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月が輝く為には  作者: 棺祀師
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1 : プロローグ

初めまして。適当に思い付いた話を書いていこうと思います。よろしくお願いします。

私の持っている刃物に付いた血が、私の体に飛んだ返り血が、地面に転がった死体(モノ)から流れた血が、てらてらと不気味に月明かりを反射している。

 

 この光景を誰かに見られたら大騒ぎになってしまうだろうが、ここには私以外誰も居ないし、来ることもない。そうなるように私が準備した。

 後片付けをすれば、もうこの事人殺しを知っているのは私と主様くらいだ。

 後片付けの段取りを考えながら、頬に付いた返り血を拭う。

 

 ふと、空に浮かぶ月が目に入った。

 

 そういえば、「悪事を隠しても、お天道様は見ているぞ」と前世で良く言われてたけど、お月様はどうなんだろう?

 くだらないことを考えながら、手を止めて月を眺める。

 お月様と言っても、私が馴染みのある月ではない。何せここは地球ではない別の世界なのだから。

 しかし、地球もここも大して変わらないように思える。

 形や大きさに関してではない。

 

 地球でもここでも、月は暗闇の中で怯える事なく、輝き自己を示す。そんなところ。

 闇に怯え、自分を殺し、闇に堕ちてまで無様に生き長らえている私とは違う。

 

 そんな私を照らし出すお月様はどこかやはり、「お前を見ているぞ」と私を睨み付けているような気がした。

 

 いけない、私にはまだ仕事が残っている。

 

 くだらない妄想から我に帰った私は、そそくさと後片付けをするため再び手を動かし始める。

 まず足元に転がったモノを刃物で10cm角くらいにバラバラにし、腰に下げた革製の鞄(この鞄は空間魔法を応用した魔道具で、鞄の中に圧縮した空間を固定しておく事で見かけの何倍もの量の物を入れておくことができる。私は「ポーチ」と呼んでいる。)に入れていく。

 そして別のポーチから水筒を取り出し、私に付いた血と辺りに広がった血を洗い流すために適当に中身を撒く。

 それだけでは辺りの血は洗い流せないが、ここは人通りの無い路地裏。多少血が残っていても誰かが酔っ払って喧嘩した位にしか思われないだろう。それほどまでにここの治安は悪い。

 誰かが誰かの手によって血を流す。ここではそんな事は日常茶飯事なのだ。

 

 何も好きでこんな事をしている訳ではない。こうしなければ生き残る事が出来ないからだ。私は生きる為に、主様に言われた通りに人を殺す。今日までそうして生きてきた。

 これが闇の中で輝く事を恐れ、闇に堕ちた私の生き方。

 

 後片付けを終えた私は、壁を走り屋根に登る。

 そして、屋根から屋根へ飛び移って主様の元へ帰って行く。


 生きる為に。

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