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史上最高のサキュバスと契約を結んだのは良いけれど、何か思っていたのと違うのでチェンジしたいんですが……え、もう遅い?  作者: 釧路太郎


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第十話 抜け道を探せ

 未成年であることを受け入れるしかないまー君ではあったが、どうにかして自分が置かれている状況を打開することが出来ないか考えていた。

 法律自体を変えてしまうのが一番手っ取り早いと思ったのだが、それをするにも時間がかかりすぎてしまって意味がないようだ。自分が思っているよりもこの世界の仕組みは単純ではないという事がわかっただけでも収穫なのかもしれないが、そこで納得してしまっては史上最高ランクのサキュバスたちと永久契約を結んだ意味がなくなってしまう。若い肉体を手に入れた今、持て余すほどの力を解放するためにもちゃんとした正規の手段を取らないと後々悪い影響が出てしまいそうだ。

 いっそのこと、この世界を自分の力で征服して好き勝手やってしまおうかとも思ったのだが、それをしてしまうと魔王がこの世界に誕生しなくなってしまう可能性が高くなってしまう。以前にどこかの世界線で勇者の一人が魔王に成り代わって世界を征服して好き勝手なことをしていたことがあったみたいなのだが、そいつは他の勇者の手によって討たれたというような話を聞いたことがある。もちろん、魔王になった勇者は 再挑戦者(リプレイヤー)として新しくやり直すことは出来なくなっていたと神を名乗る者から聞かされたりもした。

 そう考えると、まー君が魔王のようにこの世界を征服することには大きなリスクが付きまとってしまう。でも、 再挑戦者(リプレイヤー)として新しくやり直す気がないのであれば気にしなくてもいいような気がしないでもないと思っていたようだ。


「ああ、それは駄目だね。私たちは 再挑戦者(リプレイヤー)のまー君と契約したんであって、世界を征服するような悪いまー君とは契約してないから。もしも、この世界をその力で征服しちゃうって言うんだったら契約は破棄されることになるよ」

「私たちが所属するサキュバス娼館は魔王とは契約を結べないからね。世界を征服しようとする人はこの世界の害虫と言ってもいいだろうし、そんなやつとは契約を結べないんだよ。だって、力で世界を支配しようとするってことは、ルールや決まりを守る気がないってことだもんね。そんな人とは怖くて契約なんて結べないよ。力でこっちの都合の悪いように契約内容を書き換えられても困るし」


 世界を征服してしまえば何とでもなると考えていたまー君ではあったが、世界を力によって支配するような人がサキュバスとの契約を守るとは思えないから契約できないと言われたことに納得は出来た。この世界の決まりを力を持って強引に捻じ曲げるようなやつとは怖くて契約を結べないという気持ちは理解できたからだ。

 だが、それでもまー君は何とかなるのではないかという淡い期待を胸に抱いていたのだけれど、一瞬のうちにソレは消えてしまった。そんなことを考えている時点で今の契約を破棄されてしまうかもしれないという脅しのような圧力を感じて素直に考えを改めていた。


 それならば、いっそのこと自分ではない誰か他の人を魔王として育てて倒してしまえばいいのではないだろうか。

 完全な自作自演の冒険になってしまいそうだが、この世界に現れるはずの魔王を討伐するという事なら何の問題もないはずだ。第二第三の魔王が現れないという保証はどこにもないけれど、自分が新しくやり直すことが出来るのであればそんな事はどうでもいい。

 自分の欲望のために素直に行動することも大切なことなのだ。


「うーん、それはどうだろう。私は何とも言えないけれど、完全にアウトとも言い切れないんだよね。まー君が次世代の魔王を直接育てるってことになるとアウトだとは思うけど、間接的に育てるんだったらグレー寄りにセーフに近いかも」

「私は大丈夫なんじゃないかなって思うけど。規約にも魔王を育ててはいけませんとは書かれていないし、 再挑戦者(リプレイヤー)としてやり直すための条件は魔王を討伐することとしか書かれていないんだよ。その魔王がどこからやってきてどんな人生を送ってきたかなんて関係ないんじゃないかな?」

「でも、そんなズルいことしても怒られないのかな。あんまりよくないことだと思うし、この世界に誕生するであろう魔王の立場もなくなっちゃうんじゃないかな?」


 魔王を育てる勇者というのは倫理的にもコンプライアンス的にもアウトのような気もするのだけれど、それをこの三人は判断することが出来ない。

 そんなことが許されるのであれば、魔王と戦うという危険な行為が自分都合でどうとでもなく簡単なイベントに成り下がってしまうのではないかという懸念があった。

 しかし、その懸念はまー君に対しては当てはまらないような気もしていた。


「自分で育てた魔王が弱っちい感じであっさり倒せるのが問題だって二人は思ってるんだよんね?」

「ある程度の強さがないと魔王として認められないと思うんだけど。仮に、魔王の能力の下限に設定しておいてまー君がそいつと戦うことも出来たりするのが良くないとは思うな」

「あるいは、自分の得意攻撃が全て魔王の弱点になっているように育てることも出来ちゃうもんね。そうなっちゃうと、倫理的に問題が出てきちゃうと思う」

「それが問題だったとしたら、何の問題もないという事になるんじゃないかな? だって、戦うのは俺なんだよ?」


 俺なんだよという言葉を聞いてもうまなちゃんとイザーちゃんの頭には疑問符しか浮かんでいなかった。

 自分にどれだけの自信があるんだと思いつつも、まー君の実績を改めて確認すると……納得するしかなかった。


「どんなに強化されている魔王だって俺の敵じゃなかったからね。何だったら、俺以外のやつが倒せないくらい強い魔王を育てるのも面白いんじゃないかな」

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