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第四十九話 王国陥落


「なんやっ!! こいつ、味方やったんか!!」


 タケっちの大声が、壁も天井も崩れ去った王宮最上階に響き渡る。


 終は淡々とタケっちへ説明を始めた。

 王国の秘密を暴き、封印されていた力を得たこと。

 その力でラディウスを召喚したこと。

 そして王国を手中に収めるために工作してきたこと。


「ほう!! それで王国は手に入れたんか!?」


 タケっちの目が、まるで子供のように輝いている。


「それはこれからさ。……といっても僕が国を治めるわけじゃないんだけどね」


「ほーん。 また、難しいこと考えてるんやな」


「そうでもないさ。……僕は僕のしたいことをするだけだよ」


 そう。

 僕は僕のしたいことをするだけ。

 だからあの正体不明の“黒い影”の思い通りになんてならないさ。


 タケっちはそんな終の顔を見てニカッと笑うと、軽く拳を打ち合わせた。


「まあ、そうやな!目的を持って行動するのが一番や!!」


 その言葉に、終は少しだけ笑みを返す。


「……そういえば。今更だけど、君が王国に来た理由って何だったの?」


 終の問いに、タケっちは「あれ?言ってへんかったっけ?」と頭をかき、すぐさま語り始めた。


「妹を探しててな。なんでも有名な占い師がこの国におるって聞いてな。あ、妹は占いがめっちゃ好きでな。んでな――」


 止まらない。

 まるで噛まずに回転するマシンガンのように、次々と妹の話が続いていく。


 終は(……ああ、その占い師ね)と内心で微妙な表情を浮かべながらも、黙って聞いていた。


「――って感じで妹のやつは本当におしゃべりでな。いたらすぐにわかると思うんやけど、どうやらこの国には来てないっぽいんや」


「……なるほどね。その占い師なら帝国に行ったって聞いたよ」


「マジでかっ!! んなら、俺はその帝国にちょいとばかし行ってくるわっ!!」


「うん、行ってくるといいよ。僕もそのうち帝国へ行くからさ」


「おうよっ!!  その時はよろしく頼むでっ!!」


 タケっちはそう言い残すと、瓦礫の山を跳ね越えて駆けていった。

 その背中を見送り、終は小さくため息をつく。


「さて。……準備はできてるかな?……ユナ」


「もちろんです」


 静かな声と共に、どこからともなくユナが現れる。

 その後ろには、血の気の失せた国王の遺体が横たわっていた。


 終はラディウスへ視線を向ける。


「ラディウス。……君に体を与える。そしてこの国を魔王国として治めてくれ。国王の姿を使ってな。僕は身を隠す」


『……御意。』


 ラディウスは膝をつき、主への忠誠を示した。


 

◇ ◇ ◇


 そして――王国は陥落した。


 バン率いるマフィアや王国兵によって、地下へ逃れられた者もいた。

 だが逃げられなかった多くの人々は、新たな支配者――魔王ラディウスのもとで生きることになる。


 重く、冷たい風が吹き抜ける瓦礫の王宮で、

 終はただ、無感情に空を見上げていた。

 



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