選択の自由を手に入れた。
初投稿です。テンプレファンタジーを書いてみました
「ジャジャーン!
あなたは一那由多分の一の確率で選ばれる、選択の自由を引き当てました。
おめでとうございます。」
なんだこりゃ。
毎日ログインしているソーシャルサイトで、本日の景品をクリックしたら、突然こんなメッセージが出てきた。
おかしい。ウイルス対策はしているはずだし、変なサイトにも登録はしていないはずだ。
俺が登録しているサイトは、「日常の情報」
普段生活していく上で、お得な便利情報を教えてくれるサイトだ。
今日は近所のスーパーが安売りやってます、とか、どこどこのドリンクがキャンペーンしてますよ、的なメッセージを表示するシステムだ。
ただ、スポンサーが自由登録で、かなり胡散臭いとの情報はあった。
とりあえず、画面を消して、仕事に行く準備をしよう。
困った。スマホの画面が切り替わらない。
「ジャジャーン!
あなたは一那由多分の一の確率で選ばれる、選択の自由を引き当てました。
おめでとうございます。」
選択の自由が当たったのに、そっから先が選択できないじゃん。
「どうすりゃいいんだよ」
「音声認識。ガイドメニューを起動します。」
うわっ!スマホが喋り出した。尻、知理なのか?でも俺のスマホはiPh○neじゃ無いぞ。
「選択の自由の機能によって、あなたの希望が選択できる様になりました。
あなた希望をお伝えください。」
なんだこりゃ。スマホがかってに喋り出した。希望が選択できるとか言ってる。
なんだかよくわからないが、希望が選択できるなら、昔からの1番の希望を言ってみよう。
「大金持ちになりたい」
数秒の間があって、スマホが答えた。
「100万ゼニーを用意しました。受け取り口座を教えて下さい。」
なんだか単位がよくわからないが、お金らしいので口座番号を伝える。
すると、スマホが答えた。
「その貨幣は、ゼニーとの換金が出来ません。用意されたゼニーは消滅します。プヒュ、」
その後も何回か試してみたが、このスマホが出せるお金はゼニーとかいうものだけで、日本に限らずこの世界では価値が無いらしい。
だったら、そのゼニーが使える世界にいったらいいんじゃね?
「ゼニーが使える世界に転移させてください。」
「異世界転移は負担が大きいです。選択の自由の能力でも、巻き戻しは出来ません。それでもよろしいですか?」
俺は考えた。今の生活に未練は無い。仕事も面白くないし、家族も友達もいない。ボッチを続けてきた。年齢=彼女いない歴だし、たとえ異世界に行っても、大金持ちでヒャッハーする方が、今より楽しいんじゃ無いか?
「構いません。俺は異世界で大金持ちになります。」
「では、選択は成されました。貴方はゼニーの使える世界へ転移します。」
というわけで今俺はここにいる。
ゼニーは一億に増えた。
でも、使うところが無い。
荒野のど真ん中で、どうしろっていうんだよー。
選択の自由さん、どうして僕はここにいるんでしょう?
「ここはゼニーの使える世界です。ただし、ゼニーの存在は現在ではまだ確認されておらず、貨幣すら存在しておりません。文化水準も低いこの世界では、両替可能になるまで、2千年はかかるでしょう。」
「だったら、2千年後の世界に転移させて下さい。」
「申し訳ありませんが、異時代転移は負担がとても大きいです。同一世界の違う時代に転移するのは、現在の負担範囲では、回復に200年のエネルギーを貯める必要があります。」
200年、絶対死んでるよ、俺。
ノーチートで、200年生きてくなんて絶対無理だって。
「だったら、この世界じゃなくていい。ゼニーが使える、意思疎通が可能な生命のいる他の世界に転移したい。」
「申し訳ありませんが、それは選択できません。ゼニーの使える世界で、意思疎通の可能な生命のいる他世界はありません。」
なんてこった。大金持ちになる計画はいきなり詰んだ。
だったら、2番目の希望を叶えてもらおう。
「魔法使いになりたい。全ての魔法が使えて、人がいる世界に転移したい。」
魔法は男のロマンだろう。
「異世界転移は負担が大きいです。選択の自由の能力でも、巻き戻しは出来ません。それでもよろしいですか?」
「構いません。俺は世界最高の魔法使いになります。
でも、使える魔法の名前とか、ステータスとか、相手の強さとかは確認できるようにしてね。
俺より強いやつに瞬殺されるのは嫌だから。」
即答だった。金持ちになれないなら、異世界で魔法無双して、結果金を稼いだらいい。
「では、選択は成されました。貴方は魔法の使える世界へ転移します。」
転移開始したのを感じた時、心の中で思った。
こんな役にたたない世界、リソースの無駄じゃん。無くなっちゃえばいいのに。
転移が終わると、何処かで「プヒュ」という音が聞こえた。
目の前にあるのは、大きな城壁。明らかに文明が存在する証拠だ。
よーし、今度こそ、チートで大金持ちな大魔導師様になってやるぜ。
前に並んでいる人達は、おそらくこの城壁の中の街に入る為の審査を受けているのだろう。
ただ待っているのもなんだから、その間に選択の自由さんにお願いした、魔法の確認をしておこう。
ステータスがわかるようにお願いしたから、「選択の自由さん、ステータスを教えてください。」とつぶやいてみる。
脳内にとてつもない長さのスクロールが展開される。
意識で追っている暇もない。気がついた時には、長いこと失神していたようだ。
「おい、気がついたか。今日の入村許可時間は終わってるぞ。こんな所にいないで、キャンプする場所を探した方がいいぞ。」
知らない人が話しかけてくれているようだ。よくわからないがとりあえずお礼を言い、その人に教えられたキャンプ地に移動し、食事をおごってもらった。
俺が金に困っているというと、知らない人は「そういう時はお互い様だ」と言って飯代を出してくれた。
なんだか、この世界ではよくある事らしい。名前を聞いたら、「冒険者のオズワルド」さんだと教えてくれた。今はありがたくご馳走になろう。
俺は選択の自由さんに頼んで、魔法の使える世界へ転移したはずだ。その時一緒にお願いしていたステータスを確認をしようとして、いきなり失神した。
これは、情報量過多というヤツではないだろうか。
全てのステータスを表示しようとして、俺の脳のキャパシティを超えてしまったのだろう。
これはいけない。端的に、解りやすく、知りたい部分だけを教えて貰わなければいけない。
言い方を考えよう。
「俺の身体ステータス。この世界の人間との比較で表示。」
表示という言い方はおかしな気がしたが、さっきのステータスの見え方が「脳内に表示された。」としか思えなかったからだ。
すると頭の中に、メッセージウィンドウが表示される感覚で、
「異常に頑健」
とでてきた。
細かい説明は無しかよ。スーパーハードモードのチュートリアルだな。
でも、一番知りたい情報がある。
「俺の使える魔法の名前、ステータス表示。」
また失神していた。
頭の中が、《魔法名:現在LV:必要MP》の流れで、一瞬で埋めつくれされた。
でも解った。俺は希望通り、全ての魔法を使える存在として、この世界に転移したのだ。
あらためて確認しておこう。「俺の基本ステータス、項目ごとに、この世界の人間の平均を10として表示」
メッセージウィンドウが出た。
身体:2000
攻撃力:2000
防御力:2000
耐久力:2000
敏捷2000
魔力:0
魔法力:∞
ナンダコレハ!
200人力で、魔力ゼロ、でも魔法は無限大!
魔力以外は超チートだぜ!
やった!俺はこの世界で勝つる。選択の自由さんありがとう。
明日は早速魔法を試してみようと思いつつ、今日は満足して寝る。あと、オズワルドさん、ご馳走様でした。