073 独習について
独習者
武術、武道を独習したいと言う人を時々ネットで見かける。
曰く、近くに道場が無いからだそうだが、
取り敢えず、言えるのは、
『独習だけはやめておけ』
と言う事。
師匠が以前、外部からの体験も含めてとある都市部で講習会を行った時に、
参加した受講者の中に一人、
『独習で八極拳を練習して来た』と言う人がいた。(仮にその人物を『A』としておく)
なお、他の受講者は全員なにがしかの武術、武道の経験者である。
で、Aは衝捶を手直しして欲しいと師匠に頼んで、
師匠の前で衝捶をやって見せた。
その時の感想は、師匠曰く、
「全てが何から何まで駄目だった。
他の受講者も『うわぁ‥‥』って顔だった。
どうしようかと、他の受講者を見たら、皆んな俺から目を逸らすんだよ(困惑)」
で、仕方がないから師匠は、
『軸がズレてる』
という一つだけに絞って指導、手直しを試みた。
当然と言うか、何というか、
その僅かな時間では直る筈もなく、
Aはショックを受けていた。
そうなるのも仕方が無いだろうし、
独習しようと思うのも気持ちは分からないでも無いが、
Aの動きを振り返って師匠は、
師匠「せめて自分の動きを自分で撮影して、
ちゃんとした武術を習っている人が上げてる動画と比べるとか、
それくらいやって欲しかった、
おそらく鏡で自分の動きを見る事すらやって無いわ」
との事。
自分の下手なりに習い続けて来た20年の経験から言えば、
どんな方法でも良いから、誰かちゃんとした師匠についてうこと。
習わないと無理。
20年かかって私は今だに師匠から衝捶は手直しされ、
師匠から要求される内容の難しさに絶望感すら感じる。
それでも亀の進行速度並みではあるが、
少しずつ課題をクリアしながら前に進んでいるとの事。
そして、難しいと言う事は、
角度を変えると『やさしい』と言う事である。
何故なら、普通の師範なら口を噤んで話さない内容を、
師匠は懸命に生徒に伝えようとしているから。




