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6.構造主義から考える結婚について

 『構造主義』に関するエッセイも三回目になる。


 未だに解らない部分が多いが、それも仕方が無い。相手は目に見えない人々の持つルールや風習なのだ。それを解き明かすには、一つ一つを細かく分析して推測しながら仮定を結論に変えていくしかない。


 どうして、そんなに『構造主義』に拘っているかといえば、その考えを知った時に考えたのだ。


「もしかして、人類に共通する『物語の構造』を見つけ出す事が出来るのでは?」という考えだ。


 ひととおり、物語を書いていて見知った展開になる事を体験として感じた。


 よく「起承転結」とか「序破急」、「背景・人物・事件」などと言った物語を構成する流れみたいな創作論が語られる。だが、ジャンルやその国のテンプレなど様々な要素でそれらは区別される。


 だがもしかすると、人間本来求める『物語の構造』というのは決まったルールや要素で出来ているのでは? という疑問を構造主義の提唱者であるレヴィ・ストロース先生の話を聞いて思ったのがきっかけだ。


 良く「聖書にある全ての物語で分類される」などと言うが、古代キリスト教が無かった頃の物語が基準の方が正しいのではないか。古今東西の物語、特に神話というものは様々だ。


 もしかすれば、そこから何かしらの要素が見いだせれば、更に良い物語を考える基礎になるだろう。


 私は、もっと感動するお話を書きたいだけなのだ。えらく遠回りだが、そう言うのも良い頭の体操だろう。


 という訳で息抜き(という名の頭グルグル)の時間だ―!



 さて、タイトルであるが元々『構造主義』が認知されたきっかけとなったのが「近親婚のタブー」という問題だった。要するに、結婚するにあたって人類が無意識に共通のルールを設けている事を論理的に解説したのが『構造主義』だった。


 であるならば、結婚というものを深掘りして行けば、結果的にその先の構造もまた論理的に解説出来るのではないか、という事だ。


 あまり語られていないが『構造主義』自体に問題が無い訳でも無い。「どうして同じになるか」という説明にはなっても、「どうして違うのか」という説明が出来ない事だ。


 つまり、本来同じ人間の筈なのに全く同じではなく、国籍や人種に時代といった要素でその「構造」自体が変わってしまう理由にならない。それについては、提唱者であるレヴィ・ストロース先生も答えてくれない。


 先生自身、日本文化の長年のファンだったらしい。曰く、子供時代に浮世絵を少しずつ収集して、東洋の不思議な国に思いを馳せていたとの事だ。


 その先生をして「日本文化に比肩するものが見つからない」と言ったというお話。推測だが、先生は日本文化の独自性を調べようとして断念したのではないか。


 『構造主義』によれば同じような構造を持つ筈なのに、日本の文化についてはそれが見られなかった……。


 別に私は愛国主義でもないし、事実を列挙しているだけだ。だが、確かに構造主義のやり方で日本の特殊さを説明するのは難しいと、日本人として思う。


 きっとそれは日本人が優秀な証ではなく、他の民族との違いがあっただけ、その違いが大きいだけなのだと思っている。


 とはいえ、先生が現地民のフィールドワークで何かを見出したように、日本人としての感性からその独自性を語る事は出来ないものだろうか。ここからは、まだ誰も考えなかったような考察・仮定をしながら『構造主義』というものに足を踏み込んでみたい。



 結婚とは人生最大の決断であり、人生の墓場でもある。それはさておき、婚姻契約というものは人類固有の考え方であり、それこそ『構造主義』でいうところの目に見えない構造を無意識に選択している、という実例であろう。


 そこには成人した男女がいて、それに共連れて「親族集団」が存在する訳だ。同じ親族集団内での結婚は人類全体でタブーとなっている。これについて説明したい。


 まず、親族集団は同じ価値観を持つ家族を含めた複数の集まりと言える。要するに日本でいえば「~家」という奴だ。この親族集団内では、無条件にお互いが信頼関係を構築しているとみなす。


 要するに、何もしなくても血を分けた親兄弟や連れ添った夫婦などは既に信頼関係があると言える。この集団内で助け合う事で、社会的動物である人間は生きる可能性を向上させる。


 そして、結婚という契約を経て異なる親族集団が新たに信頼関係を結び、世代が変わった時に新たな親族集団となる。レヴィ・ストロース先生は、これを「女同士の交換関係」と呼んだが……正直、今の世の中で発言したら叩かれる内容である。


 ここは現代的に意訳してみたいと思う。古代メソポタミア文明で見つかった最古の契約書は「少女と家畜三頭を交換する」というモノだった。つまり、婚姻=女性と財産の交換関係という事だ。


 もう少し嚙み砕いて言うと、財産=生きる為に必要な物=結婚して家族を養うのに必要なものだ。


 ざっくりというと「男の甲斐性」である。今でも結納金や婚約指輪など、結婚にまつわる金の話は絶えない。これはもう、社会的動物である人類の持つ構造と言える。


 結婚したかったら、必要な物を寄越せ。ちゃんと生きていけるだけの根拠を出せ。お互い助け合う前提で契約を結ぼう。言い方は様々だが、結婚とは親族集団同士の約束でもある。


 よく聞く『どこの馬の骨』というのも、親族集団としてメリットの無い男性を連れてきたと解釈すれば納得出来る。家同士の格などというのも、この例に当てはまる。


 もちろん、結婚する当人同士にもお互い納得出来るだけの何かが必要だ。結婚して、きちんと子供を産み育て、家族を養えるのか? それが「財産」であり「お金」である。


 要するに、財産と言うのは結婚する際に、生きていくために必要な物であるという構造なのだ。それがお金の持つ原始的な意味である。



 であればこそ、民族や歴史と言った要素で結婚という構造が変わる意味が分かる。それは、人間に基づくものではなく、その土地に根差しているからだ。


 日本を例に取ろう。日本は自然が豊かで、水や食料と言った物は工夫次第で入手が容易である。つまり、生きていく技術さえあれば、それが結婚の証になる。つまり「男の甲斐性」だ。


 一方で災害が多く、親族集団同士が助け合わなければ生きていくのが辛い土地でもある。だからこそ、親族の関係が深く、個人よりも家の問題が重要になる。


 日本における「ムラ社会」の問題である。これが日本の独自性に影響していると思う。石器時代から変わらず日本で生きてきた日本人は、どうしてもこの「ムラ社会」から外れて生きていく事が出来ない。


 それが生きていくための知恵であり、その為に誰とも喧嘩せずに仲良くしようとする。外敵が自然環境であり、それを克服する為のルールなのだ。


 ここから見いだされる仮定は一つ。「人間は、生態的に合理的な方法を無意識に選ぶために同じ構造を持つ。一方で、地理的・歴史的な要因で生きるのに最適な方法を選ぶために異なる構造を持つ」だ。


 日本人が特別なのではない。日本と言う環境が、外国と異なる部分が大きいので自然と生きるのに最適な選択をしているのだ。決しておかしな事ではない。


 生きる為に必要だから、そうなったのだ。


 結婚についても同じことが言える。昔の結婚では「側室」や「妾」と言った、一夫多妻が当たり前だった。


 何故か? それは、出産に関係がある。医学が発達していない古代では女性の出産率は低く、出産後に死亡する事も当たり前だった。だから、スペアとしての女性が許された。


 現代はどうか? 出産の危険性は下がり、子供も幼くして死ぬ事も少なくなった。


 結果として、人類は無意識のうちに「スペアの女性」という存在を許さなくなった。つまり、複数の女性と関係を持つ事は「不倫」であり、男女が愛し合うというのが当たり前となった。


 これは「構造の変化」である。生きていく条件が変わると、自然と考え方や価値観が変わってしまう。まるで、大昔から男女が恋愛をする事が普通のように考えている。


 これが「パラダイムシフト」と呼ばれる現象の原因であり、これは『構造主義』によって無意識に行われるので、誰も自覚出来ないのだ。あくまでも、それが起こった後に振り返って確認出来る現象なのである。



 どうだっただろうか? 憶測や推測なしで、論理的に結婚を通じて見える事実から導き出した仮定である。


 異論・反論もあるだろう。私もこれで間違いないとは断定出来ない。


 とはいえ、『構造主義』の言う「構造」とはこういうものだ、というのは理解頂けたのではなかろうか。


 これを基に、過去の人類が選択した「パラダイムシフト」を縄文時代から推測したい、というのが私の考えるお話なのです。

疲れた……いやマジで。論文でも無いのに、真面目な顔して変な話を熱心に語る私。


本来は、物語を書きたいだけなんですけど。


面白いんですよね、こういう思考実験的な事が……。


是非皆さんの意見を教えて下さい。参考にしたいと思いますので。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人口増やしたければ、一夫多妻制の復活や 手厚い子供手当などやりようはあると思うのですが、 やらない。実際はワクチンや食料での人口削減。 そんなやり方やるくらいなら、メタバースのエロや エロ…
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