3.ライトノベルとは何なのか?
本編も佳境に入り、終わりに向けて投稿している。無事に完結するまで油断は出来ないが。
色々と悩みながらも、投稿は出来ている。ちょっと、頭を切り替えたい感じなのだ。
という訳で、息抜きの時間だ―!
タイトルにある様に、ライトノベルやなろう系の定義と言うものは難しい。一般的な小説との明確な違いがあるのかと言われれば、幾つかの特徴がある。
具体的に、小説とライトノベル、なろう系の切り分けをその歴史を振り返りながら考えてみたい。
まずライトノベルの誕生だが、個人的には「SFやファンタジー作品の入門編」と言う大前提があると思う。まず、読者層の違いと文体の違いだ。
ライトノベルの定義でよく聞くのが、小~高校生をメインターゲットにしている事。ジュブナイル小説とも言われる。要するに、文学的表現を重視するのではなく誰にでも読めるような口語体、話し言葉である事だ。
ライトノベル普及初めの事だが、本格的なSF作品やファンタジーの勢いが無くなっていたのだ。
本格派と言うだけあって、難解だったのだ。そのテコ入れとして登場したのがライトノベル・ジュブナイルと言う分野だと考えている。
つまり、SF・ファンタジー作家に対しての救済措置だ。当時、有名でないSF作家やまだメジャーでないファンタジー要素を分かり易く広める事、と言う目的があったと思う。安い文庫本で発行されたのも、その為だろう。
まさか、読者層が小説に移行せず、ずっとライトノベルばかりを読み続けるとは思わなかったのだろう。
ともあれ、ライトノベルと言うものが普及する事で、小説を読む層が生まれたのは事実。ただ、純文学の方が廃れつつあるとも言う。
もちろん世の中には例外もあって、文学的表現を使って大御所がハードカバーのSFやファンタジー作品を書く事もある。
存在意義としてのライトノベルとは、小説に親しむよう若い世代をターゲットにした物と言える。特徴として挙げられるのが、挿絵の比率が多い事や原作に準拠したアニメ化が行われる事だろうか。
他には、あまり文学として重要視していない事から完結しないという特徴があるかもしれない。要するに、ラストシーンに向けて書く、という事よりもエピソード単位でぶつ切りになる。
最新刊がなかなか出ない、完結しないというライトノベルは多い。もちろん、完結させて稼ぎが無くなるのを防ぎたいという人も居るのだろう。
星界シリーズやハルヒ、フォーチュン・クエストなど、完結していない作品は多い。むしろ完結した方を探した方が早い位だ。後、銀英伝の様に完結してから外伝ばかり出したり……そう言うものだ。
ともかく、元々の目的はSFやファンタジージャンルの普及である。自然と、小説家とは区別されるものである。「貴方の作品はライトノベルですね」と言われて喜ぶ小説家はいない気がする。
……一種の蔑称でもあるのだ。そんな事をはっきりと言う人はいないと思うが。
もちろん、ライトノベル作家が本格的な小説を書く事だってある。成功した人物はごくわずかだが。
で、段々とライトノベルの性質は変わって来る。読者層の変化や原作に対する考え方である。
何しろ出版社にとっては、売れる作品が欲しいのだから。自然と、小~高校生向けと言うのが変わって来る。ライトノベルを読む読者層が高齢化しているともいえる。
そして、なろう系が登場する訳だ。あくまでライトノベルの一部と言う扱いだが、作品に対する考え方は随分と違うと思う。
まず、主人公が高年齢化と読者層を理由に変化していると思う。さえないサラリーマンやニートが転生して、と言うのが普通のライトノベルとの違いだと思う。
現実逃避の思いがあるから、異世界や転生と言った要素が好まれるのも特徴だろう。
あと、ライトノベル作品は絶対にコミカライズしない。コミカライズするのは、必ずなろう系である。
そして、アニメ化に際してオリジナル展開も許されている。
これが何を意味するのか? 原作を読まずにアニメだけを見る奴と言うのは、ライトノベル後期でもあったが、そもそもコミカライズしないと読まないという奴が現れたというのが、なろう系の特徴ではないだろうか。
文字を読みたくないのか……それとも、原作が酷い出来だからか? 理由は分からないが、書籍化とコミカライズ化は、必ずセットである。
ライトノベルを含む小説は、原作ありきだ。決して、原作を改変する事は許されない。
……だが、なろうならやってしまうのだ。その辺の理由は分からない。
そうなると、一つ気になる事がある。今は、大量に発行されているなろう系。元々あったライトノベルの市場まで食い尽くしている。
本来、読者層だった小~高校生はどうしているのか。……どうも、昔のライトノベルしか読んでいない、もしくは児童書の読者層が上がっているらしい。
由々しき事態である。いずれは、この均衡も破れるのだろうが……。
そりゃ、四〇~五〇代のおっさん向けにしか出しておらず、大量に打ち切りになるなろう系が信用を無くしているのは当然の事だ。
いざ、有料で出版したら全然売れませんでした、と言う事態も当然だろう。
問題は、それが終わった後の事だ。もう、そのような事態は生まれているのだろう。元々ライトノベルは、小説を読まない人間への入門編と言った。
要するに、三〇年前くらいから活字離れが激しいのだ……。辛うじて出版社は、なろう系の大量出版でしのいでいるが、それもいつまで持つか。
焼き畑農業の様に、出版・打ち切りを繰り返して読者層を騙している今の制度が行き詰った時。
本来、いるべき読者層が全滅する事だってあり得るのだ。
ライトノベルの存在は、文字を読まない層を小説に興味を持たせる役割があった。それについては、今でも同じだと思うのだが、ライトノベル自体が凋落している現状、物凄い危機感を感じる。
はたして、自分の娘の世代は楽しんで読書をするのだろうか?
そう思うと、今の出版業界に文句の一つも言いたくなるというものだ。
キツイ物言いになってしまった、との自覚はあります。
ですが、「文字を読みたくない人」「学びたくない人」が増えているのも事実。
面倒な所に目を向けないのは、真実から遠ざかると考えているのです。