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史上最高のサキュバスと契約を結んだのは良いけれど、何か思っていたのと違うのでチェンジしたいんですが……え、もう遅い?  作者: 釧路太郎
人魔共闘の章

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第二話 全生命の敵

 世界の全てが敵になる。自分以外は全て敵だという状況でもまー君は落ち着いていた。どんな相手でも負ける自信がなかったという事もあるのだけれど、愛華に触れられていることで力を発揮することが出来ないという事の方が落ち着いている理由としては正しかった。

 まー君のことを心配そうに見つめる新人サキュバスのうまなちゃんとは対照的にベテランサキュバスのイザーちゃんは何かを企んでいるような顔で零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)のことを見つめていた。全員の視線をまー君が集めていたという事もあって、イザーちゃんのその表情に気付いたのはまー君一人であった。何かあるんだろうなという気はしていたのだけれど、今のまー君にはそんな事を細かく考える余裕はなかった。


 そんな事はお構いなしに、零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)の演説はまだ続いていく。


「誰もが戦いを避けたくなるような伝説を聞いたことがあるだろう。残念なことに、その伝説は真実であるのだが、少し過小評価されているものかもしれない。今のまー君の姿を見てわかる通り、愛華の能力によってその力を封じられているのだ。だが、これは本来ありえないことなのである。それはなぜか、諸君らの中にその理由を答えられるものはいるだろうか?」


 歓声だけではなく怒号もわずかに聞こえる群衆が一斉に静まり返った。零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)の問いに対して明確に答えられるものは誰もおらず、その理由とはいったい何なのか考えこんでしまったのだ。

 まー君もサキュバスの二人も零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)の質問の答えがわからず黙って立っているのだが、その反応が意外だったのか零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)も驚いているようだった。


「それって、私の能力が弱くなってるって言いたいのかな?」

「違う違う、そういう意味じゃないって。愛華の能力は前よりも強くなってるよ。そんなに力を入れたら、まー君が立っていられなくなっちゃうじゃない」


 なぜか怒りをあらわにした愛華は零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)から顔を背けてサキュバス二人に目で訴えかけていた。だが、うまなちゃんもイザーちゃんもそれにどう返していいのかわからず苦笑いを浮かべてごまかしていた。


「今のまー君の反応を見てもらえるとわかる通り、愛華の力の入れ具合によってエネルギーを奪う量が増えるんだ。当然力を入れれば奪える量が増えるわけだけど、そうなってしまうと愛華の肉体にも精神にも大きな負担がかかってしまう。だけど、本来であればそんな事をするまでもなく手を握られただけでまー君は立っていられないはずなんだ。失礼な話になってしまうかもしれないが、諸君らであれば愛華と手を繋いでしまうと一分と持たずに気を失ってしまうだろう。もちろん、そうならないように力を抑えることも出来るのだが、それをする理由がない」

「ねえ、それって何が言いたいのか全然わかんないんだけど。私にもわかるように教えてもらえるかな?」


 イザーちゃんから話しかけられて零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)は機嫌がよくなったようだ。機嫌は良いようなのだが、零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)はイザーちゃんの方を向くことはなかった。どこか照れくさそうな感じで答える零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)を見て観衆は少し引いていたのか声を上げるものはいなかった。


「簡単に説明させてもらうと、俺が聞いていた伝説上のまー君であれば愛華と手を繋いでしまうと立って歩くことは出来なかったはずなんだ。それどころか、サキュバス娼館と永久契約は出来たとしてもオプションを付ける余裕はなかったと思う。だけど、俺が知っているまー君と比べて明らかに魔力量も多くなってるんだ。それはなぜなのか、俺にはわからない」

「うーん、まだよくわからないんだけど、まー君がお前の予定よりも強くなってるからどうしようって思ってるってこと?」

「お前って言わないでほしいけどいいや。そう言うことだよ。もっと簡単に拘束できると思ってたし、人類だけでもまー君を行動不能にすることは出来ると思ってたんだ。でも、それじゃ力不足だろうという事で魔物の力も借りることにしたってわけ。もしかしたら、神や悪魔の力を借りることになるかもしれないけど、それに見合うだけの代償を支払うことが出来るか考えなくちゃいけないよね。まー君をどうにか出来たとしても、神や悪魔にイザーちゃんを差し出すことになっちゃったら本末転倒だもん」

「私たちは別に神や悪魔が相手でも構わないんだけどね。でも、そうなるとお前はかなりの時間順番待ちをするってことになるのかもしれないのか。私たちにはどうでもいい事なんだけど」


 相変わらずイザーちゃんの事を見ることが出来ない零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)にこの場にいる全員が冷ややかな視線を送っていた。味方であるはずの愛華もどうしていいのかわからなくなっているまー君も、話しに入っていけない新人サキュバスのうまなちゃんも冷たい視線を送っていた。


「つまり、まー君は俺が想定していたよりもずっとずっと強くなっていたという事だ。そう考えると、この男を再起不能にするなんて絶対に不可能だと思うかもしれない。この強い肉体に宿る強靭な精神力をもってすれば、どんな誘惑にだって耐えてしまうかもしれない。皆、そう考えても不思議ではないだろう。だが、どんな生き物にだって一つくらいは弱点が存在するだろう。完全無欠だと言われた初代零楼館夜光(れいろうかんやこう)にだって弱点はあったのだ。だからこそ、諸君らにはまー君の弱点を見つけてサキュバス娼館との契約を一時的にでもいいので保留状態にしてもらいたい。志は低いと思われるかもしれないが、この世界に住む生命体にとってはそれがたどり着ける一番高い目標だと言っても間違いではないはずだ。もちろん、それ以上のことを達成してもらっても構わないのだが、まー君の命を奪うことは禁止とさせていただく」

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