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武術覚書  作者: asada11112
89/187

089 サイケデリック体験

サイケデリック体験。


10年前に、

目から入ってくる情報を、

特に間合いの情報を、

武術的に最適化させるために、行っていたトレーニングにて起きた状態を、

その時の精神状態を描写した内容である。


ある意味、危ない薬でも決めた状態である。

アーティストが大麻にはまったりするのは、

これに近いものを求めているからなのかもしれない。


ドン引きするかもしないので、

あらかじめ注意して欲しい。

サイケデリック系が苦手な者はブラウザバック推奨。


*************


観察のトレーニングを始めて、

「良く見ると綺麗」だと気づいてくる。

始めは特定のものしか「綺麗に」見えなかった。

ステンレスの支柱に嵌め込んであるメタルブルーのマーク。

次いで、その支柱の高さ調節のハンドルの尖端に被せてある赤いプラスチックの球体キャップ

(仕事柄、これを目にする事が一番多かったのが理由)

ワックスの塗ってある床

椅子のツヤツヤした部分。

等々……


ツヤツヤを綺麗だと気づいて見ているうちに、

ザラザラ、デコボコも綺麗と言うか、

芸術性がある事に気付く。


ヒョイと顔を上げる。

世界がいきなり立体に変わっていることに驚いた!

まるで立体写真の様である!!!

……………


待て。

世界は元々立体ではなかったか?


何故今更、

世界に遠くがあって、中距離があって、近くがある事に驚く?


生まれて40年近く、

それほどまでに何も観察していなかったという事実に驚く。


観察のトレーニングを続ける


色、

昔は淡い色が好きだった。

ところが、観察を続けると、

どぎついと思っていた『原色』が綺麗に見えることに気が付く。


般若心経で『観察』の重要性を説く仏教の寺院が、

建立当時、原色でガンガンに彩られていたのはそのためなのだろうか?


そして見えない色。

それは銀色。

テンレス製の支柱、

はめ込んであるメタルブルーは綺麗に見えても、

支柱の銀色は綺麗に見えない。

当時、

どれだけ見ても、

いくら目を凝らしても、

ずっと見続けても、『綺麗に見えない』


何故だろうと思いつつ、ステンレスの板をのぞき込む。

ピカピカに磨き上げられたその板に映るのは、

『鏡やないかーい!』


つまり銀色って言うのは、

『世界の色やないかーい!』

『全ての色やないかーい』

『色として存在しないやないかーい!』


銀色を覗いて映るのは、

『自分やないかーい!』


奥義悟りの映画、サイレントフルートの中で、

最大にして最難関の試練 『鏡』


難しいはずだ。

見えないはずだ。


そう思いながら、ピカピカに磨かれた、黒い御影石を覗いてみる。

夏の暑い日差しの中、

やっぱり自分が映る。

『これも鏡やないかーい!』


磨かれた床にも、ガラスにも、

ピカピカな綺麗なものは全部、

鏡と同じで、

『自分が映っとるやないかーい!』


銀色の鏡じゃなくても自分が映る。

ということは、あれも、これも、あそこに有るものも、

ピカピカに磨いたら、自分が映る。


つまりは、反射率が悪いだけで、

磨かなくとも、どんなものを見ても、

究極的には鏡を覗いているのと同じ。


観察に観察を続けて、

最後にたどり着くのは鏡。

観察している自分を観察する。


私は何を観察していたのか?

それとも、モノに観察されていたのか?


モノが笑っている。

まるで、今まで必死で観察してきた私をあざ笑うように。

『そんなことに、今まで気付かなかったのかい?』

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