057 仙道と別次元の世界
仙道と別次元の世界
師匠は、武術を学ぶ前には仙道を修めていた。
当時は直接武術に関係してはこなかったが、
師匠の先生に一目置かれる様にはなったとの事。
「お前、気が操れるのか?」
と驚かれたそうな。
それが『見える』師匠の先生も大概だと思う。
私は基本的な気功しか習ってはいないが、20年間練習してきて全く気が見えない。
20年間習っていて色々な生徒が入っては出て行き、
かなりの数の生徒たちを見てきたか、
気が明確に見えたのは二人〜三人程度だと思う。
さて次元を超えた別世界は、なろう小説では定番であるが、
どうやら現実世界でも存在するらしい。
師匠は仙道で『天花乱墜』と呼ばれる段階まで行ったそうな。
それより前の段階で、
『採薬』と呼ばれる段階があり、
身体の中で練りに練った強力な気の玉が発生する状態がある。
これが所謂『仙薬』と呼ばれるものであり、
西遊記にて孫悟空が太上老君の部屋から盗み貪り食べて、
身体が神仙レベルにアップして天界の神々の軍勢相手にたった一人で三面六臂の戦いをした。
その元ネタとなったものである。
この仙薬(仙道では正確には小薬と言う)を、
師匠は体内で作り出したは良いが、
いつの間にかに行方不明になっていたそうだが、
少し前に見つける事が出来たと言う。
場所は、師匠自身の体内の、
しかし別次元の方に存在していたそうである。
その話を聞いたときには、
まるでファンタジー世界に出てくる、『収納魔法』やアイテムボックスみたいだなぁ、と思ってしまった。
あと、気功で厄祓いなんかした時は、師匠は
「この祓った厄は、元の持ち主に戻る訳でなしに、何処に行くのか」
と思っていたが、これも同じで自分用のそれを取って置くための棚みたいな所が同じ座標の別の次元に有って、
そこに貯蔵(?)されているとの事。
師匠「一番近いのが『幽界』かな。この世と二重に存在する少しだけ次元のズレた場所。」
で、妖怪とかもそっちの住人だろうとの事。
時々、妖怪を見たりする話があるが、それは自分の意識がそっちに行ってしまったためだと言う。
当然ながら、幽界にも自分の身体が(誰にでも)あり、
普通は自分がそっちに行ったと気が付かないそうである。




