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知は束縛か、無知は解放か

作者: 琉慧

 知らない方が良かった。

 知らない方が幸せだった。


 これまで生活してきた中で、こんなフレーズを目にした、耳にした事が一度はあるかと思います。


「何も知らないより色々知ってる方が役に立ちそうだけど?」


 知識によってはそうかも知れません。 ですが、この世全ての知識が取りも直さず何かの役に立つかと言われれば、決してそうではない場合もあります。


 たとえば、良く晴れた太陽の下で布団を干した時に発生する、いわゆる『お日様の匂い』。 あの匂いに包まれつつ、干して間もないふかふかの布団の上に寝転がるだけで睡魔に襲われてしまいそうなほどリラックス出来るあの何とも言えない匂い。 あの匂いは一体どういったカラクリで発生しているのだろうと気になった方も少なくはないと思いますが、この匂いの発生源はダニの死骸だという俗説が一時期出回っていたのをご存知でしょうか。


 実際のところその俗説は完全なるデマで、あの匂いの発生源は布団に含まれる綿などの繊維を構成するセルロースと呼ばれる成分が紫外線によって分解された結果発生するものだという事が某化粧品メーカーの研究によって解明されました。


 そうして俗説を真っ向から否定する事実さえ知ってしまえば何て事は無いですが、真の事実を知らない人が先述の俗説のみを知り、以降もその俗説だけを信じ切っていたとしたら、その人の精神状態はお世辞にもよろしいとは言いがたいでしょう。 何せ、自分が良い匂いだと気分を良くして嗅いでいた『お日様の匂い』の発生源がダニの死骸だなんて知った日には、あの匂いが好きな人であればあるほど嫌悪感をもよおす事でしょう。


 ――このように、与えられた知識によっては気分を害したり精神的に不愉快になったりする知識。 私はこれに該当する知識を『知の過重』ととらえています。


 知の過重は私が知っているだけでも相当有り、食品の着色などに使用されているコチニール色素の原材料が虫であるとか、チャペルなどでの結婚式の時に神父役を務める外国人は本物の神父ではなくアルバイトの人だとか、挙げ始めたら枚挙まいきょいとまがありませんが、これ以上余計な事を言ってみなさんの知の過重を不必要に増やしたくはないので、この辺りでとどめておきます。


 知の過重。 それを重荷にするか、(かて)にするかはあなた次第。

 内容のしはあれど知識は財産。 正しく、うまく付き合っていきましょう。


 ちなみに私が最近知った、知らない方が良かった知識は『普段使用しているキーボードは便座より汚い』です。


 まさに知らぬが仏。 みなさんもこまめに掃除・除菌しましょう、キーボード。

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