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依頼者
「今日も暇だね。」
所長はのんびりと話す。
とある日の昼下がり、事務所は僕と所長の二人きり。
「そうですね。」
僕は掃除をしながら答える。
滅多に客が来ないこの事務所が潰れない理由が知りたい。
それくらい人が来てないのである。
「でもね、今日は良い話が来る気がする。」
所長が伸びをしながら答える。
所長の感はよく当たる。依頼者が来るとわかった僕は、お茶の用意を始める。
すると、
「失礼します。」
なんともやつれた女の人が入って来た。
「今回は大きい仕事になりそうだね。」
所長がなんとも言えない顔で話す。