにあるの?!」


「いや、多分無いです」


そう言ってアスカは次に、昨日ガードンで買った最新版の地図を広げた。


「・・・パンドラ教会がない?!」


「行って見れば早い話だと思いますが、パンドラ教会は、少なくともこの最新版の地図が発行されるまでに消えているという事になります」


「あ、アンタ良く気付いたわね…」


「今回のクエスト内容が内容だったので、少し周辺の教会や宗教施設を見てたんです。

最初は最新版の地図を見てたんですが、少し違和感を感じたので、古い方を確認したら


ガードン周辺の教会や施設が、いくつか無くなっていたんです」


「宗教信者ってお祈りがどうとかで手近の教会に行ったりするから、地図にはちゃんと表記されてるものね・・・


アンタのその洞察力は何故最初に地図をもらった時に発動しなかったのかしら・・・」


実際のところ、

アスカが村長に渡された地図は、確かに古いものではあるが、とはいえ約20年程度前のものである為、

言うほど古くはない。


「・・・黒山羊です」


「「え?」」


「アスカさんの言う通り、既に「パンドラ教会」はありません。

2年前に西から来た黒山羊によって破壊されました・・・」


「西から来た・・・」

「黒山羊・・・」


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