商売を始めました。
久しぶりに長くなりました
「でも、サリーダさんって受付係なのに随分と顔が効くんですね。(まあ、あのキャラならね)」
「ああ、アイツは趣味で時々受付もやっているが、本職はギルマスだよ。連合商業組合長でもある。だから滅多に受付で名乗る事は無いんだ。」
「そうだったんですか。確かにタダモノじゃ無い感は凄かったですが。」
「ほら、これで登録は済んだ。後はお前のサインを入れて完成だ。」
「ありがとうございました。改めて商業ギルドで登録してきます。」
「ちょっと待て、ついでに冒険者登録もしておかないか?何かと便利だぞ。」
「ああ、そうでした。私まだ冒険者登録もして無かったんです。出来ればお願いします。」
「今週の登録日は、と。おお、丁度明日だ。今予約を入れて、明日の昼にレクチャーがある。それで晴れてお前も冒険者だ。」
そのあと無事に商業ギルドにも登録し、無事に商売の許可を得た。
最初にするのは素材の売却だ。冒険者ギルドでも買い取りはしてくれるが、商業ギルドの方が条件が良いらしい。但し、カードのグレードが低いと、商業ギルドには登録出来ないそうだ。
やっぱり高級カード作ったのは正解だったね。数字的な決まりは無いけれど、なんか普通より上等な扱いだったみたい。なにせギルマス自らサインしてくれたからね。サリーダさんって、字は男っぽいんだ。
ダンジョンで集めた素材を商業ギルドに納品する。因みに、このカードって、アイテムボックスのキーにもなってるんだって。今までは、アイテムボックスの出し入れは誰にでも出来たけど、カード登録すると自分専用アイテムボックスになるそうだ。選択の自由さん、教えておいてよ。
「質問されていない事には、答えられません。」
おお〜久しぶりです選択の自由さん。ここの所、二択の質問が必要な事が無かったので、すっかり忘れてました。
久しぶりに出番でございます。先生。素材売却の後は仕入れだ。
「選択の自由さん。市場価値より安く販売されている商品には、YESでお答えください。」
商業ギルドで店頭販売されている商品を、手に取って確認していく。三十何点目の商品で、頭の中にYESと響いた。
「すみません、これ下さい。」
「あら〜、こんな物買うの?冒険者や商人が興味を持ちそうなものじゃ無いけど。」
サリーダさんが不思議そうな顔をする。
だって、それはどう見ても小汚いアミュレット。少なくともみんなが知っているメジャーな宗派のものじゃ無さそうだ。
どこで換金したら良いのだろう。
アミュレットが思いの外高く、他の商品の仕入れが出来なかった。デッドストックに成ったら、いきなり破産だな。
商売人ギルドに行く前に、打ち合わせした宿屋で、パーティーメンバーと合流する。
みんなも、冒険者ギルドで素材の買い取りをして貰ったようだ。
「今回、無事に商人になれたから、次回からは素材の処分は私が一括してやります。その方が買い取り率も高いですから。その代わり、パーティーで消費する消耗品の購入は、みんなでアドバイスして下さい。」
「で、商人だったら買取って貰うだけじゃなく、自分で販売する事も必要だろう。まあいきなり店は持てないだろうから、行商人みたいな形になるだろうがな。」
「シリルさん、実は売り物ももう用意してあるのです。一点だけですけど。」
私はみんなにアミュレットを見せた。
「あんたバカでしょ〜。売るものが一つしか無い店なんて、ありえませんよ〜。」
「でも、ネイさん、これは見る人が見たらとても価値のある物なのですよ。」
「だから、その見る人をどうやって探すのよ?通りかかった人に、『へへへへ〜〜、お兄さん、良い物ありまっせ〜』とか声をかけていくつもり?」
「リリルさん、それでは危ないオジサンです。」
「私、知ってる。これ見た事ある。高司祭の証。先代から次代へ、代々受け継がれていくもの。なんでこんな所にあるの!」
ルカさんによると、ルカさんの生まれた地方の宗教の、宗教的権威を象徴するものらしい。これがここにあるという事は、その宗教では失伝されてしまったという事で、届けてあげればとても感謝された上、高額で引き取ってくれるだろうとの事。
じゃあ早速届けに行きましょう。
「駄目、先ず武装を整え、装備と準備をしてから。」
え、なんで?
「殺されたら一銭にも成らない。」
ソンナニヤバイモンダッタンデスネー
商売の形態がまだ定まらない。




