051 残留する『勁』−蓄勁
残留する『勁』−蓄勁
『勁』を対人で使うと、不思議な現象が発生する。
初めてその現象の一端を見たのは数年前。
武術の合宿を会でやった時の事、
夜の飲み会で興が乗った師匠がやって見せた技術
師匠が自分の腕に勁を発生させて、
私の右腕にそれを伝えた。
師匠「右腕を固めて勁を留めろ」
師匠「今度はそれを左腕に流して留めろ」
それを他生徒に掴ませて、私が腕を振ると、
その生徒はそのまま崩れ、倒れた。
そして、それは道具を使っても行われる様になった。
師匠が棒で勁を作る、
それを渡される、
何故かいつもの棒よりも重く感じる。
師匠がその棒を押すと、こちらは崩れてしまう。
師匠が勁を作ったキックミットを、
師匠「ギュッと持て」
と渡される。
その状態で他の生徒に端っこを持たせて、
私が引っ張ると、相手は崩れてしまう。
師匠「まだミットに勁は残っているから」
私は相手にミットを手渡しして、
今度は私がミットの端を持つ、
相手がミットを引くと、私は同じように崩れる。
物体に勁は残留する。
師匠「俺でもこれだけ出来るなら、昔の達人や剣豪なんかも同じ様に出来るだろう、当時の達人や剣豪が使った木刀やら槍とかが残されているが、それらはおそらく今でもかなりの勁が残留している可能性がある。」
との事。
以下は私の個人的な見解であり、
師匠の見解ではないので、
ご了解いただきたい。
世に言う名刀、凄まじく斬れる刀剣と言うモノは、
鉄塊から剣の形にまで鍛造して何度も熱い内に叩いて鍛える。
そして焼き入れと言う凄まじい温度差を経て出来上がる。
ただ、鉄の塊をハンマーで打つだけではなく、
剣として斬れる方向性に力を出せるように、
ハンマーで鉄塊に勁を入れて作っているのではないのだろうか?、
刀剣の研ぎもまた勁を入れられる一工程と考える。
それら幾つもの工程を経て作られたのが日本のオーパーツである、
『古刀』なのかもしれない。




