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竜頭

作者: 龍源寺直介

右臀部には昨夜の筋肉注射の鈍痛がまだ残っている。


不眠時の処置、臀部へのセレネースの注射。


夜半、若くも色気もない女性の看護師に薬剤を注入された。


早暁、痛くも痒くもないが、口の渇きと平衡感覚がおかしい。


転倒しないように気をつけつつ喉を潤す。


ふと腕時計を見遣ると針が止まっている。


看護師詰所の壁掛け時計に合わせて、オメガの竜頭を巻く。


竜頭を巻けば、身体が機械仕掛けで動き出す訳ではない。


そう都合よく世界は自転しない。


閉鎖病棟の保護室に横たわるために精神科医を志したわけではない。


鬱屈した自負心がかろうじて均衡を保たせた。


何事もそう都合よくはならない。


膝を折り堅氷のリノリウムに這いつくばる。


そう、なにごともだ。









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