お友達が出来ました。
評価が付くのって、本当にモチベーションになるんですね。
俺の力は無駄遣いされている。
「ツグ、次はこっちの下水道の詰まりを直せ。」
俺の力は200人力だ。パトロール中のオズワルドについて行ったら、下水道が詰まって困っている人がいた。
「オズさん。このぐらい簡単ですよ。」
俺は汚水の中に飛び込み、詰まっている所を優しく押した。
ブヒュヒュー
詰まっていた汚物は押し流され、下水道は綺麗な流れを取り戻した。
「凄いぞ、ツグ。一発で下水道を掃除出来るなんて!この村には下水道の詰まりで困っている所がいくつもある。お前を雇って良かったよ。これから全部、掃除に行くぞ。」
ブヒュヒュー、ブヒュヒュー、ブヒュヒュー・・・・・・
20回以上の下水道掃除をやらされた。
オズワルドもさすがに、5回目からは「まだ行けるか?」と聞いてきた。多分、俺が下水道掃除を魔法でやっていて、魔力が足りなくなると思って心配したのだろう。
でも実際には、単純な物理衝撃だけで、構造物を壊さないよう手加減するだけの簡単なお仕事です。
それでも、毎回ウ◯チの中に飛び込むので、俺のSAN値はガリガリ削られた。ウ◯チとSAN値、響きが似てるな。
毎回、作業が終わるとオズワルドが生活魔法の【クリーン】をかけてくれるのだが、SAN値まではクリーン出来ないよ。
でも、オズワルドが、「これでみんな清潔な生活が出来る。病人も死ぬ人も減る。」と呟いているのを聞くと、今はこれをやってやらなくちゃ、と思えてくる。
オズワルド、これだけ弱者の痛みを知っているって事は、本人自身大分辛い経験をしてきたんだろうな。
それでも、今自分ができる事をやろうと思える気持ちは素晴らしい。
いいよ。力の無駄遣いだけど、俺にできる事なら、全部付き合うよ。
「申し訳ない。これが今回の報酬の全てだ。」
目の前にはコインが置かれている。
銀色で、24枚ある。
「今回は正式な依頼を受けずに、勝手にクエストを行った。クエスト成功報酬は無く、依頼報酬しか貰えなかった。お前の手際のよさを見て、舞い上がってしまった俺のミスだ。」
「もし正式に依頼を受けていたなら、どのくらいの報酬があったのですか?」
「ギルドからの成功報酬だけで、1.5倍になっただろう。今回は俺のミスで、ツグの収益を減らしてしまった。さらに、場所を指示した以外、俺は何もしていない。通常の丁稚の取り分は10パーセントだが、今回は全てツグの取り分としたい。」
「は〜〜あ、何言ってるんですか。私は食事を保証して頂く代わりに、あなたの下働きをするだけの約束です。そんな報酬、受け取れませんよ。」
「メシ代以外は働きによって払うと言っただろう。ああ、それから、今日からこの家に住め。元貴族様とはいえ、俺の手持ち金では下女は付けてやれんが、ここまで来る手間が省けるだろう。」
「いえ、私はキャンプでも十分です。食事さえ頂ければ、住む所に文句はありません。」
「バカヤロウ。俺に文句があるんだよ。俺のダチ公が、キャンプで震えて寝ているなんて、俺には許せねえ。」
は、なんですと。
ダチコウ、ダチ公、お友達、夢のような響き。
一瞬意識を飛ばしてしまいました。
その隙をついて、オズワルドさんがまくしたてます。
「メシ代目当てについてきた奴。胡散臭い上に、強そうにも見えない。でも関わった縁もあるし、ちょっとの間なら面倒ぐらい見てやろうか。そう思った。でもそいつは、たったの1日で町中の下水道の詰まりを直しちまった。これで、病気になる人も減る。清潔な環境が病気を減らす事ぐらいはみんな知っている。でも、下水道の詰まりを直すのは、大変な仕事だ。地味な力仕事。作業中に病気に感染する人も多い。みんながやりたがらない仕事を、お前はたった一人で1日でやっちまった。お前は俺のヒーローだ。是非ダチになってくれ。」
・・・一人目のお友達ゲット〜〜