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武術覚書  作者: asada11112
22/182

022 猛虎硬爬山

猛虎硬爬山


漫画『拳児』一巻で描かれていた李書文の逸話、

『相手の頭を胴体にめり込ませた』

というのは、何をしたのか。



師匠より

「猛虎硬爬山だ」

との事。

師匠「M師範のお遊びで、ワザと劇中では説明しなかった」

と言われる。


またM師範の関連した武術漫画では、

猛虎硬爬山は

突きからの肘打ち(男組)

掌の突き(拳児の李書文の逸話)

など、いずれも異なっている。

師匠「自分の宝物の武術だから詳細を不特定多数に見せたくなかったのが実情」


因みに拳児の李書文外伝の劇中で金家八極拳から技盗みをして使ったシーンで使われたのは、

B家の通備八極拳の猛虎硬爬山で、

男組の流全次郎が使ったのはB壇の猛虎硬爬山である。


ただしB家に別法として、

虎爪掌で両手で相手を引っ掻く様にグルグル回す方法がある。


長春八極にもあり、

B壇にもやっぱりある。


猛虎硬爬山ー読んで字の如く、

『虎が山を引っ掻く様に駆け登る』動作でありこれが本筋のやり方。


晩年のM師範が著書で、型としてのこの動きがB壇の猛虎硬爬山として肘打ちの後に存在していた事を発表している。


どんくらいで伝を受けられるのか?


師匠「最初の衝捶の所で既に練習しとる」


B壇八極拳では右衝捶を打つときは、

最初左肘を立てて上げ、

掌にして伸ばす。

肘打ちから劈掌の動作を衝捶の準備動作でやっている。



因みに李書文公は猛虎硬爬山を最も得意としていたと言われるが、

小架や大架に元々入っている。


それはどこか?、と言うと、

小架では、

『2回目の頂肘(第二頂肘)の少し前からが猛虎硬爬山』


許家福系の小架では

十字掌から頂肘、

あくまでも威力に主眼を置いた使い方としてみた場合は、


二つの劈掌を時間差で打ち、

右の劈掌を頭に打ち込み、その右掌の上に左の劈掌を更に打つ事に主眼が置かれる。


片手だけで劈掌を頭に打っても、

人間は抵抗力を出して耐えられる。

しかし、二つの劈掌を時間差で、

掌の上に重ねる様に打つと、

違う力の方向が二つ出来てしまうので耐えられない。


各派の八極小架の套路にはそれがある。

孟村八極拳では『合手』と呼んで両手の掌を『猫だまし』の様に打ち合わせる。

他派では双挿掌、双手接掌、打合手などと呼ばれ、

猛虎硬爬山で『威力を浸透させる為の秘伝』であり、

心眼流の重ね当てと同じ意味がある。


これは二重の打撃口訣、

つまり「二の打ち」である。

「二の打ち要らず」の李書文が弟子には二の打ちを教えている。


長春八極拳では、その部分を小さな回転で行なってから掌を打ち合わせる。

掌を相手に向けたら小さくグルグル引っ掻き回す形になる。


つまり先に『先に展開を求め、後に緊奏に至る』で許家福系小架では大きな動きて猛虎硬爬山、長春系小架では小さな動きで猛虎硬把山を行う。


B壇系では、

ほぼ直線の『探(馬)掌』『衝捶』『頂肘』になり、

『片手だけで打つ』方法論に段階が、進んでいる。


片手でやる場合は、

左掌底の部分で相手のオデコを打つ。

左掌を倒して相手の頭を打つ。


これも二の打ち。

一つ目で、相手は無意識に頭を前に押し返す。

二つ目で、相手は顎を出す。


この時点で相手の頭ー頸骨ー胴体がN字型に歪む。


そのまま下に押し下げると、

脊椎が連続して脱臼する。


S老師が猛虎硬爬山を『高度な関節技』と言ったのはこれの事。


衝捶から頂肘を一気にやる事でも『二の打ち』になる。

李書文公に二の打ちが要らないだけで、

八極拳そのものは二の打ちを多用している。

李書文公が特異な存在で、弟子には自分の真似が不可能だったとわかっていたのだろう。







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