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白髪の旅人  作者: らくしむす
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パンドラ教会

「それでアンタ・・・結局そのシスターの手助けをするってことぉ?」


宿屋からはそこまで離れていないレストランにて、アスカとミナミそしてフレイの3人は朝食を取っていた。


「まぁ現状僕たちのクエストは「黒山羊教団の調査」で、フレイさんの目的は「黒山羊教団の殲滅」利害は確かに一致していますし、呉越同舟というやつでしょう?」


「そこはいいのよ、協力者が居るに越した事はないしね?


アタシが言いたいのは・・・」


そこまで言い、ミナミはトーストを食べているフレイを一瞥した。

目隠しをしているが、視線に気付いたフレイは少し首を傾げた後、ハッと何か気付いた様にミナミの方を向いた。


「私の「女性のミリョク」にアスカさんがやられないか心配なのですネ!」


「違うわ!!」


ため息を吐いたミナミは、一度咳払いし、再度アスカの呑気な顔を見た。


「こんな成人もして無い様な子が、なんで1つの教団を潰そうとしてるかって話よ。

それに、この子自体「パンドラ教会」とか言うところのシスターなんでしょう?」


「正確には「元」ですよ」


「なぁらなんでまだシスターの服着てるのよ?」


「この服だと旅で便利なんです。

どの宿屋も、流石に無一文とは言え「修道女」を無下にはできないんだと思います」


口元のみとは言え、無垢な微笑みを見せるフレイに対して、ミナミの顔は引きつった笑みになっていた。


「こ、小賢しいわね…」


「ふふ。

正直なところ、私は一度「パンドラ教会」の神に身を捧げたのです。

なので、教会を出たとしても、神に身を捧げた証としてこの服を着ているのですよ。


…ちなみにお二人は「パンドラ教会」をご存知ですか?」


「アタシは知らないわ。アスカは?」


「僕も知らないですね?」


「では、私が「黒山羊教団」を敵視している理由も絡めて「パンドラ教会」についても説明させていただきますね」


トーストを食べ終えたフレイは、軽く口元を拭って話し始めた。


「この超大陸パンドラに私たちの文明が出来て、最初に出来たのが「パンドラ教会」になります。

パンドラ教の教えとして


「神は内外から見聞きし、時空に存在し、虚空に存在する。思われ、意識される事で神は存在し、思わず、意識しなくても神は存在する。神は全てであり、神は私である。」


というものがあります」


「「ごめん、全然わからない」」


眉間にシワをこれでもかと寄せた2人は、既に頭から煙でも出しそうだった。


「ふふ。

今のは神父の言葉を借りただけです。

意味はとても簡単で、

信じても信じなくても神は居て、命あるものも無いものも神は見守っている。

そして私たちの行動は「善行」も「悪行」も神はただ「見守って」いる。

という事なんです」


「ただ見守るだけなの?罰とかは?」


不思議そうな顔でミナミは問いかけた。


「そもそも「罰」と言う概念は神ではなく「人」が「法律」の元に作り出したので、神とイコールで繋げたりしないんです」


「じゃぁ「神の存在に近づくため〜」とか言ってやる事とかないの?」


なおも不思議そうな顔でミナミは言う。


「近づくも何も、そもそも「神」は何か行動して近づける様な存在ではないという考えなんです。

行った行動によって神に近づけるはずはありませんし、何かの修行で得た力は「神の力」などでは無く、それは努力の結果得る事が出来た、自分の眠っていた能力という事にもなります」


しばらく沈黙が流れ、その間にもミナミは「う〜ん…」と唸っていた。

すると次はアスカがフレイに問いかけた。


「なんかやたら自由なんですね「パンドラ教」は」


「自由…とゆうより「自然」を尊重している、という感じでしょうか。

時間は流れ進むものので、

時代が変われば「宗教」のあり方も変わるのがほとんどです。

私たちの教えは、その移り変わりさえも「神が見守っている」ので・・・。

あと「パンドラ教」ではなく「パンドラ教会」です」


「教会と教で何か違うんですか?」


「そもそもこの「教え」を宗教化していないんです。

神とは何かとゆう「教え」を伝える為にある「教会」…それが「パンドラ教会」です」


「え?パンドラ教会って「宗教」じゃなくて、本当に「教会」の名前なの?!」


「はい。なので「パンドラ教会」にとって「異教徒」なんて概念もないですし、「布教」なんて概念もありません。

ただ「神の存在」について教えてくれる「だけ」の場所です。

私はただそこに暮らしていたシスターと言うだけです」


「アスカ、アタシ限界」

「ごめん、僕もです」


そう言う2人の頭からは煙が上がってしまっていた。

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