ep104 初陣
「小僧!逃げるだけじゃ埒があかんぞ!」
「わかってるよ!みんなを巻き込まない位置まで移動するだけだ!」
「ということは、覚悟は決めたのじゃな?」
「決めるも決めないもない!どの道こういうことは避けられないんだ!それが今ってだけだ!そうだろ?」
「ふん。まあ安心せい。オイラもついている。お主は己を信じて存分に戦うがよい」
やがて走っているうちに、少し開けた場所に出た。
立ち止まって振り向くと、マッキンリーもそこに入ってきて立ち止まった。
「やっと観念したか」
にやりとするマッキンリー。
ここでこうやって二人向き合うと、まるでこの場所が、俺たちのためのリングのように思えてくる。
「ここなら余計な気を遣わずに済む。望み通り戦ってやる」
「ほう。逃げたわけじゃないってことか」
「ところで、俺は仮想ゼノを捕獲した状態の簡易アルマを持ってないぞ?今、ここで俺を攻撃すれば、お前は失格になるんじゃないか?」
一応言ってみた。
事実ではあるし正論でもある。
「はあ?んなもん知るか。お前わかってて言ってんだろ?簡易アルマは、捕獲する前と後で状態の変化はない。つまり、確かめようがないってことだ」
「でも、一回しか使えないだろ?それで検証できるんじゃ...」
「じゃあ今ここで使ってみろよ。お前の言うとおりなら、無駄使いして終わるだけだ。その無駄使いのせいで、お前はどうなる?」
この戦いを避けるために、仮想ゼノの運搬手段を失う。
倒した魔犬を運んで森から出ることを考えると、捕獲できるのは頑張ってせいぜい二体といったところか。
ましてやその間に他の生徒から襲われて奪われないとも限らない。
「とことん性格の悪い授業だな......」
「御託はもういいだろ。いい加減さっさと闘ろうぜ」
マッキンリーが斧を構えた。
俺も御神札を構えた。
「小僧。余計な心配はするな。戦って勝つんじゃ」
「わかったよ、イナバ」
「それに、あのマッキンリーとかいう生徒。おそらくかなり強いぞ。あの体格といい、相当タフでもあろう。トッパーたち不良どもとは訳が違うぞ」
「ああ。それもわかってる」
「わかっとらん」
「え?」
「それだけの相手ということは、お主の魔法攻撃にもある程度は耐えうるということじゃ」
そうか。
それだけ強いってことは、やり過ぎてしまう心配がなくなるってことだ。
「ここで敗れたら、俺をスカウトしてくれたジェットレディの顔に泥を塗ることになる。俺を信頼してくれるフェエルたちにも申し訳ない。だから、勝つよ」
「ふむ。良い顔になってきたな」
「チームヤソガミ。勝利で初陣を飾りたいからな」
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