人族、辞めてました。
パーティーの目標を決めよう。
「という訳で、俺たちは当初の目的通りダンジョンの探索をしようと思います。」
「待て待て、いきなり、という訳で、と言われても、意味が分からないぞ。」
シリルさんのツッコミが入った。
「お金が無いんだよ。手っ取り早くお金を稼ぐには、ダンジョンが一番でしょう。」
「お金が無いのはツグさんだけでしょ〜。私達はもうちょっと休息をとって、装備を整えたいんだけど〜。」
ネイさんは乗り気じゃないみたい。
「ツグのお金が無いのは、自業自得でしょ。せっかく貰った報酬を、壁の修理代に使っちゃうから。」
リリルさんまで冷たいなー。
「私はいいぞ。魔力も回復しているし、おバカなリーダーに恩を売れるなら付き合ってやってもいい。」
ルカさん。回復もなにも、前回なにもして無いじゃないですか。
「チッ!ルカが行くなら付き合わ無い訳にはいかないな。」
「ルカちゃん優しいのね〜。じゃあ私も頑張っちゃおうかな〜。」
「リーダーには逆らえても、ルカには逆らえないからね。分かった。私も行くよ。」
え〜〜〜!なにこのルカさんへの信頼感!みんな何か弱みでも握られてるの?ルカさんの黒さなら、あり得るかも。
疑わしそうな目を向ける俺に、シリルが言った。
「ツグさんの基本ステータスは知らないけど、とても高いって事は想像がつく。だからルカのありがたみが解らないんだろう。
ルカは戦闘に入ると、パーティー全員のステータスを10パーセント底上げしてくれる魔法を使ってくれる。更にその魔法は、いろんなバッドステータスを防いでくれる。
前回の戦闘でも、ハニービーは弱毒のバッドステータスを持っていた。ルカがいなければ、俺達はすぐにマヒして、殺されていただろう。
治癒の魔法は使えないが、ルカはパーティーの守護神であり、失う訳にはいかない存在なんだ。」
すみませんでした。私基本ステータスカンストしてます。10パーセント上げようにも、これ以上は上がりません。ステータス高すぎて、バッドステータスも受け付けません。
本当にありがたみが解らない男で、申し訳ありません。
「でも、シリルはそう言うけど、ツグだって10パーセントも力が上がったら、違和感を感じたんじゃない?」
リリルが疑問を口にする。
「今はみんなに言えない事情があって、俺のステータスは変動しないんだ。だから違和感は無かった。」
「おかしい。私の魔法《威風堂々》は、確かにツグにも効いていた。魔法がかかった手応えがあった。」
「でも、何も違和感は感じ無かったぞ。それは本当だ。」
「よし、ダンジョンに行く前に、ここで試してみよう。普段は魔法名省略なんだが、ちゃんと詠唱してから掛けてやる。【数多の世界を繋ぐ世界の真理よ、その奇跡の名を示せ。ラッスンゴ◯ライ!】」
えっ、えっ、何て。ちょっと待ってちょっと待って ルカさん。
「魔法は成功した。手応えがある。」
ルカさんは満足そうにそう言った。
でも、俺には何の変化もない。
あ、そうか、ステータス確認してみればいいんだ。
「俺の基本ステータス、項目ごとに、この世界の人間の平均を10として表示」
メッセージウィンドウが出た。
身体:2420
攻撃力:2420
防御力:2420
耐久力:2420
敏捷:2420
魔力:0
魔法力:∞
ええ〜なんで本当に上がってるの?俺のステータスは人族の上限じゃ無かったの?それに10パーセントじゃないし。
嫌な予感がする。
種族の限界を超えた種族は、何て呼ぶんだっけ?
「俺の種族名、表示」
幸田紡:魔族
やっぱり〜〜!
石の仮面使ってないのに、人間辞めちゃったよ〜〜。
「J○J○、俺は人間を辞めるぞ〜。」
吸血鬼にはなりませんでしたが。




