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第118話 魔術師を増やそう



『と、言うわけでアスタロト……アスタルテは神聖帝国でレジスタンス作って楽しんでるらしいにゃ。


 まあ、向こうは向こうで好きにやらせておくといいにゃ。下手に手出しすると不機嫌になりそうだしにゃ。』




 バアル神の化身である黒猫が、現状のアスタロトの行動に対して山岳要塞内部に存在するリュフトヒェンに報告を行っている。


 なるほど。確かにそれなら人間の輝きも見れるし、神聖帝国に対して嫌がらせもできるし一石二鳥というわけか、とリュフトヒェンは腕を組みながら納得する。




『と言うもの、レジスタンスがあるならこちらとしては有難いから影ながら物資の支援とかしてもいいでしょ。お互いに目的は同じだし。』




 それぐらいなら構わんだろうにゃ、むしろ感謝されるだろうにゃ、と黒猫もその提案に頷く。


 向こうが楽しんで神聖帝国の影に潜む悪魔の妨害をするのなら、こちらもそれの手助けを行えばこちらの利益になる。


 だが、こちらの問題とはしては別の問題がある。


 それは、神聖帝国が作り出した人工魔術師である。


 魔術師たちの質としては、こちらが遥かに上ではあるが、普通人を魔術師に変えられるとなれば、無数の魔術師たちを作り出せることになる。


 それは、竜皇国にとって十分に脅威であると言えた。




『しかし、人工魔術師かぁ。これで魔術師をポコポコ作られたらヤバくない?』




 それを聞いていたセレスティーナは、それに対して呆れた声を上げた。




「脳を弄って理論者程度の魔術師を量産する事しかできないとか……。その程度の魔術師を作り出して威張られも困るんですが……。私なら千人単位でも纏めて吹き飛ばせますが。」




 確かに理論者セカリオスは魔術師としては下から数えた方が早いほどの下の位階である。


 遥かに高い位階の大達人アテプタス・メジャーであるセレスティーナなら、いくらかかってこようと纏めてなぎ払えるだろう。その程度で超人とかドヤ顔されても正直困ってしまう。


 だが、いかに低位であろうと魔術師を大量に作り出せるというのは、それだけで脅威である。




『戦いは数だよ兄貴!低位の魔術師でも大量に来られたら戦術的に厄介でしょ?


 そりゃまあ君みたいに特級の魔術師なら蹴散らせるだろうけどさ……。


 そういえば、亜人たちも魔術師として採用とかできるんじゃないの?』




 確かに、今の魔術塔はほとんど人間が支配しており、竜人でありながら高位の魔術師であるセレスティーナの方がかなり珍しい存在だ。


 だが、それは亜人たちでも魔術師に十分なりうるという証でもある。




「確かに、私のような存在もいるのですから、亜人の魔術師もいてもいいでしょうね……。普通の人間よりも、亜人たちは自然に近しいので魔術師として採用できる人たちも多いでしょう。素質のある孤児の亜人や寡婦の女性の亜人たちを募集してみますか……。」




 辺境拍の領地ともいえる大辺境外周部では、亜人と普通人が交じり合って暮らしている。いかに共存を行える国を作ったとしても、全ては救えない。


 孤児や寡婦で生活で困っている亜人たちは山のようにいる。


 全てを救うことはできないが、素質ある亜人たちを魔術師として採用すれば、特殊技能を与えて自立させ、さらに国のための戦力にすることができる。


 まずはそこから手を尽くす事から始めるべきだろう。




「最も、亜人は人間たちと違って個人の資質が極端だったり、向いている魔術が極端だったりする事が多いですから、育成が難しいというのは事実なんですよね……。


 まあ、そうも言っていられないので、とりあえず人材募集とカリキュラム作りですか。……シャルロッテにカリキュラムは丸投げしましょうか。私より暇(暇とは言っていない)でしょうし。」




 例えばエルフならば精霊魔術には極めて長けているが、普通の魔術師のように古代語魔術などは使用できない。竜人ならば竜語魔術も古代語魔術も使用できるが、逆に両方使用できない特殊例もある、と個々の種族によってそれぞれ大まかな得意分野は異なってくるのである。


 基本的にほぼ皆同じ能力である人間と異なり、それぞれの個性が強すぎるので魔術の育成には手間がかかるというのが実際のところである。




『ちなみに、悪魔信仰とかってどうなの?こちらにも流れてきてるの?』




 それは皆が気にしている所である。


 ここまで悪魔信仰が流れてきているとなれば、把握していない所で根深く浸透していることにもなりかねない。


 だが、黒猫は頭を振って否定する。




『いや、悪魔信仰はここらへんでは流行していないみたいにゃ。


 それは、多分あの偶像アイドルたちの歌や踊りのお陰にゃ。


 元々、歌や舞は根源的で原初的な魔術の一つにゃ。それによって魂を活性化させて賦活する効果……。つまり簡単に言うと”感動”を与えて魂を賦活させる効果があるにゃ。』




 まあ、感動は別段歌や踊りだけでなくて、読書や様々な出来事でも与えられるがそれはさておいて、と黒猫は話し出す。




『賦活されて活性化された魂には、悪魔信仰は影響を及ぼせないにゃ。


 健全な精神は、健全な魂に宿る。賦活された魂が健全でなら、


 まあ、至極ありきたりで悪魔の口からは言いたくない言葉ではあるが……。


 ”夢と希望”がある人間は悪魔信仰には染まらないって事にゃ。』




『つまり、オタ活は最強……ってコト!?』




 そのリュフトヒェンの言葉に、黒猫は困惑の表情を浮かべながら言葉を返す。




『オ、オタ……?なんかよく分からんが、そういう事なんじゃないかにゃあ。多分。』

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