ひとりぼっちの勇者様
ひとりぼっちな勇者様。
可哀そうな勇者様。
仲間がいないから、わるもの退治をする時はたった一人。
とても大きな炎を吐く、とても巨大なわるものの竜。
そんな竜を、たった一人で倒さなければならない。
だって勇者様は、誰にも傷ついてほしくなかったから。
一人で旅に出て、一人で修行して。
一人で危険な目にあって、一人で強くなって。
それでずっと一人でここまでやってきた。
勇者様はとても優しくて、おくびょうもので、怖がり。
人が傷つく姿や悲しむ姿を見ていたくない人。
だから勇者様は最初から最後まで一人ぼっち。
わるものの竜と戦って、命をかけて倒した後も一人ぼっち。
けんりょく闘争や、いんぼうに誰かを巻き込まないために。
ずっとずっと、すごくいい事をしても、勇者様はいつまでも一人ぼっちのまま。




