表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/162

ep6 魔法犯罪組織

 村長テラダはこくんと頷くと、憂惧(ゆうぐ)の面持ちで語りはじめる。


「実は最近この島に、ある犯罪組織の一味が潜伏しているらしいという噂があるのです」


「犯罪組織?どんな奴らじゃ?」


「わかりません。ですが昨日、ある事件が起こりました。なんと、この島の警備を担当していた国家魔術師(レース・マグス)が何者かに襲われて重傷を負って本島に送還されてしまったのです!こんなことはまず滅多にない!」


「ふむ。それはおそらく......ただの犯罪組織ではないな」


「はい。魔法犯罪組織かと思われます」


「魔法犯罪組織!?」


 思わず俺は声を上げてしまった。

 だって、魔法で犯罪組織だぞ!?

 さっきまでは魔法って聞いて漠然とファンタジーなものを思い浮かべていたけど......つまりは魔法を使って悪事を働く集団ってことだよな?

 いやいや怖い怖い!


「そして問題はそれだけではないのです」


 村長はさらに表情を曇らせる。


「まだ代わりの魔術師が派遣されて来ていないのです。昨今、国家魔術師の人手不足が問題視されていましたが、それが原因でしょうか」


「なるほど。ということは、今このタイミングで〔ゼノ〕が現れたら大変なことになると」


「そういうことです」


 ......イナバの言った〔ゼノ〕とは、いわゆる魔物の総称だったよな。

 なんでもイレギュラー的に生じる〔次元の裂け目〕から時々、人間の国に迷いこんで来るらしい。

 それを退治して治安を守るのが国家魔術師だったっけ?

 最初にイナバから説明を受けたときは、あまりにも非現実的過ぎて話半分どころか話十分の一ぐらいで聞いていた。

 だけど、こうやって他人の会話の中で聞いていると、にわかに現実味を帯びてきたかも......。


「それで不審者と思われる存在に敏感になっておったというわけか。小僧、納得したか」


 イナバが様子を(うかが)うように俺のことをチラッと見てきたけど、

「まあ、うん」

 首肯(しゅこう)するしかなかった。

 だって、俺にとっては何もかもが青天の霹靂(へきれき)みたいな話で納得するもしないもないから。

 口に出したらイナバに怒られそうだけど......。


「......ところで」


 ここで村長がひと息の間を置いてから話を切りかえた。


「物騒な話をした後で言うのもなんですが、もしよろしければワシらの村でゆっくりしていきませんか?田舎だが歓迎させてください」


 これって願ってもない申し出だよな?

 でもイナバはどう考えるのだろうか?

 そう思ったのも束の間。


「うむ。では歓迎を受けてやろう」

 

 イナバはあっさりと承諾した。

 

「今はそうするしかあるまい。今後に向けてまずはここを拠点にするぞ」

当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

面白かったら感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

気に入っていただけましたら今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ