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祈りを繋ぐもの  作者: 和穂ゆう
4/34

息抜き回)祈りとニンジン

本編より長いって!

第一話「降臨はノープラン」


〜天馬、恐怖のち真顔〜



---


【天孫降臨・地上にて】


ズサァァァァッッ!!!


神馬テンマ、奇跡的に(というか転がりながら)地上に無事着地。

神の光が収まり、民たちが一斉にひれ伏す。


民たち「おお……神とその使いが……!」

民A「馬、ちょっと震えてないか?」

民B「感動してるんだよ……きっと」


テンマ「(ちげぇよ!!マジで死ぬかと思った!!)」

テンマ「(崖とか道じゃねぇし!滑空じゃなく滑落だし!!)」


テンマ、ぷるぷる震えながらニニギを振り返る。

その目には――うっすら涙。


テンマ「……帰ります」


ニニギ「えっ」


テンマ「真剣です。

生きて帰れるかわからない降臨でした。

これは職務の範囲外。

契約に『命の危険なし』って書いてありました」


ニニギ、ぽかん。


ニニギ「……マジで?」


テンマ「マジです」


ニニギ、なぜか本気の顔になる。


ニニギ「……ならば仕方あるまい。

この地の使命は、我ひとりで全うしよう。

お前の命あってこそ、この世は繋がれる」


テンマ「えっ急に“本編”の空気!?」

テンマ「ちょ、やめて!このあとお涙展開とかいらんから!」


ニニギ、テンマのたてがみに手を添えて。


ニニギ「ありがとう、テンマ。

お前の勇気ある着地は、我にとっても希望であった」


テンマ「いや、着地じゃなく着墜ちだし!

てか何そのイイ話風の空気!?」


ニニギ、天に向かって手を掲げる。


ニニギ「天に還れ、神馬よ!その魂は、我が記憶に刻まれん!」

キラァァァァァ……(謎のエフェクト)


テンマ、真顔で雲に乗る。

でも心の声は叫んでる。


テンマ「(二度と降りねぇからな!!!!!)」



---


【地上・静寂】


民たちが騒がず見送る。


民A「……神馬、帰っちゃったな」

民B「いや、帰り方だけ妙に荘厳だったよな」


ニニギ、しれっと言い放つ。


ニニギ「彼は……使命を果たしたのだ」


ドドメ(地の馬)←後ろからのぞき見

「(いや、完全に逃げ帰っただけだろ)」



---


ナレーション:


> 天馬は去り、地の馬が残った。

だが、残されたのは悲しみではなく――

やたらリアルな恐怖の記憶であった。



第二話「それ、聞いてない」


〜地の馬ドドメ、神馬代理就任!?〜


【翌朝・山の麓の集落】


開墾作業が続く中、ニニギは何やら神妙な面持ちで民たちを集める。


ニニギ「諸君、天馬テンマは神の命により天へ帰還した。

だが、我らが歩むべき道に、馬の力は不可欠である」


民たちはざわざわ。


民「いや神馬、めっちゃ焦って帰ってたよね……?」

民「空中で“もう嫌だーーー!”って叫んでたよ……?」


ニニギはそれを完全スルーして手を上げる。


ニニギ「よって、この地に生きる優れた馬を――神馬代理に任命する」


ざんっ!!

指さされた先には……泥の中で昼寝してたドドメ。


ドドメ「(スヤァ……)」


ニニギ「お前だ!」


ドドメ「(えっ!?)」


【次の瞬間・神馬代理任命式(簡易)】


ドドメの首に勝手に神聖なタスキがかけられる。

そこには筆で「神馬(代理)」と書いてある。かすれ気味。


ドドメ「……いや、ちょっと待って?聞いてない。まず相談しよ?」


ニニギ「心配するな。天の馬と同じだけの感謝と祈りを捧げる」


ドドメ「それよりニンジンは?」


ニニギ「ある」


ドドメ「…………乗ってくれ(即答)」


【その後・訓練シーン】


民たちが見守る中、ドドメの背に乗ろうとするニニギ。


ドドメ「おい神サマ、まずは乗馬の基本からな。重心低く、そっとだ」


ニニギ「任せよ」


\バシュッ/

華麗なジャンプで背中に乗るニニギ。


ドドメ「(重っっっ!!こいつ、顔は軽そうなのに!!)」


ドドメ「(あとそのポーズ、完全に“征服したった”感出すな!!)」


民たち「おおー!様になってる!」

民B「でも神馬テンマのときより、なんかこう……」

民A「生活感あるよね……?」


【最後・ふたりの会話】


夜。焚き火のそばで静かに語り合うニニギとドドメ。


ニニギ「テンマは天へ帰ったが、お前がいてくれて助かる」

ドドメ「ま、ニンジン3本って言ったしな」


ニニギ「人と馬が共に歩むこの地に、祈りが生まれる――」

ドドメ「(……いやお前、うっかり神馬落馬しかけてたやん)」


ニニギ「明日からもよろしく頼む」

ドドメ「……ニンジンが先に出てくるとやる気出るぞ」


ニニギ「善処しよう」


ナレーション:


神は去り、馬が残った。

残った馬は、なんかやたら話が早い。

だが民たちは思った――

「意外とこの神馬(代理)、頼れるかも・・・?」



第三話「神事?泥まみれですが何か」


〜ドドメ、田植え祭に巻き込まれる〜


【早朝・集落】


今日は「田植え始めの神事」。

神馬代理のドドメは、ニニギとともに神前行列に参加。


ニニギ「今日は民の祈りとともに、田を祝う大切な日だ」

ドドメ「(昨日も畑に突っ込んだけどな)」


民たちは頭に花飾り、神主は白装束。

それっぽい空気が流れる中――


村長「ドドメ殿にはこの神輿と苗を背負ってもらう」


ドドメ「(……マジか)」

ドドメ「(てか苗って重いし濡れるしチクチクするやつやん)」


村の子どもが近寄る。

「これ、あげる!ニンジンだよ!」


ドドメ「(ハッ……これは……!)」


――場面の空気が変わる。

カメラが急に寄り、BGMがバイオリンに。

馬の目がきらめき、風がたてがみをなびかせる。


ドドメ【心の声・イケボ】

「……その心、確かに受け取った」

「この身は泥にまみれようとも、君の笑顔のために」

「そう、これが俺の――祈り(for carrot)」


「……なんかこの馬、急にかっこよく見える……?」


ドドメ「(やるか)」キリッ


【田んぼ】


ヌチャアァァァァアア!!


行列が田んぼに突入。

ニニギは颯爽と神事の言葉を詠唱するが、後ろでぬるっとドドメが足をとられてる。


ドドメ「(クッ……バランスが……!!)」

ドドメ「(この神輿、絶妙に不安定なんだよ!!)」


民A「さすが神馬(代理)……!」

民B「泥にまみれてなお気品を失わぬとは……」


ドドメ「(めっちゃ泥は入ってきてるけどな!鼻の穴にな!)」


【神事終了後】


拍手が起きる中、ニニギがドドメのたてがみに手を置く。


ニニギ「よくやってくれたな。さすが神馬代理」

ドドメ「(うん、がんばった俺)」


「今日のお礼に、ニンジン追加でーす♪」


ドドメ【イケボ】

「……ああ、すべてはこの瞬間のために」

「紅の欠片よ――我が命を照らす炎となれ」

(※ただのニンジン)


ドドメ、満面の笑みでバリボリ。


民「やっぱこの馬、時々かっこいい……」

別の民「てかその時だけ、謎の風が吹くよね?」


ナレーション:


泥にまみれても、ニンジンさえあれば気高く輝く。

彼の名はドドメ――

神馬代理、心はイケボ。



第四話「テンマの手紙はホラーだった」


〜神馬は見た。あの坂を。そして叫んだ〜


【神馬舎の朝】


いつものようにニンジンを狙って小屋の扉に鼻を突っ込むドドメ。

そこへニニギが神妙な顔で現れる。


ニニギ「ドドメ。天馬・テンマから……手紙が届いた」


ドドメ「(……あの、滑り降りて即帰った奴?)」


ニニギ、封蝋を外しながら語る。


ニニギ「どうやら、あの日の“降臨”について何かを記したようだ」


ドドメ「(絶対ロクなこと書いてない)」


【手紙朗読・ナレーション風】


テンマの声(渋くテンション低めのナレーション調)


テンマ(声)

「この手紙が届く頃、お前は“彼ら”と接触しているかもしれない」

「そう、“坂”のことだ。あの、終わらぬ斜面」


ドドメ「(始まったよ……)」


【回想:テンマの地獄の降臨】


テンマ(声)

「空から降りた?違う。落ちたんだ」

「滑った、転がった、途中でニニギが『いけっ!』って言った」

「俺、聞こえた。“お前が先に行け”って。あれ、完全に罠」


回想:

テンマ、脚をばたつかせながら回転。

途中で小石にヒヅメぶつけてパカーンという効果音。


テンマ(声)

「着地時、蹄の裏で星が見えた。地面より高く……」

「なぜ俺は生きているのか、今でもわからない」


【現実・読み終わるニニギ】


ニニギ「……とのことだ」


ドドメ「(え、あの手紙、内容ホラーじゃん)」


ニンジンを口にくわえたままフリーズするドドメ。

口からぽとりとニンジンが落ち――しかし!


ドドメ【イケボ(復活)】

「だが、俺は逃げない」

「坂が来ようとも、ニンジンの香りがある限り……!」

「俺の魂は、前へ進む(草地限定)」


ニニギ「よくぞ言った」


村人「……草地限定て」


【その夜・再び手紙の続きが届く】


追伸テンマより

「P.S. 神馬は祀られるって聞いてたのに、現地で馬小屋だった」

「あと民の子が“顔こわい”って泣いた。俺そんな顔してた?」

「そりゃするわ」


ドドメ「(やっぱ帰って正解だったんじゃ……)」


ニニギ「ドドメ、お前の顔は優しい。たぶん」


ドドメ「(たぶんてなんだよ!)」


ナレーション:


神馬は語る。坂は怖い。

でも今、ここに立つ馬は前を向く。

なぜなら――その先にニンジンがあるからだ。



第五話「嫁馬、爆誕!? 〜スイカより君が好き〜」


〜地の馬ドドメ、まさかの縁談〜


【ある日・集落の馬小屋】


ドドメ、昼寝中。

鼻先には残りかけのニンジン。幸せそうに寝言を漏らす。


ドドメ「(……もう一本……角度は左45度で……)」


そこへ突然の訪問者。


村長「神馬代理・ドドメ殿!急ぎ報告が!」


ドドメ「(え、まだ寝てる時間……てか“神馬代理”って枕詞いつ取れるの?)」


村長、満面の笑みで告げる。


村長「実は、隣村の名家から“ご縁談”が!」

村長「そのお相手、なんと白馬でございます!」


ドドメ「(えっ!?)」


【同日・広場】


村人総出の「お見合いセレモニー」がなぜか開催。

ドドメ、洗われ、磨かれ、花を飾られ、謎のカチューシャをつけられてスタンバイ。


ドドメ「(あの、俺、ただの地馬なんですが)」

民「いいじゃない、めったにないチャンスだし」


そして――

パカラッパカラッと現れる白馬。

たてがみツヤツヤ、まつげバッサバサ、鈴の音を響かせて登場。


???「お初にお目にかかります、ワタクシ、“ミコシロ”と申します」


ドドメ「(喋った!?いや、心の声か!)」

ミコシロ【声:高貴な乙女風】「このたびはご縁により……」

ドドメ「(うわ……気品の圧すごい……俺、ニンジンしか語彙ないのに)」


【会話タイム(心の声で)】


ミコシロ「ところで……神馬代理とお聞きしましたが、本当ですの?」

ドドメ「(うっ……)」


ドドメ「(本当ですとも!!)」キリッ【イケボ発動】

ドドメ【イケボ】「神の意思を背に、この地に祈りを刻む者……それが俺だ」

ミコシロ「まぁ……素敵……」キラキラ


民「急に空気が変わったぞ」

別の民「ほら風!風きた!イケボの時だけ風が吹く!!」


【その後・二頭きりの時間】


夕暮れ。並んで草を食むふたり。

ドドメ、ふと正直な思いを漏らす。


ドドメ「(……けど実は俺、神馬って言っても代理で)」

ミコシロ「(うふふ……私は“本当の白馬の王子”が来るのを待っていたけれど)」

ミコシロ「(でも今は、ニンジンに夢中なあなたが……ちょっと好きかも)」


ドドメ「(……それ、今までで一番嬉しいかも)」


【夜・報告を聞いたニニギ】


ニニギ「ふむ……馬にも婚姻があるとは。これは祝福すべきことだ」

ニニギ「我も近くの田の守り神と見合いの話が――」


民「それはどうでもいいです」


ナレーション:


愛は、ニンジンより甘く

風は、イケボの時だけ吹く


地の馬、神の使いのフリをして、少し本物に近づいたかもしれない



第六話


「結婚式、だいたい泥だらけ」


〜嫁馬ミコシロ、想いを語る。神と馬、人と民のはざまで〜


【式当日・神前の田】


村総出の「馬神前式」開催。

花で飾られた田んぼにて、ドドメとミコシロが並ぶ。


神主「ここに、神馬代理ドドメ殿と白馬ミコシロ殿の結婚を――」


ドドメ「(結婚て言っても俺、ただニンジン欲しいだけだったのに……)」

ドドメ「(でもまぁ……アイツと一緒に草食むの、悪くない)」


ミコシロ「(……あなたの隣で泥にまみれてるのが、不思議と心地よくて)」


その瞬間、空から――光が差す。


民「!? あの光……まさか――」


テンマ、幽玄な演出で一瞬だけ再登場(幻影?)


テンマ【心の声】

「ようやく、わかった。俺たちが“祈りを繋ぐ”ってこと……

それは、誰かの隣で、歩み続けるってことなんだな……」


ドドメ「(……テンマ、お前、急にイイ声でまとめに入ったな)」


【その後】


式の終わり、ドドメは静かにミコシロのたてがみに顔を寄せる。


ドドメ【イケボ】「……君となら、ニンジンがなくても……たぶん、生きていける」


ミコシロ「(うそ。絶対すぐニンジン探す顔してる)」

ドドメ「(バレた)」


ニニギ、馬たちを見つめてひとこと。


ニニギ「……馬も、祈っているのだな」

民「(いや、だいたいニンジンのためだと思います)」


ナレーション(シリアス寄り):


神の血を引く者も

地に生きる者も

四つ足も、二つ足も

誰かと願いを交わせば――祈りは繋がる。


最終話


〜そして、馬たちは神となった(っぽい)〜


【とある神社・現在】


境内には二つの馬像が並んでいる。

片や、凛と天を仰ぐ白馬。

片や、どっしり草を食む姿の茶色の馬。


観光客が案内板を読む。


観光客A「へぇ、左のが“神馬テンマ像”、右が“地馬ドドメ像”……」

観光客B「どっちも実在したんだってね」


そのとき――風が吹く。

どこからか、馬たちの心の声が流れ始める。


【回想:神社建立前夜】


テンマがふわっと雲に乗って地上に戻ってくる(今度は降臨成功)。


テンマ【イケボ(やや低め)】

「久しいな、ドドメ」


ドドメ「(よくまた来たな。滑らなかったのか?)」


テンマ「今回は階段ルートにしてもらった」


ドドメ「(文明……)」


ふたり、並んで草を食む。空には星。

ミコシロと村の子どもたちも見守る。


子「ふたりとも、かっこよかったね」

子「ねぇ、ふたりの像、神社に建ててもいい?」


テンマ「(……それって“祀られる”ってやつか?)」

ドドメ「(ニンジンが常時供えられるならアリだな)」


【そして現在】


観光客A「……この像の下、ニンジンの彫刻あるんだけど……?」

観光客B「本当だ、“祈りの象徴”って書いてある」


風がまた、木々を揺らす。

ふたりの像に、光が差す――。


テンマ【声】「俺は、神の使命で地に降りた」

ドドメ【声】「俺は、ニンジンのために走った」

ふたり【同時】「でもそれが、誰かの祈りに繋がったのなら……まぁ、いっか」


ナレーション(締め):


神馬テンマ、逃げ腰ながらも空を翔け

地馬ドドメ、ニンジンにつられて泥を越えた


そしていま、彼らの姿はこう記される――

「馬もまた、祈りを繋ぐものなり」


最終話・後日譚


「神馬奉納の由来 〜馬たちは語らず、ただ祈りを映した〜」


【舞台:時は流れて――社の建立前】


一人の民が、かつて田に立っていたニニギと馬たちの姿を思い出していた。


長老「……あの時、神の御子と共にあった二頭の馬……

 ひとつは天の導き、ひとつは地を知る者……」


【回想:ニニギと民たち】


ニニギの元に仕えた白馬・テンマと、地で共に歩んだ栗毛の馬・ドドメ。

天より降りたテンマは、その使命を終えて静かに空へ還った。

ドドメはその後も、田を耕し、人々の暮らしを支え続けたという。


だが――誰が言い出したのか、人々は語るようになった。


「あの天馬が地に降りたのは、ただ使命のためではなかった」

「ともに歩んだ地の馬と、何かを繋ぐためだったのではないか」


【神社建立の場面】


人々は語らい、ついに二頭を祀る社を建てる。

片方は空を仰ぐ姿、もう片方は草を食む穏やかな姿。


社の奥、神主が案内板に筆を入れる。


『祈りを繋ぐもの ― 神馬と地の馬 ―』


神馬は天より降り、

地の馬は人と共に在り、

その歩みは祈りとなりて、

天と地、人と神を、静かに繋いだ。


【現代・神社にて】


観光客たちが見つめる中、風がそっと吹く。


観光客A「……なんか、馬の像見てるだけなのに……あったかいな」

観光客B「そうだね……すっごい真面目な話らしいけど……」


そのとき、不意に木陰から一頭の馬が現れ、参拝客の供えたニンジンにちょっとだけ首を伸ばす。


モグッ


観光客A「……!? 今、動いた!? 本物!?」

神主(苦笑い)「あぁ、あれは代々この社に仕える“地の馬”の末裔です」


ドドメのひ孫「(……ニンジンうめぇ)」


ナレーション(マジトーン):


名も無き獣も、名も知れぬ人も

誰かの傍らで、ただ懸命に生きる姿が

いつしか“祈り”と呼ばれ、語り継がれる


――それが、神となるということかもしれない


〜完〜

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