表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

51/162

ep51 ミア・キャットレー(ミア視点)⑥

「なんか言えよ!オイ!」


 エマちゃんはさらにわたしへきつく迫ってくる。

 その時。


「ぎゃーぎゃー(うるさ)いな」


 おじさんが手に持ったステッキをエマちゃんに当てた。


「少し大人しくしてろ」


 次の瞬間。

 バチバチバチィッ!という音とともに、

「きゃあぁぁぁぁ!!」

 エマちゃんの痛烈な悲鳴が部屋に響き渡った。


「大袈裟な声を上げるな。ロテスコ様の雷魔法で軽く(しび)れさせただけだ。お前は大事な人質だからな」


 後ろの部下のひとりが言った。


「ステッキはロテスコ様のアルマだ。本気を出したらこんなもんじゃない。痛い目を見たくなかったら余計な口はきくな」


「そんなわけだ。そっちのネコミミお嬢ちゃんも気をつけな」


 ロテスコがわたしを冷たく一瞥(いちべつ)した。

 背筋がゾッとする。

 面と向かって犯罪者に睨まれたことなんてこれまでの人生で一度もない。


「あ、あ、あ......」


 エマちゃんは苦しそうに(うめ)きながらぐったりとしている。

 ロテスコは濁った薄ら笑いを浮かべた。

 

「オイオイこんな程度で気絶するなよ?フィッツジェラルドの娘には脅迫の材料になってもらう必要がある。父親に向かって悲鳴ぐらいは聞かせてもらわんと困る」


「エマちゃん!」


「ネコミミお嬢ちゃんは良い商品になりそうだ。若い亜人の娘は買い手が多いからな」


 ......もうダメだ。

 目の前にいるのは本物の犯罪人。

 もうどうすることもできない。

 なんでわたしたちがこんな目に......いや違う。

 きっとわたしたち、罰が当たったんだ。

 これは悪いことをした罰なんだ......と、すべてを諦めかけた時。



 ドガァァァァン!!



 突然の爆音とともに信じられないことが起こる。

 板で固く閉ざされていた開かずの窓が、外からブチ抜かれた?


「な、なにが起こった!?」


 わたしたちだけじゃない。

 ロテスコたちも動揺を隠せない。

 やがて巻き上がる塵煙(じんえん)の中から......ひとりの姿が浮かび上がる。

 それは、リュケイオン魔法学園の制服を着た、黒い長髪をなびかせる小柄な女の子。


「あの()は......ヤソミ!?」


 ヤソガミの元カノ、ヤソミが窓をブチ破って部屋に侵入してきた!?


「誰だお前は!本当に学生なのか!?ここは五階だぞ!?」


 途端にロテスコたちが血相を変えて警戒する。


国家魔術師(レース・マグス)なのか!?」


 ヤソミは、わたしとエマちゃんを一瞥してから、ぬらりとして口をひらいた。


「み〜つけた」

当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

面白かったら感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

気に入っていただけましたら今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ