息抜き回)祈りとニンジン
本編より長いって!
第一話「降臨はノープラン」
〜天馬、恐怖のち真顔〜
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【天孫降臨・地上にて】
ズサァァァァッッ!!!
神馬テンマ、奇跡的に(というか転がりながら)地上に無事着地。
神の光が収まり、民たちが一斉にひれ伏す。
民たち「おお……神とその使いが……!」
民A「馬、ちょっと震えてないか?」
民B「感動してるんだよ……きっと」
テンマ「(ちげぇよ!!マジで死ぬかと思った!!)」
テンマ「(崖とか道じゃねぇし!滑空じゃなく滑落だし!!)」
テンマ、ぷるぷる震えながらニニギを振り返る。
その目には――うっすら涙。
テンマ「……帰ります」
ニニギ「えっ」
テンマ「真剣です。
生きて帰れるかわからない降臨でした。
これは職務の範囲外。
契約に『命の危険なし』って書いてありました」
ニニギ、ぽかん。
ニニギ「……マジで?」
テンマ「マジです」
ニニギ、なぜか本気の顔になる。
ニニギ「……ならば仕方あるまい。
この地の使命は、我ひとりで全うしよう。
お前の命あってこそ、この世は繋がれる」
テンマ「えっ急に“本編”の空気!?」
テンマ「ちょ、やめて!このあとお涙展開とかいらんから!」
ニニギ、テンマのたてがみに手を添えて。
ニニギ「ありがとう、テンマ。
お前の勇気ある着地は、我にとっても希望であった」
テンマ「いや、着地じゃなく着墜ちだし!
てか何そのイイ話風の空気!?」
ニニギ、天に向かって手を掲げる。
ニニギ「天に還れ、神馬よ!その魂は、我が記憶に刻まれん!」
キラァァァァァ……(謎のエフェクト)
テンマ、真顔で雲に乗る。
でも心の声は叫んでる。
テンマ「(二度と降りねぇからな!!!!!)」
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【地上・静寂】
民たちが騒がず見送る。
民A「……神馬、帰っちゃったな」
民B「いや、帰り方だけ妙に荘厳だったよな」
ニニギ、しれっと言い放つ。
ニニギ「彼は……使命を果たしたのだ」
ドドメ(地の馬)←後ろからのぞき見
「(いや、完全に逃げ帰っただけだろ)」
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ナレーション:
> 天馬は去り、地の馬が残った。
だが、残されたのは悲しみではなく――
やたらリアルな恐怖の記憶であった。
第二話「それ、聞いてない」
〜地の馬ドドメ、神馬代理就任!?〜
【翌朝・山の麓の集落】
開墾作業が続く中、ニニギは何やら神妙な面持ちで民たちを集める。
ニニギ「諸君、天馬テンマは神の命により天へ帰還した。
だが、我らが歩むべき道に、馬の力は不可欠である」
民たちはざわざわ。
民「いや神馬、めっちゃ焦って帰ってたよね……?」
民「空中で“もう嫌だーーー!”って叫んでたよ……?」
ニニギはそれを完全スルーして手を上げる。
ニニギ「よって、この地に生きる優れた馬を――神馬代理に任命する」
ざんっ!!
指さされた先には……泥の中で昼寝してたドドメ。
ドドメ「(スヤァ……)」
ニニギ「お前だ!」
ドドメ「(えっ!?)」
【次の瞬間・神馬代理任命式(簡易)】
ドドメの首に勝手に神聖なタスキがかけられる。
そこには筆で「神馬(代理)」と書いてある。かすれ気味。
ドドメ「……いや、ちょっと待って?聞いてない。まず相談しよ?」
ニニギ「心配するな。天の馬と同じだけの感謝と祈りを捧げる」
ドドメ「それよりニンジンは?」
ニニギ「ある」
ドドメ「…………乗ってくれ(即答)」
【その後・訓練シーン】
民たちが見守る中、ドドメの背に乗ろうとするニニギ。
ドドメ「おい神サマ、まずは乗馬の基本からな。重心低く、そっとだ」
ニニギ「任せよ」
\バシュッ/
華麗なジャンプで背中に乗るニニギ。
ドドメ「(重っっっ!!こいつ、顔は軽そうなのに!!)」
ドドメ「(あとそのポーズ、完全に“征服したった”感出すな!!)」
民たち「おおー!様になってる!」
民B「でも神馬テンマのときより、なんかこう……」
民A「生活感あるよね……?」
【最後・ふたりの会話】
夜。焚き火のそばで静かに語り合うニニギとドドメ。
ニニギ「テンマは天へ帰ったが、お前がいてくれて助かる」
ドドメ「ま、ニンジン3本って言ったしな」
ニニギ「人と馬が共に歩むこの地に、祈りが生まれる――」
ドドメ「(……いやお前、うっかり神馬落馬しかけてたやん)」
ニニギ「明日からもよろしく頼む」
ドドメ「……ニンジンが先に出てくるとやる気出るぞ」
ニニギ「善処しよう」
ナレーション:
神は去り、馬が残った。
残った馬は、なんかやたら話が早い。
だが民たちは思った――
「意外とこの神馬(代理)、頼れるかも・・・?」
第三話「神事?泥まみれですが何か」
〜ドドメ、田植え祭に巻き込まれる〜
【早朝・集落】
今日は「田植え始めの神事」。
神馬代理のドドメは、ニニギとともに神前行列に参加。
ニニギ「今日は民の祈りとともに、田を祝う大切な日だ」
ドドメ「(昨日も畑に突っ込んだけどな)」
民たちは頭に花飾り、神主は白装束。
それっぽい空気が流れる中――
村長「ドドメ殿にはこの神輿と苗を背負ってもらう」
ドドメ「(……マジか)」
ドドメ「(てか苗って重いし濡れるしチクチクするやつやん)」
村の子どもが近寄る。
「これ、あげる!ニンジンだよ!」
ドドメ「(ハッ……これは……!)」
――場面の空気が変わる。
カメラが急に寄り、BGMがバイオリンに。
馬の目がきらめき、風がたてがみをなびかせる。
ドドメ【心の声・イケボ】
「……その心、確かに受け取った」
「この身は泥にまみれようとも、君の笑顔のために」
「そう、これが俺の――祈り(for carrot)」
「……なんかこの馬、急にかっこよく見える……?」
ドドメ「(やるか)」キリッ
【田んぼ】
ヌチャアァァァァアア!!
行列が田んぼに突入。
ニニギは颯爽と神事の言葉を詠唱するが、後ろでぬるっとドドメが足をとられてる。
ドドメ「(クッ……バランスが……!!)」
ドドメ「(この神輿、絶妙に不安定なんだよ!!)」
民A「さすが神馬(代理)……!」
民B「泥にまみれてなお気品を失わぬとは……」
ドドメ「(めっちゃ泥は入ってきてるけどな!鼻の穴にな!)」
【神事終了後】
拍手が起きる中、ニニギがドドメのたてがみに手を置く。
ニニギ「よくやってくれたな。さすが神馬代理」
ドドメ「(うん、がんばった俺)」
「今日のお礼に、ニンジン追加でーす♪」
ドドメ【イケボ】
「……ああ、すべてはこの瞬間のために」
「紅の欠片よ――我が命を照らす炎となれ」
(※ただのニンジン)
ドドメ、満面の笑みでバリボリ。
民「やっぱこの馬、時々かっこいい……」
別の民「てかその時だけ、謎の風が吹くよね?」
ナレーション:
泥にまみれても、ニンジンさえあれば気高く輝く。
彼の名はドドメ――
神馬代理、心はイケボ。
第四話「テンマの手紙はホラーだった」
〜神馬は見た。あの坂を。そして叫んだ〜
【神馬舎の朝】
いつものようにニンジンを狙って小屋の扉に鼻を突っ込むドドメ。
そこへニニギが神妙な顔で現れる。
ニニギ「ドドメ。天馬・テンマから……手紙が届いた」
ドドメ「(……あの、滑り降りて即帰った奴?)」
ニニギ、封蝋を外しながら語る。
ニニギ「どうやら、あの日の“降臨”について何かを記したようだ」
ドドメ「(絶対ロクなこと書いてない)」
【手紙朗読・ナレーション風】
テンマの声(渋くテンション低めのナレーション調)
テンマ(声)
「この手紙が届く頃、お前は“彼ら”と接触しているかもしれない」
「そう、“坂”のことだ。あの、終わらぬ斜面」
ドドメ「(始まったよ……)」
【回想:テンマの地獄の降臨】
テンマ(声)
「空から降りた?違う。落ちたんだ」
「滑った、転がった、途中でニニギが『いけっ!』って言った」
「俺、聞こえた。“お前が先に行け”って。あれ、完全に罠」
回想:
テンマ、脚をばたつかせながら回転。
途中で小石にヒヅメぶつけてパカーンという効果音。
テンマ(声)
「着地時、蹄の裏で星が見えた。地面より高く……」
「なぜ俺は生きているのか、今でもわからない」
【現実・読み終わるニニギ】
ニニギ「……とのことだ」
ドドメ「(え、あの手紙、内容ホラーじゃん)」
ニンジンを口にくわえたままフリーズするドドメ。
口からぽとりとニンジンが落ち――しかし!
ドドメ【イケボ(復活)】
「だが、俺は逃げない」
「坂が来ようとも、ニンジンの香りがある限り……!」
「俺の魂は、前へ進む(草地限定)」
ニニギ「よくぞ言った」
村人「……草地限定て」
【その夜・再び手紙の続きが届く】
追伸
「P.S. 神馬は祀られるって聞いてたのに、現地で馬小屋だった」
「あと民の子が“顔こわい”って泣いた。俺そんな顔してた?」
「そりゃするわ」
ドドメ「(やっぱ帰って正解だったんじゃ……)」
ニニギ「ドドメ、お前の顔は優しい。たぶん」
ドドメ「(たぶんてなんだよ!)」
ナレーション:
神馬は語る。坂は怖い。
でも今、ここに立つ馬は前を向く。
なぜなら――その先にニンジンがあるからだ。
第五話「嫁馬、爆誕!? 〜スイカより君が好き〜」
〜地の馬ドドメ、まさかの縁談〜
【ある日・集落の馬小屋】
ドドメ、昼寝中。
鼻先には残りかけのニンジン。幸せそうに寝言を漏らす。
ドドメ「(……もう一本……角度は左45度で……)」
そこへ突然の訪問者。
村長「神馬代理・ドドメ殿!急ぎ報告が!」
ドドメ「(え、まだ寝てる時間……てか“神馬代理”って枕詞いつ取れるの?)」
村長、満面の笑みで告げる。
村長「実は、隣村の名家から“ご縁談”が!」
村長「そのお相手、なんと白馬でございます!」
ドドメ「(えっ!?)」
【同日・広場】
村人総出の「お見合いセレモニー」がなぜか開催。
ドドメ、洗われ、磨かれ、花を飾られ、謎のカチューシャをつけられてスタンバイ。
ドドメ「(あの、俺、ただの地馬なんですが)」
民「いいじゃない、めったにないチャンスだし」
そして――
パカラッパカラッと現れる白馬。
たてがみツヤツヤ、まつげバッサバサ、鈴の音を響かせて登場。
???「お初にお目にかかります、ワタクシ、“ミコシロ”と申します」
ドドメ「(喋った!?いや、心の声か!)」
ミコシロ【声:高貴な乙女風】「このたびはご縁により……」
ドドメ「(うわ……気品の圧すごい……俺、ニンジンしか語彙ないのに)」
【会話タイム(心の声で)】
ミコシロ「ところで……神馬代理とお聞きしましたが、本当ですの?」
ドドメ「(うっ……)」
ドドメ「(本当ですとも!!)」キリッ【イケボ発動】
ドドメ【イケボ】「神の意思を背に、この地に祈りを刻む者……それが俺だ」
ミコシロ「まぁ……素敵……」キラキラ
民「急に空気が変わったぞ」
別の民「ほら風!風きた!イケボの時だけ風が吹く!!」
【その後・二頭きりの時間】
夕暮れ。並んで草を食むふたり。
ドドメ、ふと正直な思いを漏らす。
ドドメ「(……けど実は俺、神馬って言っても代理で)」
ミコシロ「(うふふ……私は“本当の白馬の王子”が来るのを待っていたけれど)」
ミコシロ「(でも今は、ニンジンに夢中なあなたが……ちょっと好きかも)」
ドドメ「(……それ、今までで一番嬉しいかも)」
【夜・報告を聞いたニニギ】
ニニギ「ふむ……馬にも婚姻があるとは。これは祝福すべきことだ」
ニニギ「我も近くの田の守り神と見合いの話が――」
民「それはどうでもいいです」
ナレーション:
愛は、ニンジンより甘く
風は、イケボの時だけ吹く
地の馬、神の使いのフリをして、少し本物に近づいたかもしれない
第六話
「結婚式、だいたい泥だらけ」
〜嫁馬ミコシロ、想いを語る。神と馬、人と民のはざまで〜
【式当日・神前の田】
村総出の「馬神前式」開催。
花で飾られた田んぼにて、ドドメとミコシロが並ぶ。
神主「ここに、神馬代理ドドメ殿と白馬ミコシロ殿の結婚を――」
ドドメ「(結婚て言っても俺、ただニンジン欲しいだけだったのに……)」
ドドメ「(でもまぁ……アイツと一緒に草食むの、悪くない)」
ミコシロ「(……あなたの隣で泥にまみれてるのが、不思議と心地よくて)」
その瞬間、空から――光が差す。
民「!? あの光……まさか――」
テンマ、幽玄な演出で一瞬だけ再登場(幻影?)
テンマ【心の声】
「ようやく、わかった。俺たちが“祈りを繋ぐ”ってこと……
それは、誰かの隣で、歩み続けるってことなんだな……」
ドドメ「(……テンマ、お前、急にイイ声でまとめに入ったな)」
【その後】
式の終わり、ドドメは静かにミコシロのたてがみに顔を寄せる。
ドドメ【イケボ】「……君となら、ニンジンがなくても……たぶん、生きていける」
ミコシロ「(うそ。絶対すぐニンジン探す顔してる)」
ドドメ「(バレた)」
ニニギ、馬たちを見つめてひとこと。
ニニギ「……馬も、祈っているのだな」
民「(いや、だいたいニンジンのためだと思います)」
ナレーション(シリアス寄り):
神の血を引く者も
地に生きる者も
四つ足も、二つ足も
誰かと願いを交わせば――祈りは繋がる。
最終話
〜そして、馬たちは神となった(っぽい)〜
【とある神社・現在】
境内には二つの馬像が並んでいる。
片や、凛と天を仰ぐ白馬。
片や、どっしり草を食む姿の茶色の馬。
観光客が案内板を読む。
観光客A「へぇ、左のが“神馬テンマ像”、右が“地馬ドドメ像”……」
観光客B「どっちも実在したんだってね」
そのとき――風が吹く。
どこからか、馬たちの心の声が流れ始める。
【回想:神社建立前夜】
テンマがふわっと雲に乗って地上に戻ってくる(今度は降臨成功)。
テンマ【イケボ(やや低め)】
「久しいな、ドドメ」
ドドメ「(よくまた来たな。滑らなかったのか?)」
テンマ「今回は階段ルートにしてもらった」
ドドメ「(文明……)」
ふたり、並んで草を食む。空には星。
ミコシロと村の子どもたちも見守る。
子「ふたりとも、かっこよかったね」
子「ねぇ、ふたりの像、神社に建ててもいい?」
テンマ「(……それって“祀られる”ってやつか?)」
ドドメ「(ニンジンが常時供えられるならアリだな)」
【そして現在】
観光客A「……この像の下、ニンジンの彫刻あるんだけど……?」
観光客B「本当だ、“祈りの象徴”って書いてある」
風がまた、木々を揺らす。
ふたりの像に、光が差す――。
テンマ【声】「俺は、神の使命で地に降りた」
ドドメ【声】「俺は、ニンジンのために走った」
ふたり【同時】「でもそれが、誰かの祈りに繋がったのなら……まぁ、いっか」
ナレーション(締め):
神馬テンマ、逃げ腰ながらも空を翔け
地馬ドドメ、ニンジンにつられて泥を越えた
そしていま、彼らの姿はこう記される――
「馬もまた、祈りを繋ぐものなり」
最終話・後日譚
「神馬奉納の由来 〜馬たちは語らず、ただ祈りを映した〜」
【舞台:時は流れて――社の建立前】
一人の民が、かつて田に立っていたニニギと馬たちの姿を思い出していた。
長老「……あの時、神の御子と共にあった二頭の馬……
ひとつは天の導き、ひとつは地を知る者……」
【回想:ニニギと民たち】
ニニギの元に仕えた白馬・テンマと、地で共に歩んだ栗毛の馬・ドドメ。
天より降りたテンマは、その使命を終えて静かに空へ還った。
ドドメはその後も、田を耕し、人々の暮らしを支え続けたという。
だが――誰が言い出したのか、人々は語るようになった。
「あの天馬が地に降りたのは、ただ使命のためではなかった」
「ともに歩んだ地の馬と、何かを繋ぐためだったのではないか」
【神社建立の場面】
人々は語らい、ついに二頭を祀る社を建てる。
片方は空を仰ぐ姿、もう片方は草を食む穏やかな姿。
社の奥、神主が案内板に筆を入れる。
『祈りを繋ぐもの ― 神馬と地の馬 ―』
神馬は天より降り、
地の馬は人と共に在り、
その歩みは祈りとなりて、
天と地、人と神を、静かに繋いだ。
【現代・神社にて】
観光客たちが見つめる中、風がそっと吹く。
観光客A「……なんか、馬の像見てるだけなのに……あったかいな」
観光客B「そうだね……すっごい真面目な話らしいけど……」
そのとき、不意に木陰から一頭の馬が現れ、参拝客の供えたニンジンにちょっとだけ首を伸ばす。
モグッ
観光客A「……!? 今、動いた!? 本物!?」
神主(苦笑い)「あぁ、あれは代々この社に仕える“地の馬”の末裔です」
ドドメのひ孫「(……ニンジンうめぇ)」
ナレーション(マジトーン):
名も無き獣も、名も知れぬ人も
誰かの傍らで、ただ懸命に生きる姿が
いつしか“祈り”と呼ばれ、語り継がれる
――それが、神となるということかもしれない
〜完〜




