ep96 チームヤソガミ
「や、ヤソガミ氏。自分は別にいいって言ったじゃないか……」
嫌がるライマスを無理矢理引っぱって森を進む俺たち。
「じゃあお前ひとりでなんとかなるのか?成績ヤバいんじゃないのか?」
「そ、それは......」
「だったら俺たちと組むのはお前にとっても最善の策だろ?」
「そーだそーだ。お前も素直になってチームヤソガミに入れし」
「チームヤソガミ?」
「あーしが考えたんだ」
エマはえっへんとなる。
「わかりやすくていーだろ?」
「いいね。チームヤソガミ。ぼくも賛成だよ」
「わたしもいいと思う」
フェエルとミアも賛同した。
かくしてここに『チームヤソガミ』が結成される。
「チームヤソガミか。良いではないか」
頭上のイナバも笑いながら賛意を示す。
「仕方ない。特別顧問はオイラが担当してやろう」
「やっぱりリーダーは、俺なんだよな...」
「決まっておるじゃろ。立場が人を作るとも言う。たかが友人同士のグループと言えばそれまでじゃが、これも成長の良い機会かもしれん」
なんとなく物怖じする俺に、フェエルもエマもミアも、期待の眼差しを向けてくる。
かつてぼっちだった俺が、みんなのリーダー。
本当にいいのだろうか。
「シャキッとせい!」
「いてっ!」
頭上のイナバからおでこをペシッと叩かれた。
「いきなりなんだよ」
「わからんのか?お主がいたからこそ、お主が行動したからこそできたものなんじゃぞ?チームヤソガミとやらは」
「俺はあくまできっかけってだけで...」
「ふん。鈍い奴じゃな。気づかんのか?はからずも目的の達成に進んでいるのを」
「目的の達成?なんの話だ?」
「お主は魔法学園に何のために来たんじゃ?いや、何のためにオリエンスに来たのじゃ?」
一瞬思考が巡り...はたとした。
この世界に来たばかりの頃、イナバに言われた言葉が頭の中で蘇る。
''お主はいずれオリエンスを救うべく共に闘う仲間を探さなければならぬ''
学園生活でいっぱいいっぱいで完全に忘れていた。
正直、今更感すらある。
そもそも本当にオリエンスに危機が訪れるのか?
危機が訪れたとして、先頭きって闘うのが俺なのか?
万が一俺だとして、一緒に闘う仲間がフェエルたち?
「ま、今は深く考えんでもよい。まずはこの魔術演習とやらに集中せい」
いやあんたが考えさせたんだろ、と言いたかったが言葉を飲み込んだ。
「とにかく」
俺は仕切り直す。
「ライマスも俺たちと一緒に来い」
ライマスも加えて五人となったチームヤソガミは、森を進んでいく。
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