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14.書籍化・専門家を目指さないという自由

 ネットの海は広大です。


 今日、ちょっと遠くのショッピングセンターの本屋さんへ行ってきました。


 歴史・小説・エッセイ、雑誌に趣味の本や哲学書に至るまで、何でも揃う大きな本屋さんです。


 もちろん、ライトノベルやなろう系の作品、それのコミカライズまで揃っています。大きなコーナーにこれでもか! と並べられた作品の数々。


 ですが、その中から面白そうな作品を見つけ出す事は出来ませんでした。


 色々な方の創作論・エッセイを拝見してきて、書籍化作家を目指される方・コンテストなどに受賞を目指す方など様々な方がいます。



 お金を儲けたいという人もいる。有名になって人気作家を目指す人もいます。とにかく注目を集めたい、そんな人もいます。


 でもよく考えて下さい。書籍化って本当に物書きにとってのゴール地点でしょうか? 確かに狭き門である事は間違いないです。


 もしかすると、編集者の目に留まって贔屓にして貰えるかもしれない。アニメ化を果たして大金持ちになる事もあるかもしれません。


 でも、それって書籍化をしたら叶えられるんでしょうか。実売数が千冊しかない書籍があると聞きました。別にマイナーな出版社という訳でもありません。


 きちんと絵師も用意され、大賞を受賞して華々しくデビューした作家さんです。


 ……それでも第一巻の販売数が千冊。印税って一冊5円とか10円とかでしょう。新人にそこまでお金を貰えるとは思えません。


 という事は本一冊出して一万円? 月一万円じゃないですよ。一冊10万文字分を書籍化して一万円です。


 もちろん、アニメ化やグッズになる事もあるでしょう。作家として有名になって、仕事を依頼されるかもしれない。


 でも、それってどれ位の確率なんですか?


 もしかして、厳しいコンテストを掻い潜ってプロ作家としてデビューして、コミカライズ化してアニメ化して……ようやっと人並みの稼ぎとか?


 そんなの、ほんの一握りの作家だけでしょう。一万人に一人とかそんな感じ。


 Webから書籍化したという人がいらっしゃったら、是非お聞きしたい。


 『本職は小説家なんですか?』


 

 我々は勘違いしているのかもしれない。本屋やAmazonで書籍化された本。きちんとお金を出して買ってくれる人の数。


 出版社は、本当に利益が出ているのか? 大きな本屋の棚二つ分くらいがなろう系でした。少なく見積もっても100冊はあります。


 つまり、リアル本屋で書籍化したとしても、置いて貰えるのはほんの数冊。もちろん、アニメ化した作品は目に留まりやすい所に置かれるので、新人作家は端の方にちょろっと置かれるだけです。


 あなたが熱心な読者だとして……すでにWebで読んでいる作品。それの書籍をお金を出して熱心に購入するでしょうか。


 郵送費を含めて千円以上出して、Amazonで注文するでしょうか。打ち切りになるかもしれない。続編が出ないかもしれない、その書籍に。


 書籍化って、本当に目指すべき作家としてのゴールでしょうか?


 成功した人を、作品を上げていく人は多いです。確かに有名な作品や作家の人は大勢いるでしょう。


 それが、あなたが書籍化してそこに並ぶ可能性があるか、という問題です。


 その為に、書きたい物語を無理矢理流行りのものにして。キャラを増やしたり、イベントを追加したりして、Webの読者に読みやすくなるように努力します。


 もちろん、その為の労力やストレスはあるでしょう。書きたいものがあるなら、尚更です。自分の書きたいものを我慢して、コンテストに応募して長い時間待って別の作品を書き続ける。


 何時、それが報われるかはわからない。一介のコンテストで二千作品がノミネートされる事もざらです。一次に受かった、最終まで残った……そんな努力の末に書籍化が決まりました。


 編集局から連絡があるのでしょう。初版は何冊なのか。コミカライズは? アニメ化は? そんな華々しい話がやって来るかはわかりません。


 もちろん、実力があって公募を受ける人もいて、編集者からスカウトされる人もいるでしょう。


 とはいえ、何十万人といる予備軍から大成功する可能性とその為に必要な努力。


 実社会で就職している方や仕事が忙しい人にとって、それは見合う対価でしょうか。一冊一万円の可能性もあるのに、です。



 確かに、書籍化・コミカライズは皆の夢でしょう。憧れが私に無いと言ったら嘘になります。でも、その大きな本屋さんで棚を見た時に思ったんですよ。


 ……自分の書きたいものを書いて、満足して終わりで良いじゃない? って。


 書いた物語を読んでもらえて、感想やレビューを貰って嬉しくない人はいないと思います。書いていて良かったと心の底から思えるでしょう。


 それが広く世に出て書籍化するというのは、どんなにか素晴らしい事だろう。誇らしい事だろうと思っていました。


 ……その、本屋の棚を見るまでは。


 気付いてしまったのです。そんな奇跡は、物凄い確率でしかない事を。


 それに見合うだけの対価を貰えるのかって事を。


 「やる夫スレ」で有名になって、作家になった方がいます。本当に才能のある方で、私も新刊は必ず買います。


 その人が書籍化したのは、その「やる夫スレ」が直接の原因でもありませんでした。公募した作品を見た編集者が調べたそうです。


 そんな幸運、自分達に与えられるとでも? この言葉は自分に向けて語っています。自分の作品がその作家さんと比べてどれ位のレベル差があるのかくらいは分かります。


 それでもまだ、「書籍化作家を目指して、コンテストを受けたい」そう思いますか?


 自分には出来ませんでした。今の書きたい物語を書いて完結させる事。それに感想を貰える事。


 ……自分にとっては、それだけで幸せだったのです。


 もし、本当にプロになろうと思ったら、人並み以上に努力しなくてはいけません。


 それは、公募と何が変わるのでしょうか。


 Web作家として名を馳せれば、皆が私の作品を見てくれる。有名になれる。幸せな作家生活を迎えられる。



 ……私には信じられなくなりました。実売千冊の方がリアルだったからです。


 この意見に対しての感想が頂きたいです。書籍化を目指す方のなりたい姿を見たい。何を望み、何を諦め、何を行ったのか。


 それが本当に報われるのか。幸せになる方法なのか。



 もう少し、自分には書きたい作品があります。興味のある学問を学びたいです。自分は、まだインプットが必要な時期だと思っています。



 もし、自分が満足のいく作品が出来た時。



 書籍化したいと本当に思うまでは、自分の書きたい事・やりたい事を優先したいのです。

 これは、私の偽らざる心境。とはいえ、コンテストがあれば自信のある作品を出してみたい。


 矛盾するようでしていない。


 やりたい事をやりながら、出来上がったものは評価して欲しい。


 欲張りですが、そう言う事も出来るのがこのWeb投稿サイトです。

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