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八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった  作者: 根立真先
過去と今

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ep80 魔法病院

 * * *


 

 あれから『キャットレーパン工房ねこパンち!』は堅調のようだ。

 エマが積極的に手伝いに行っているのも功を奏しているのかもしれない。

 本人いわく「鏡魔法の練習」らしいが、やはりあの広告映像の効果は絶大なんだろう。

 何より......ミアとエマの関係がすっかり修復されたのは本当に良かった。


「なんだよ?あーしの顔じっと見て」


「べつになんでもないよ」


「え?カワイくて見惚れちゃったとか?」


「だからなんでもないって」


「ごまかすなよ。こんなカワイイあーしとデートなんだもん」


「いやデートではないだろ」


 休日の今日。

 俺はエマと一緒に、ある場所へ来ている。

 ここ最近のゴタゴタがやっと落ち着いたので、気になっていた問題を確かめるためだ。


「ヤソガミタカツグさん」


 名前が呼ばれる。

 俺とエマは視線を交わし合い、椅子から立ち上がった。




「君が噂のヤソガミ君と神使の白兎だね。ハウ先生から話は聞いているよ」


 診察室に入ると、ドクター・ベルリオーズが興味深そうに俺を迎えた。

 そう。

 俺は今日、ハウ先生からの紹介状を持って魔法病院にやって来ていたのだ。


「ベルリオーズ先生。お久しぶりっす」


 本人の希望でエマも同行していた。

 ドクター・ベルリオーズは薄く会釈をしてから、さっそく診断を開始するためエマをいったん退席させる。


「では、はじめるよ」


 俺はイナバを隣の椅子に置き、なすがままに診断を受けた。

 といっても、俺が日本の医療機関で受けたことのある診察と大して変わらない。

 だが、ドクター・ベルリオーズの動作のひとつひとつからは、何かが伝わってくる。

 おそらく、魔法だ。

 彼は魔術による診察を行なっているんだ。


「もっと肩の力を抜いてもらって構わないよ」


「あ、は、はい」


 俺は緊張していた。

 それは......ドクター・ベルリオーズがダイヤモンドクラスの国家魔術師(レースマグス)だったから!

 しかも世界にその名を轟かす超一流の医療魔術師。

 なんでも紹介状がないと、まず診察を受けることも不可能らしい。

 いったい何歳なんだろうか。

 ハウ先生より上だろうけど見た目は若い。

 ブロンドの長髪を結び、理知的で端麗な顔はおそろしく男前。

 背も高くスタイルも声も良い。

 いったい天は何物を与えたのか。

 こんな白衣姿の超絶イケメン紳士、見たことない。


「ん?どうかしたのかね?」


「い、いえ、なんでもないです」


 やばい。

 ついじっと見つめてしまった。

 世のご婦人方ならとっくに鼻血垂らしてぶっ倒れているかもしれない。

 

「はい。もういいよ」


 診察が終わる。

 ドクター・ベルリオーズは再びエマを呼び込んだ。

 並んで座る俺とエマに向かい、彼はクールな面持ちで説明を始める。


「まず結論から言おう。ヤソガミ君。君には魔力がない」


 俺とエマは顔を見合わせた。


「二人とも理解できないといった顔をしているね。ではもう少し正確に言おう。

 ヤソガミ君には、()()()()()()()()()()()()()()魔力はない、という言い方が正しいね」


 ドクター・ベルリオーズはあらためて俺を凝視する。


「つまり、君の魔法は、現在定義されている魔力以外の何かを動力源として行使されているということになる。これは実に興味深いことだ」


「あの、ベルリオーズ先生。俺以外にも事例はあるんですか?」


「もちろんある。一部の地方でのみ伝承されている(まじな)いがその典型だ。元々は呪いも魔法の一種とされてきたが、現在では魔法の定義からは外されている。呪いの力は魔力とはされていないんだ。今では呪い自体が(すた)れてしまい、目にすることはほとんどなくなってしまったけどね」


「はあ」


「結局のところ、時代や研究の進歩によって定義も変わってしまうんだ。したがって君に魔力がないといっても、それはあくまで今現在の定義上の魔力がないという意味だ。いずれにせよ興味深いことには相違ない」


 ひととおり説明を受けても、正直よくわからない。

 エマも、うーんと(うな)るだけ。

 そんな中、イナバが俺の頭にぴょーんと飛び乗った。


「ドクター・ベルリオーズよ。小僧をどう思う?」


「どう思う、とは?」


「魔術師としての将来性じゃ」


 そんな単刀直入に()いちゃう?と思ったが、訊いてしまったからには答えを聞かずにはいられない。


「それは私よりも、君をスカウトしたジェット・リボルバーや、彼女の師である理事長に訊くのがいいだろう。それが私の答えだよ」


 お茶を濁したような回答をするドクター・ベルリオーズ。

 彼はエマを一瞥(いちべつ)してから説明を続けた。


「医療魔術師の私からすれば、魔力の大小は魔術師にとっての一要素に過ぎない。筋肉量や筋力だけで格闘の優劣が決まらないのと一緒だ。剛の魔術もあれば柔の魔術もあるし、知の魔術もある。その辺は君たちの担任が誰よりもよくわかっていると思うがね」

当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

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気に入っていただけましたら今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

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