第2層攻略(その1)
思っていたより短くなってしまったので、まとめて投稿します。
あれから、毎日ダンジョンに潜っています。
さすがに学習したので、魔法を使う魔物が出たら、私はダッシュで逃げ出します。
皆さんお強い。私抜きでも、第2層の魔物程度ならあっさり倒してしまいます。
でも、ルカさんは不満みたいですね。私が普通に戦えれば、とっくに3層攻略しているそうなので。
確かに魔法を使わない魔物が相手なら、私は大活躍です。
みんなを後ろに下げて、魔物のド真ん中に飛び込んで「アタタタタタ〜〜!」
単独の魔物相手には、遠くから「か〜〜め〜〜(以下略)」
全部ネイさんの索敵能力とシリルの解説のお陰なんですけどね。
「でも、みんなのレベルが上がらないね〜。敵のレベルが低いからかな〜。」
正直、第2層の敵のレベルは低いです。うちのパーティーの適正レベルには、全然足りません。レベルが上がるのは私だけ。でも私のレベルも5を超えてから、なかなか上がらなくなりました。
しかし、第2層のボスは確実に魔法を使ってくるらしいです。
それも、混乱の魔法。パーティー戦中に私が混乱したら、えらい事になります。
「分かりました。第2層のボスを倒しに行きましょう。皆さんはすでにボスを倒した経験があるので、私だけがその経験を積めば、第3層に進めるでしょう。」
「でも、ツグはすぐに混乱させられちゃうよ。そうしたら私達には逃げ場が無いよ。」
リリルさんの不安はもっともです。
「安心して下さい。履いてますよ。じゃない、ちゃんと逃げ場は用意します。この間試してみて、ちゃんと機能する事を確認しました。皆さんを完全にガードして、私一人でボスを倒せる方法があります。ただ、この方法を実行するには、混乱回復ポーションが必要になります。
非常に高価な物なので、私の所持金だけでは買えません。皆さんお金を貸して貰えませんか?」
「リーダー、たとえ仲間内でも、借金はダメだろう。」
「そうよ〜。借金に慣れたら、冒険者は破滅しますよ〜。」
「私もちょっと賛成出来ないね。冒険者はその日暮らしが基本、この先に手に入るかも知れない物を当てにしてはいけないって、最初に教わる事じゃないの。」
みんなが反対する。まあ、当たり前の事だろう。
でも、ルカさんは言った。
「ツグが行けると言うのなら、私の所持金なら貸そう。次の階層に進めるのなら、安い投資だ。」
ルカさん、流石に男前です。女性ですけど。
「でも〜、ルカちゃんもこの前のマナポーションの無駄遣いで、お金あんまり無いよね〜。二人分じゃ足りないんじゃないの〜。」
「うぐっ、確かに私の所持金を足しても、混乱回復ポーションは買えない。だから、みんなも協力してくれ、頼む。」
「ルカに頭を下げられたら、協力しない訳にはいかないな。
でも、もっといいアイディアがある。ギルドから借りるんだ。ギルドには、冒険者支援の為の、借入金制度がある。俺たちの信用度なら、混乱回復ポーションを買えるぐらいのペリカは貸して貰える。借入金は、パーティー全員で稼いで返せば良いんだ。」
シリルが言った。
「でも、それじゃ私の我儘でみんなに迷惑を掛けてしまいます。」
「何を言っているんだ。本当に大事な物は軽々しく口にしない。今こそ大事な時だ。こんな時こそ、我らがパーティー、『エキセントリック勝念暴威』の名前を使う時だろう。」
「そうよ、ルカの想いを叶える為にも、『エキセントリック勝念暴威』の名前で、ギルドからお金を借りましょう。」
あーー、言っちゃった。下町出身の兄妹が言っちゃった。どっちがマッチャンなの?ハマチャンなの?
連続投稿になるので、順番に注意して下さい。ごめんなさい。




