一子相伝秘技の取得
デフォという事で。
「か〜〜め〜〜(以下略)」プヒュヒュヒュー。
ブライトさんは驚いていたが、無駄な時間をかけたくなかったので、 俺は百歩震拳を連発し、予定より4日早く貿易旅団を目的地に到着させた。
みんな喜んで、是非帰りの護衛も、と頼んできたが、このクエストはみんなの経験値アップに向かないので、全部断った。
「はーぁ、どうしよう。護衛の仕事は比較的安全で、レベルアップには向いている、って聞いたのに。」
「ツグさんのせいですよ〜。雑魚を時間をかけて倒してぇ〜、レベルアップする筈だったのにぃ〜。」
「そうだな。あんなスピードで移動したら、雑魚はついてこれない。」
「船のオーナーは、余りにもボロボロになった船を見て、へたりこんでいたわよ。」
「私も全く攻撃魔法を使う場面が無かった。」
ルカさん。アンタは防御に精一杯でしたでしょうが。本当にジョブ持ちなの?
今回の依頼で一つ勉強になった事がある。俺はいざとなれば、200人力で無双出来ると思っていたが、数の暴力には対抗出来ないという事だ。
俺一人なら何とでもなるが、パーティーを護る事が出来ない。魔法さえ使えれば、どんな数の敵でも問題は無い。でも、その魔法が俺には使えない。全ての魔法を知っているのに。
せめて、自分の周りの敵だけでも、一瞬で消滅させる方法はないか?それが出来れば、強力な突破力で、仲間を助けられるかもしれない。
残念ながら、俺の生まれた世界にはそんな技術は無い。でも、知識としては知っている。選択の自由さんに力を貸して貰えば、実現できるのではないか。
「ちょっと、思いついた技を試してみたいのでみんな離れてくれ。」
「出でよ、北に輝く七つの星の力、Big Dipper百烈拳!」
『YESorNO』
やった、選択肢が出た。YESですよ、もちろん。
「アタタタタタタタタタタ〜〜!」叫ぶ必要は無いのだが、これは様式美だろう。
俺の拳は機関銃のように高速で打ち出された。離れていたみんなも風圧で吹っ飛ぶ。やべえ、止まらない。百烈拳にしちゃったから、100発撃つまで止まらないのか。
でも、長く感じたが、2秒で技は終わった。秒間50連発の高速パンチ、200人力だから疲労は無い。やった、これは使えるぜ。
「いった〜、ツグさん〜〜。何をしてくれるんですか〜〜。」
「そんな危険な技をこんな所で試すな!」
「あーあー、周りの家の壁がボロボロですよ。」
「お前、弁償出来るのか?」
結局、手持ちのお金と護衛の依頼の報酬を全て使って、壊した壁の弁償をした。
お金が、なくなってしまいました。




