赤い彗星誕生
Gネタはまだ続きます。
そんな話をしていたら、『白馬』前衛担当のもう1人、クワトロさんが声を掛けて来た。
アムロさんが、装備を新調する話をすると、
「アムロも俺と同じ事を考えていたのか。俺も前衛が敵の注目を集めて後衛の負担を減らせれば、と思っていた。俺の鎧は既に発注済みだ。真っ赤な鎧で、守備力も高いぞ。何より敏捷性を上昇させるボーナスが付いている。効果は、通常の3倍だ。」
「何だよ!そのブッコワレ性能は!貴様前回のクエストのドロップアイテム、敏捷のアミュレットを使ったな。」
「ブライトさんの許可は貰っている。パーティー全体の強化になるからな。」
「だったら、俺は以前ドロップした、強化のアミュレットの使用許可を貰ってくる。ブライトさんどこに行ったんだ?」
アムロさんが駆け出していく。
「アムロさんが白い悪魔なら、クワトロさんは赤い彗星ですね。」(プフフッ!)
「なんだ?そのカッコいい二つ名は。」
クワトロさん、思いっきり食いついて来た。この人も罹患していたのか、厨二病という病に。
「でも、それなら、パーティーネームは、『アーガマ』の方がしっくりくるかも。」
アムロとクワトロが共闘しているからね。
クワトロさんがサッと顔色を変えた。
「お前、何でその名前を知っている?うちのパーティーで、真名を他人に明かす奴は絶対にいない。だったら、お前にはそれを知るスキルか魔法かスクロールがあるのだろう。
確かにうちのパーティーの真名は、【ホワイトベース・アーガマ】だ。お前達『ナナシ』と同じ理由で、『白馬』を名乗っている。」
はあ?【ホワイトベース・アーガマ】って恥ずかしい名前なの?ウチは下町出身の二人が『エキなんとか』を名乗るのが余りに痛いから、名前を伏せているんですけど。
「先程の戦闘で、お前達のパーティーのアタッカーと同行した。シリルとか言う奴だ。
頭の切れそうなヤツで、ちょっと興味があったから、聞いてみた。
『何でお前のパーティーは『ナナシ』なんだ?パーティーネームに誇りは無いのか?』
するとヤツは余裕たっぷりの表情で、こう言った。
『本当に大切な物は、軽々しく口にしないものだ。』
それは、ブライトさんが俺たちのパーティーを初めて組んだ時の言葉と同じだった。あの時は桃の花が綺麗だったな。最初は俺とアムロとブライトさんだけだった。
『俺たちは、生まれた時と場所は違えども、今ここでパーティー【ホワイトベース・アーガマ】として、改めて誕生する。これからはパーティーの為に生きていくことを誓おう。死ぬ時は一緒だ。
しかし、生きていく間に、色々な誹謗、中傷、やっかみを受けることがあるだろう。俺には俺たちの誇り高きパーティーネームが貶められる事は我慢出来ない。』
『だから、通称として、《白馬》と名乗ろう。本当に大切な物は、軽々しく口にしないものだ。』
俺たちは自称で『白馬』を名乗っている。だがお前達はパーティーネームの自称すら無い。ブライトさんに呼ばれた『ナナシ』を受け入れている。よほどパーティーネームに高い誇りを持っているのだろう。」
何だか、壮大な誤解をされたようだ。三つの国を束ねるお話の、最初のエピソードみたいな壮大さだ。
「そこまで名前にこだわりを持っているお前に、改めて言う事もないだろうが、うちのパーティーの真名は秘密にしておいてくれよ。こっちもお前達の真名を知ろうとは思わない。
ただ、赤い彗星の二つ名は頂いた。いずれ世界に轟く名前にしてみせるぜ。」
あの、その名前だと、アムロさんと対立する事になっちゃう可能性が極大なんですけど。
まあいいか。この任務が終われば、もう会う事もないだろう。
俺は友達認定した人以外には、極端に薄情なのだ。
クワトロさん、武器を大砲に変えるのはやめた方が良いですよ。当たりませんから。
そろそろ通常運転に戻ろうかと。