表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/162

ep30 昼休み

 *


「えええ??教室が洪水に!?昨日そんなことがあったんだ!わたしも見たかったな〜」


「本当にすごかったんだよ。ね?ヤソみん」


「ま、まあ、うん」


「午後の魔術演習で見たいな〜ヤソガミくんの魔法」


「ミアちゃんにも見せてあげたいよ。でもヤソみんは今日はやらせてもらえなかったりしてね」


「それはありえるな」


 フェエルとミアと三人で過ごす昼休み。

 かつてぼっちだった俺にとっては感慨深いものがある。

 フェエルは大人しいけどイイ奴だし、ミアは明るくて性格も良さそうだ。

 このまま楽しく穏やかに学校生活が送れたらいいなぁ。

 そう思えば思うほど、ヤツのことが気になってくる。

 今、食堂内にヤツらの姿は確認できない。

 このタイミングで訊いてしまうか。


「ところで、ミアにききたいことがあるんだけどさ」


「なあに?」


「あのエマとかいう()のことなんだけど」


「えっ?あ、うん。エマちゃんがどうかしたの?」


「どんな娘なのかな〜と思ってさ。ミアは友達なんだろ?」


「うん。最初にエマちゃんのほうから声をかけてくれて友達になったんだ。それからはよく遊びに誘ってくれたり...つんけんしてるけどイイコだと思うよ?」


「イイコか......」


「エマちゃん、ああ見えて面倒見もいいからね。人気もあると思うよ?」


 確かにエマは他の女子たちみんなと仲良さそうにしていた。

 人気者っぽい雰囲気もあった。

 だが、あのギャルお嬢が本当に面倒見がいいのか?

 素直そうなミアの話に嘘偽りがあるようにも思えないけど。

 俺が疑心暗鬼になっているだけだろうか。


「ひょっとしてヤソガミくん...」


 なにやらミアがいぶかしげな目を向けてきた。


「エマちゃんのこと......き、気になるとか?」


「それはない」


 食い気味にバッサリ否定。


「むしろ苦手だ。あういうのは」


「で、でもカワイイよ?」


「フェエルのほうが可愛いと思う」


「へっ??ヤソみん??」


 完全に意表を突かれたフェエル。


「い、いいいいきなりなにを言ってるの??」


 狼狽するフェエルに向かって俺はキッパリと言った。


「俺は事実を言っただけだ」


 (にわ)かにはわわわとなったフェエルは両手で顔を覆った。

 さすがフェエル。

 リアクションも可愛い。

 良いものを見せてもらった。

 これで午後の授業も頑張れるぞ。


「ふたりって、昨日知り合ったばっかりなのに仲良いねえ......」


 俺たちを見て、ミアは苦笑いするのみだった。

当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

面白かったら感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

気に入っていただけましたら今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ