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第四十六話 狂宴の終焉


 大剣と骨剣が火花を散らす。

 王宮最上層は既に建物の体を成しておらず、吹き荒れる風と魔力が瓦礫を宙に舞わせていた。


「そいやっ!! とりゃああっ!!」


 タケっちは大剣を握り直すと、左足を踏み込みながら、刃に渦巻く斬撃を纏わせた。


「タケっち旋風連撃っ!!」


 一撃、二撃、三撃――空気を切り裂く斬撃が連続してラディウスへと放たれる。

 ラディウスはその全てを骨の盾で防御したが、斬撃が盾を割り、その破片が体を切り刻む。


(これほどの連撃……いや、まだ余力を残しているというのか)


 だが、痛みはない。代わりに奇妙な感覚があった。


(愉しい……?)


 骸骨の胸奥に生まれる、戦いへの昂り。

 それは主への忠義以外で初めて覚える感情だった。


『……次は我が技だ』


 ラディウスは両腕を地に突き立てる。地面を這う骨の波動。

 タケっちの足元から無数の骨の杭が噴出した。


「ラディウス、技名言わんと!! 盛り上がらんやろ!!」


『……《死杭槍陣》』


「ナイスゥ!!」


 タケっちは杭を軽やかに跳躍で避けながら、最後の一本を踏み台にしてラディウスへと急接近する。


「はいっ、タケっちバージョン2・雷迅突きっ!!」


 稲妻のようなスピードで突きを繰り出すタケっち。その大剣の切っ先はラディウスの骸骨の首元に突き立てられた。


 砕ける頭蓋骨。

 しかし灰となった骨は渦巻き、再びラディウスの形を形作る。


(くっ、またしても。……しかし、この男……何故こうも愉しい)


 骸骨の奥底で、高揚感が燃え上がる。


『……ならば、これを受けよ。《屍軍葬撃》』


 ラディウスは地面に両掌を広げると、周囲から無数の骸骨兵が呼び出され、一斉にタケっちへと襲いかかった。


「おっしゃああ!! 乱戦大好きやでぇ!!」


 骸骨兵を切り裂き、斬り伏せ、時に蹴り飛ばしながら、タケっちは旋回する。

 それは雷鳴が舞う竜巻のようだった。


『……戦いとは、かくも愉悦か……』


 久しく心揺さぶられることのなかったラディウスは、無意識に笑っていた。


「ほな、そろそろ決めよか……!?」


 タケっちは大剣を天に翳す。

 赤雷が大剣を伝い、地面を焦がす。


『……ならば、我も最大級で応じよう』


 ラディウスは胸元の魔石を震わせ、全身から黒焔を吹き上げる。

 骸骨兵全てが砕け、黒焔となってラディウスに吸い込まれていった。


 王宮が軋む。


「タケっち、最終奥義――雷鳴武神斬!!!」


『ラディウス奥義――《黒焔終獄葬》』


 奔る雷撃の轟刃。

 噴出す漆黒の焔。

 

 二つの技が交錯する――その瞬間。


 ズゥゥゥゥゥン……ッ!!


 天地が歪むような轟音と共に、二人の間に黒い魔力の奔流が走った。


「……なっ……誰やっ!!」


『……!?』


 黒焔も雷刃も、そのドス黒い魔力によってかき消される。

 王宮の崩落さえも止まったように、空気が硬直した。


 闇の中心に立つ影。


 その気配は、タケっちにもラディウスにも、かつて感じたことのない『底知れぬ恐怖』を感じさせるものだった。




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