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5.14歳にハマった奴に囚われてしまう件

 ひさかたに ふとたちどまり えっせいだ。


 一句読んでしまったが、暫くの間何かを書くのを中断していた。色々と誘惑に駆られて、という奴だ。


 ともあれ、半年で50万文字書くのは急ぎ過ぎだろうと、ここ最近は思い返したようにゲームをやったり、アニメを見たりしている。面白いねぇ……うん、久しぶりの感覚。


 閑話休題。


 タイトルの話であるが、俗に「14歳の頃に興味を持った趣味や音楽などが、その後の人生にずっと影響する」という事例がある。


 必ずと言って良い訳でも無いが、かなりの確率で真実ではないかと思う。


 自分の場合は、SFやラブコメ。そしてエロゲ―などだ……人生が変わる程に影響を受けている。


 海外でも同様の現象はあるらしく、同じビートルズの好きな人達が一番好きなタイトルを挙げると大体初めて買ったアルバムになったとか。音楽的な評価ではなく、最初に触れたものと言うのがミソである。



 という訳で、(哲学的に)息抜きの時間だ―!


 構造主義というのは、そういった目に見えない現象やルールといったものを細かくシンプルにして、人間の生態を元に科学的・合理的に解析・説明する学問である。


 要するに、人間として生きている以上は無意識のうちに生物としての構造があって、それに縛られているという事。別に悪い意味ではない。


 ポスト構造主義では、「古い見えない習慣に囚われず、新しい生き方を!」などと言ってはいるが、それは無駄な活動である。


 そう言った構造と言うのは、人間にとって合理的で自然なものなので、それに逆らうと逆に不幸な人生を送る事になる。


 別に構造に囚われると言っても、封建制やら権威主義から民主主義・資本主義へ! という話でもない。


 例えば現在だって、エコロジーだったりフェニミズムだったり現代人でも無意識に囚われている。それも、歪な思想・偏ったイデオロギーにハマって自分で自分を苦しめたりする。


 そう言ったイデオロギーに左右されず、人が人らしく生きる為の知識と言うものは、古今東西変わらず残っており、皆はそれを忘れているだけなのだ。


 構造主義というのは、主義・主張でもイデオロギーでも無い。人間にまつわる目に見えないものを分析するツールである。


 構造というのは、決して無機質で非人間的な構造に囚われているのではない。生きていく上での約束事みたいなものだ。


 どんな文化・歴史を辿っても、人間として自然に上手く生きるための知恵を無意識に選び取る、古くからの人類の経験・文化なのである。


 

 人間として生きているのに、生物としての本能や自分の親達の経験を無視して自由に生きるというのは、西洋哲学的な思い上がりだ。


 その自由とは「手酷い失敗を行う自由」かもしれないし、「社会的に問題を起こす自由」かもしれないのだ。自由である事が進歩的で賢いとは限らない。


 人間社会で生きる上で必要不可欠なルールがあるのだ。


 子供を持つ方ならわかるだろう。自分の子供に酷い人生を歩ませたくない。だから、自分の失敗を踏まえて子供には良い人生を過ごせるようにしつけや教育をするのだ。それは、どんな時代でもどの民族でも変わらない。


 自分達の価値観や判断と言うのは、親から受け継いだものである。これは、どんな人間でも必ず経験する。そして、自分が親になれば子供に最良の価値観・判断を教え込む。そう言うものだ。


 そうやって先祖代々言い伝えられてきた、目には見えない人類の経験の積み重ね。それがあなたの「自我」である。「自我」というのは、勝手にポンと生まれたりはしない。


 赤ん坊として生まれてすぐに「自我」が生えてくる訳ではないのだ。それは、あなたの両親から受け継いだものの筈だ。

 そして、それは両親が最も良いと思い考えて、先祖代々子供の育て方を受け継いでいる。


 つまり、あなたの「自我」という奴は、何百年・何千年と積み重ねられてきた人類のノウハウなのだ。


 西洋哲学では「我思うゆえに我あり」などと言うが、それだって勝手な物言いだろう。


 その「思う」という行為を教えてくれたのは、神様ではない。両親を含む先祖なのだから。


 そういう訳で、良い・悪いと言った価値観や判断の積み重ねと言うものは、人間として社会を良くしようという人類の歴史そのものだ。否定するのではなく、理解して受け入れる事が大事なのである。


 きっとその方が良い人生を送るヒントになる筈だ。


 最初の話に戻ると、14歳という年齢自体にも意味がある。思春期を迎えて両親から独立したいと無意識に感じ始める年頃だ。


 最初に自分で選んだもの、という刷り込み効果があるのだろう。どんな動物も最初に見たものに印象が強くなるのは同じ。


 だから、その趣味や嗜好といったものは別に悪くない。よりハマれる可能性がある分、人生を楽しく出来るかも知れない。



 なので、私がその頃にハマったジャンルについて語るのは、別におかしな事では無い。


 なので「エロゲ―」について語りたい。14歳頃に~という話には、オマケがある。その刷り込み効果というものは、生物由来なので……特に『性的な趣味・嗜好』といったものへの影響が大きい。


 ……特殊な性癖を持つ人というのは、14歳頃に「拗らせた」可能性がある。


 かつて私は「エロゲ―ハンター」と名乗っていた事がある。そいつが最初にプレイしたエロゲを語らせるという、とても迷惑な事をしていた。


 大体、その作品でそいつがどんな性癖があるか分かる、というメリットがある。


 それ位、かつて1990年代から2000年代にかけて黄金時代を迎えたエロゲ―というのは、様々な作品が生み出された。とても面白い時代だったのだ。


 その頃、ラブコメのブームの流れで可愛い女の子を描きたい、動かしたいという欲求があり、コミケやエロ業界に飛び込んでいった人達がいた。そこでしか作れなかったからだ。


 最近あるアニメが面白い。「16bitセンセーション」という作品である。


 どういう内容かというと、かつてのエロゲ―業界を振り返ったものになる。あの時代、秋葉原が女の子一色になる位には、そのジャンルが流行ったのだ。


 ざっくりとした説明だとエロゲ―業界における「アオイホノオ」といえば分かるだろうか。あの頃に活躍した人達が当時を思い出しながら、作っている作品である。 



 有名なメーカーがエロゲ―を造っていた事もある。ガイナックスだって「プリンセスメーカー」という作品で、アニメの赤字を補填していた。作品内の血の繋がらない娘は、脱ぐのだ……。流石に初代だけで、それ以降は普通のギャルゲーになったが。


 ソシャゲで流行している「FGO」のメーカーだって、元はコミケでエロゲ―を販売する同人サークルだった。「月姫」という作品の出来が良すぎて、そのままゲームメーカーになってしまった。


 それでまあ、「16bitセンセーション」という作品なのだが……スタッフの揃え方がえげつないのだ。


 エロゲ―の黄金期そのままに、大御所シナリオライターやら天才作曲家に名グラフィッカーといった具合である。OPの出来が良いのは、偶然ではない。当時でも組まなかったような、著名な人材を惜しみなく注ぎ込んでいる。


 一体、どういうつもりかは分からない。ただ、あの時代……熱く面白いエロゲ―業界を忘れたくない、という関係者の叫びなのかもしれない。


 最近のオタクの人には、良く分からないと思うが……ただの懐古厨ではない、物凄いエネルギーが込められた作品である。


 ぜひ、機会があれば見て欲しい。かつて、可愛い女の子を出しただけで虐められ、馬鹿にされてきた時代。ひっそりと世間の裏側で、可愛い女の子を見たくて始めた創作物たち。


 そんな時代に、ただエロいだけではなく面白くて楽しい作品を作ろうと頑張った人達がいた事。


 それを面白がって見ていた人達がいた事を。


  時代のあだ花、という訳ではないが。当時、自由に表現したくてコミケや弱小ゲーム会社に熱い思いを持った才能が集結したという事実は、忘れて欲しくない。


 欲望に身を任せというより、皆が熱く魂を震わせた、といった時代があったのだ……。


 それが『私の14歳』なのである。難しい話から、一風変わったエッセイというかレビューになったが、それもまた良し。

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