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史上最高のサキュバスと契約を結んだのは良いけれど、何か思っていたのと違うのでチェンジしたいんですが……え、もう遅い?  作者: 釧路太郎
プロローグ

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第三十話 キレる中年

 零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)が良からぬことを考えているという事は今日が初対面のまー君でもわかった。良いことを思いついたと言われて本当に良い事だった経験がないというのもあるのだけれど、零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)の話し方と表情が信用出来ないいやらしさを物語っていた。


「まー君、あんたはまだ子供なのにもかかわらずイザーちゃんたちと永久契約を結んでしまった。それはまだいい。あんたが再挑戦者(リプレイヤー)であるという事を考慮すれば、自分の今の肉体年齢が何歳なのかわからなくても仕方ないよな。俺は強くてニューゲームを選んだ経験が無いから想像することしかできないけど、新しい人生を強いままやり直すのって記憶も引き継いでるんだろ?」

「記憶は当然引き継いでるよ。そうじゃなきゃ魔法も色々な技も一から習得しないといけなくなるからな」

「強くてニューゲームと弱くてコンテニューの違いがよくわからないんだけど、弱くてコンテニューも当然記憶は引き継いでるんだよな?」

「コンテニューって言ってるんだから当然でしょ。本当におかしくなっちゃったの?」


 誰もが知っていて当然のことを質問されるという事は答える方にとってストレスに感じてしまう。まー君も愛華もほんの少しだけ気分が悪くなっていた。

 ただ、それは零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)の質問が気に入らないという事だけではなく、これからどんな面倒くさいことを言われるのかという不安があったからだ。まー君だけではなく愛華にとってもよからぬことだと感じているのは、自分の仕事を勝手に増やされる可能性が高いという前例があるからだ。


「それにしても、あんたをこの世界から抹消したところでイザーちゃんたちが解放されるってわけでもないだろうし、どうすればいいんだろうな。ところで、あんたが成人になるまでの間の期間だけでも俺に権利を割譲してくれるつもりはないのかな?」

「そのつもりはない。俺と契約してもらった以上、誰かを間に挟むなんてことはありえない。精神的にも肉体的にも耐えられないから」

「その肉体では童貞でも、あんたの記憶には様々な女を抱いてきたってことだもんな。そこまで潔癖にこだわる必要なんてないと思うけど。だって、イザーちゃんたちはサキュバスなんだぜ」


「サキュバスとかサキュバスじゃないとか問題じゃないんだよ。イザーちゃんもうまなちゃんもサキュバスである前に一人の女だからな。それに、俺にとって大事なのは、俺と俺の間に余計な男が入り込まないってことだからな。あんたみたいに得体のしれない変な名前のやつは他の誰よりも嫌だね」

「そんなにこだわるもんでもないと思うんだけどね。世界最高ランクのサキュバスなんて人類のいや、世界中に存在するオスにとっての至宝と言っても過言じゃないと思うんだけどな。案外、その潔癖さがあんたの強さの秘訣なのかもしれないな」


「意外だな。まー君がサキュバスに対してそんな風に思ってるなんて考えもしなかった。乳首郎(ちくろう)みたいに女を性欲処理の道具としか考えてないのかと思ってた。こいつはイザーちゃんに乳首を開発されたのが気持ちよすぎて名前を買えたくらいの変態だからな。あ、私はこいつのオモチャにはされてないからね。こいつが私の体に触ろうとしたら離れるようにしてるし」

「ちょっと愛華ちゃん、あんまり変なこと言わないでよ。照れちゃうじゃない」


 本当に気持ち悪い男だなとまー君は思った。

 もちろん、愛華もこいつは気持ち悪いんだと改めて思っていた。


「そんな事よりも、俺が思いついた良い話を聞いてもらえるかな?」

「え、普通にいやだけど。興味ないし」

「そう言わないでさ。ね、悪い話じゃないから」

「絶対に良くない話だろ。どうせ、あんたにだけ都合のいい話ってことだろ?」

「まあ、当然俺にとって都合のいい話にはなるんだけど、それだけじゃないよ。当然まー君にもいい話だと思うし、イザーちゃんたちにだって悪い話じゃないと思うんだ」


 自分と零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)の二人にとっていい話だという言うのはまだ理解出来るのだが、どうしてそこでイザーの名前が出てくるのだろう。まー君はここにきて一番強く警戒していた。


「ねえ、まー君と乳首郎(ちくろう)にとっていい話ってのは分かるんだけどさ、なんでここにいないサキュバスの名前が出てくるのかな?」

「それはだな。永久契約を結んでいるとはいえ、実際にプレイできない今の状況ではイザーちゃんたちは精力を供給してもらえないってことなんだよ。だから、あんたには成人するまでの間少しだけ我慢してもらって俺たちを受け入れてもらおうって話だよ。きっと、この話を聞いたらイザーちゃんたちも喜ぶと思うんだけどな」


「そうはならないと思うよ」


 まー君は零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)に対してまっすぐな視線を向け、契約について教えてあげることにした。なぜなら、永久契約だけではなくオプションとサブスク契約も結んでいることを知れば考えを改めるだろうと考えたからだ。


「へえ、そんな契約もあるんだね。それだったらサキュバスちゃんたちも安心だね。あんたが余計な気を回す必要もないってことじゃん。良かった良かった」


 いつの間にか体操服に着替えていた愛華はその場にしゃがみこむと安心したような微笑みを浮かべていた。直接接点はないのかもしれないが、サキュバスとはいえ同じ女性であるうまなちゃんとイザーちゃんが生活に困るような事態にはなっていないと聞いて安心していたのである。

 だが、それを聞いても零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)は納得していないようだ。


「……ない、全然……ない。そんなんじゃ、……良くない。…………意味わかんない!!」


 少しずつ声の大きさが上がっていき、最後には叫ぶように声を張り上げていた。

 目の焦点もあっていないまま零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)はまー君を見つめると、一瞬で距離を詰めて両肩を掴んでいた。

 反撃をしようと試みたまー君ではあったが、零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)の気迫に押されたのかいつもの力を発揮することが出来なかった。なぜか、自分の後ろに愛華が隠れているという事も関係しているのかもしれないが、まー君は反撃をせずに零楼館乳首郎(れいろうかんちくろう)の話を聞いていた。


「サブスク契約なんて聞いてないんですけど。そんなのあるんだったら最初から言えよ。もったいぶっちゃってさ、俺をバカにして楽しんでたってことだろ。本当に性格悪いよ、君!!」

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