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第三文芸部!  作者: kaji
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第1話「唯我独尊な部長様」

7月26日誤字訂正

 今日もここに来てしまった。今日は一限からの講義があったが俺はもちろん出ない。一限など出ている奴は馬鹿だ。俺は馬鹿では無いのでとりあえず4限近現代から出ることにする。その前に俺はいつものこの部室のソファーに横になって読書に勤しんでいた。今の本は素晴らしい絵が付いていてその上声まで出るのだ。便利になったものだ。俺はこの時代に生まれて来られたことにとても感謝している。思わず一人一人に向かってありがとうとお礼を言いたいような気分だ。とりあえずそこでテレビで一生懸命馬の観察している天然パーマの婦人に声をかけてみることにしよう。


「こんにちは。いい天気ですね」

「……」


 天然パーマの婦人は物凄い目付きでこちらを睨んだがどうやら馬の研究に忙しいらしくすぐにテレビに視線を戻してしまった。俺は負けずに再び接触を試みる。


「今日は午後から雨が降るそうですよ。傘持って来ていますか?」

「……。何? 何なの? 新手の嫌がらせ。今良い所だから黙ってて。後で相手してあげるから。しっしっし」


 天然婦人は某のことを犬でも追い払うように手を振って追い返した。そんなに馬が好きなのか好きならばこんな部室で見ないで直接見ればいいんだ。ついでに蹴られてくれれば申し分が無い。


「あー。なぜあそこで伸びないかなあ。くそー。あー。頭に来た。おい! 誰だっけ。まあ誰でもいいや。そこの眼鏡ちょっとこっちに来い」


 天然婦人が誰かを呼んでいる。眼鏡と言うと今は俺しかいない。というかこの部室には俺と天然婦人しかいないのできっと俺のことを呼んでいるのだろう。というか天然婦人は俺の名前を未だに覚えていないのだろうか。2年の付き合いになるのに。


「なんでしょうか。天……。いえ何か御用でしょうか」

「お前何か言いかけただろ。何ていう気だった。言ってみろ」

「いえ。わたくしは何も天気がいいなと言いかけただけでそれ以外別に」


 危ないところだった。この女は自分の天然パーマの天然っぷりを非常に気にしていらっしゃるのだ。思わずモノローグが口からあふれ出てしまった。気をつけなくてはいけない。


「まあいい。私は非常に機嫌が悪い。分かるな。よって何か面白いことをやれ」

「は? 今でしょうか?」

「今だ。今すぐだ。第三文芸部員としてもちネタの一つでも持っていなくてどうする?」


 最近の文芸部員はもちネタを持っているのだろうか。大変な世の中になったものだ。良かった。昨日思いついたネタがあった。


「では。不詳。いや。負傷。いや不承不承。いえ不肖……」

「いいから早くやれ。つまらんことはしなくていいから」

「は。では不肖……」

「いいから早くしろ!!」

「は!」


 せめて名乗らせて欲しかったのだが仕方がない。

 

「酔拳野球。ふあーーーーー」

「ああ。止め。止め」

「え! これからですよ。ホームラン打ってゲロを吐きながらグランドを一周するんですよ。ホームインしたらそこで急性アルコール中毒で救急車に運ばれるんですよ」

「見なくても分かる。つまらない。あー。つまらない。つまらない」


 そう言って天然婦人は定位置の部室のハンモックに横になる。くそ。あのハンモック千切れて落ちないかな。よし。これから毎日少しずつ紐を削っていこう。見ていろよ。天然婦人め。


「じゃあ部長。私は4限がありますのでこれで」

「待て。4限は近現代だろ。あんなもの出なくていいあれは持ち込み可だ」

「いや。しかし」


 なんでこの女は俺の時間割まで把握しているのだろうか。後ろ寒さは感じるがまさかそんなことはあるまい。きっとたまたまだろう。


「私はこの大学に7年いる。私の知らないことはない。出なくていい。後でテスト用紙をくれてやる。それで単位は取れるだから出るな。そんなことよりも私の相手をしろ」

「はい……」


 もうこうなってしまっては部長の相手をするしかない。俺は覚悟を決めることにした。いったい今日俺何しに来たんだろうか。


「相手って何すればいいんですか?」

「そうだなあ。何か面白い話をしろ」

「面白い話ですか。そうですねー」

「10秒以内だぞ。早くしろ」


 またこの女は一番やっかいなふりをしてくる。面白い話をしろだとふざけるなよ。早々普通の生活をしてきてそんな面白い話などあるわけが無いだろ。しかし、俺は違う何せ普通の人間ではないからだ。ざまあ。見ろ。


「ああ。そうだ。昨日ですね杏のやつと飲みに行ったのですけどあいつ酔っ払って電柱に登りだしましてですねえー。私んちってどのへんかなあって聞いてくるんですよ。もちろん俺はスルーして帰りましたけどね。わっははは」


 部長は俺の話を聞くと額に皴を3つ寄せた。まずいな3怒りだ。俺何かまずいことを言っただろうか。俺は部長の怒り度を眉毛の皴の数で把握している。今まで見てきた中での最高の数は13怒りだ。あの時はとても思い出すのも嫌だ。

 それよりも部長はハンモックから飛び降りて俺の胸倉を掴んだ。


「なんで私を呼ばなかった」


えー。そこなんですかあ。と思ったがさすがにそれほど短い付き合いではないのでそのパターンはもう読めている。


「だって部長。今日新台が入荷するかって昨日の深夜から並ぶって言っていたじゃないですか。あれ? そういえば何で今いるんですか。今まさにドル箱積み上げたろかー。という最中じゃ?」

「……通報されたんだよ」

「は?」

「通報されたんだよ!」

「ええ!」

「怪しい目つきの悪い天然パーマがいるんだってよ。並んでいるだけだって言ったのにこんな時間から並んでいる馬鹿はいないだろうと言って無理やり警察まで連行されたっつうの!」

「ああ。大変でしたね。でもまさか天然パーマまでは言わないでしょ。は! しまった」

「お前。やはりさっきからこの野郎!」


気づいたときには俺は卍固めを食らっていた。なんとプロレス技だと今までにはなかった新技だいつの間に。


「痛たたたた。部長。これはさすがに洒落になりませんって」

「昨日、私は並びながらプロレスの本で勉強したんだ。お前にいつかかけてやろうと思ってな。光栄に思えよ」


いらん知識をつけおってただ今日の俺は違うぞ。うまく隙間を見つけてするっと抜け出した。


「な!!」

「某も昨日飲み屋の蔵書の『ケインの柔道入門』を読みました。まさかこんな形で役に立つとは思いませんでしたよ」


部長に向けてにやっと笑って見せる。最高に決まった。


「面白い。私と勝負するとは」

「いつまでもやられてばかりではいませんよ。いざ勝負!」

「来い!!」


 第三文芸部室では馬鹿二人が熱い戦いが繰り広げられていた。その光景を除いている影が3つあった。


「今、入らないほうが良さそうですね」

「博のやつー。昨日勝手に帰ってひどい」

「今この部室は馬鹿臭が濃すぎます。どこかに行きましょう」

「そうですね。ファミレスにでも行きますか。今パフェが半額らしいですよ」

「私。ハンバーグいい」

「はい。はい。では行きましょうか」


 3人は最寄りのファミレス突撃冒険島へと向かった。部長と眼鏡の博君の勝負がどうなったかはどうでもいい。本当にどうでもいい。


ご拝読ありがとうございます。

とにかくキャラ重視の会話文の話を書いて見たかったので書いてみました。これからどうなるかはわかりませんが面白いものが書ければと思います。

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