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史上最高のサキュバスと契約を結んだのは良いけれど、何か思っていたのと違うのでチェンジしたいんですが……え、もう遅い?  作者: 釧路太郎
人魔共闘の章

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第十五話 特別解説

 本日のトリを飾るは常勝無敗の再挑戦者(リプレイヤー)であるまー君と天才魔法少女と呼ばれたかいりの一戦である。

 誰もがまー君の勝ちを信じて疑わない状況ではあるのだが、天才魔法少女と呼ばれたかいりが何か爪痕を残してくれるのではないかという期待感も高まっていた。


「さあ、いよいよ本日最後の戦いとなりましたが、ここまでの戦いを見て零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)さんはどのような評価となりますでしょうか?」

「そうですね。今まで同様まー君が圧倒的な力を見せて勝つという事だったのでわかりにくいとは思いますが、相性なんかの関係で戦いにくそうな様子は何度か見受けられましたね」

「ほう、まー君が戦いにくいとはどのような場合でしたでしょう?」

「私が見た限りでは、まー君自身よりも小柄な相手の場合は少しやりにくそうな印象を受けましたね。これは記録にも残っていることなのでご存じの方も多いかもしれませんが、数名のチームで勝負を挑んできた中で最後に倒されたのは全て一番小柄な選手でした。これは強さに関係なく、身長体重だけで判断しているようですね」

「つまり、零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)さんの見解では、まー君は小柄な相手を最後まで残してしまうという事ですね」

「そう言うことになりますね。もしかしたら、一番楽に倒せるから最後に残しているという可能性もありますが、体裁きを見ても小柄な相手の場合は少し窮屈そうにしている印象もあるんですよ」

「そうなりますと、まー君との戦いに参加を表明している天空の民さんにとっては良くないデータになっちゃいそうですね」

「あくまで私が集めたデータ上の話ですからね。もっとも、今までまー君を困らせるようなことが出来た人なんていないんですから、そんなデータもあてにならないかもしれないですけどね」


 愛華と零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)がいつものように映像を見ている人たちのために実況と解説をしているのだが、本日は特別ゲストとして天空の民も解説に加わることになった。

 今までも何人かゲストで解説を務める者もいたのだが、まー君と一度も戦ったことがないものは初めてだった。まだ戦ってないからこその視点での解説を大いに期待されての登場だった。


「では、本日はスペシャル解説として天空の民さんにもお越しいただきました。本日はよろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします。お二人の実況と解説は今までずっと拝見してましたので、今はちょっと不思議な感覚ですね。天空世界でも映像がリアルタイムで見ることが出来るので、お二人は凄く有名だったりするんですよ」

「そうなんですか。噂では他の世界でもこの映像が見れるって言うのは聞いたことがあったんですが、人類以外で見てくださっていた方にお会いするのは初めてですよ」

「天空世界以外にも地下世界や地獄なんかでも話題になってますからね。ほら、零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)さんが宣言したことで人間界とその他の世界との垣根がなくなったと言っても過言ではない状況になってるんですからね。そのおかげで私がこうしてここに来ることが出来たという事なんですよ」

「そうなると、零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)さんも自分のことながら誇らしく思っちゃうんじゃないですか?」

「そんな風に言われちゃうと、ちょっとみんなに自慢しちゃいたくなっちゃいますね」

「自慢しちゃってください。その代わり、私もお二人と一緒に解説したことを自慢しちゃいますから」


 試合が始まる前だからなのか天空の民も愛華も零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)も和やかな雰囲気でこれから始まる戦いを楽しもうとしていた。

 でも、三人の心の中ではいくら天才魔法少女と呼ばれていたところで小さな女の子であるかいりが奇跡を起こす事なんてあるわけがないと思い込んでいた。

 いくら零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)がかいりに有利なデータを集めたところで、そんなのはただ盛り上げるためだけのこじつけなんだという事も理解している。

 もちろん、それを聞いている者も同じ考えていたのだ。


 それでも、かいりが登場した時には誰もがその奇跡を信じていたいと思うのだろう。


「そう言えば、天空の民さんのことは何とお呼びすればいいのでしょうか?」

「今のまま天空の民で大丈夫ですよ。私たち天空の民にはあなたたちのように全員に姓名というモノがあるわけじゃないですからね。一部の優れた者だけが姓名を授かり、さらに優れた者が二つ名で呼ばれるようになり、誰からも認められるようになったものだけが真打として己の生き方を貫いていくことが出来るのです」

「なるほど、魔族や天使と同じような形式なのですね」

「まあ、天使なんかと一緒にされるのは不本意ではありますが、そう受け取られても仕方ないですね。私たちから言わせてもらうと、あなた方人間のように全ての者に名前があるなんて大変そうだなって思ってますよ」

「そう考えると、私みたいに立場や状況によって名前を変えるのはおかしい事じゃないってことになるんですかね?」

「確か、零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)さんは以前は違うお名前でしたよね。たしか、零楼館夜光(れいろうかんやこう)でしたっけ?」

「そこまでお詳しいのは嬉しいですね。ちょっとした理由がありまして、改名させていただきました」

「我々の世界と同じで、改名することによって立場も変わってるみたいですし、零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)さんの改名は良い事なんだと思いますよ。ですが、そのお名前はどうかなって思っちゃいますね」

「あ、それは私も思ってます。乳首をいじられるのが好きだからって、そんな名前にするのはどうなんだろうって思ってますもん」


 思わぬところで意気投合してしまった愛華と天空の民。

 少しだけ居心地の悪さを感じている零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)は一刻も早くかいりとまー君に登場してもらいたいと思っていた。

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