ep91 特別クラス③
後から知ったことだが、ランラ・リンリのレイ姉妹とエマは受験会場で隣だったらしい。
フィッツジェラルドバンクの娘でかつ鏡魔法という珍しさもあり、その時から認識されていたようだ。
入学してからは、クラスこそ違えど顔を合わすたびに何かと気に障ることを言われていたんだとか。
ちなみに、レイ姉妹とシャレクは特別に生徒会室で食事をしていて昼休みに食堂へ来ることはない、というのも後から知ったこと。
「姉さん。エマさんが可哀想です」
また妹のリンリが姉を諌める。
「それ以上事実を突きつけるのはやめてあげてください」
その言葉にも棘がある。
もはやわざととしか思えない。
特待生という手前、ここは俺が言うべきか。
というより、これはちょっと看過できない。
「おい。いい加減にしろよ」
俺が口にするなり、隣にいたミアとフェエルの目つきが変化する。
特にミアの目には並々ならぬ怒りを感じる。
ミアのこんな目、初めて見る。
「あ?なにがイイ加減にしろだ?」
まったく引き下がらないランラ。
予想通りだがめんどくさい。
これじゃほとんどトッパーたち不良どもと変わらないじゃないか。
なまじ優秀な分、ヤツらよりタチが悪いとも言える。
「な、なあ、ヤソガミ。あーし、大丈夫だから」
あたふたとしながらエマが俺の腕を掴んできた。
その顔は、普段の元気なギャルお嬢のそれじゃない。
「あーしのことはいいから。もうやめて」
「でも明らかに侮辱されてるぞ」
「ち、ちがうんだよ」
「ちがう?」
この後、エマが口にした言葉は予想外のものだった。
「因果応報なんだ」
俺だけじゃない。
ミアもフェエルも「え?」となった。
「ほら。あーしさ?ヤソガミのこと貶めようとしただけじゃなく、ミャーミャーのこともフェエルのこともバカにして傷つけてきたじゃん?だから、きっとその罰を受けてんだ。だから、あーしはこれを受け入れなきゃいけないんだ」
沈鬱な顔に力ない笑みを浮かべるエマ。
贖罪意識。
よくわかる。
俺もそうだったから。
でも、そういうものはすでに解決していると思っていた。
今ではエマとミア、フェエルの関係は良好だから。
そんなあいつらを見て、俺の贖罪意識も救われていたんだ。
「あーしのことは、いいから......」
エマがうなだれた時。
「エマちゃん!フザけないで!」
いきなりミアが物凄い剣幕で怒鳴った。
エマ以上に、俺がびっくりした。
こんなミア、見たことない。
「そんなことで、わたしが満足するとでも思ってるの!?」
ミアの大きな目には、怒りというより悲しみが滲んでいる。
「ぼくは、気分が悪いよ」
フェエルもミアに続いた。
「エマちゃんがそんなふうになっているのを見ると」
「ミャーミャー、フェエル......」
エマがおそるおそる顔を起こすと、ミアとフェエルはふっと微笑を浮かべる。
つられてエマの顔にも笑顔が蘇った。
......改めて俺の気持ちも救われた思いになる。
もう、中学の頃とは違うんだ。
二度と同じようなことは繰り返さない。
当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。
面白かったら感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。
気に入っていただけましたら今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。




