177 中国武術の身体に存在する仮想の肉体組織・『スジ』
177 中国武術の身体に存在する仮想の肉体組織・『スジ』
中国医学には物理的に存在しない、
『経絡』と言う仮想のエネルギールートが存在する。
それが『機能上』存在するとして鍼灸師が扱い、
針を打つと確かに効く。
それと同じ様に、
中国武術には『機能上に存在する』として扱う事により、
相手を崩したり吹っ飛ばしたりする事が出来る様になる、
仮想の肉体組織の『スジ』がある。
中国武術を練習している人は、口訣として教えて貰う人間もいるが、
むしろ、
言葉では教えてもらう事無く、
無意識的に師匠の動きを真似しているうちに、
なんとなく使える様になっている人が多い。
今回、
練習会での師匠の教えた内容を話すことは出来ない。
生徒の私達でも、
実験室レベルでの効果が出てしまっている。
当然、実際に相手に技を掛けようとしてでは無理なのであるが、
生徒同士で再現可能な技術であるために、
下手をするとコレを読んだ人間が出来る様になりかねない。
師匠の指導方法は書けない。
取り敢えず、現象のみを書くと、
師匠がこの方法論で生徒に崩し技を掛けた所、
生徒の崩れ方が、
かつて昭和から平成の初期に、
『武道の神様』と呼ばれた、
合気道養神館創始者である、
故・塩田剛三館長が黒帯稽古会で見せていた崩し技に、
非常によく似た崩れ方をする。
この辺りが書ける限界かと思う。
私自身はあまり『見る眼がない』ので間違った事だった場合にややこしくなってしまう。
更に『武術の周辺事情』から考えて行くと、
色々な憶測を、
コレを読んだ人間に与えてしまうので、
それも合わせてあまり突っ込んだ話も出来ない。
今回は、別の流派の内容を引用して話す事になる。
ほぼ全編、私が余りよく解かっていない他流派の話、
私が関わっていない流派の人が、
公刊の書籍などで話した内容を使うことで、
ギリギリ話題に出せる内容である。
便利な事に、
私がお勧めする資料である、
『柳生心眼流』に、
その教えがある。
これの存在自体は、
結構前に(多分)『格闘技通信』にてライターさんが書いていた話である。
その原本は当時、
記事としてかなり心眼流の『企業秘密』に『配慮』されたものであった。
原本はもう所持しておらず、
記憶のみで大意を書いているのでご容赦していただきたい。
内容は、
当時のライターさんが、
柳生心眼流の島津兼治師範の道場で見聞したもの、
練習生らがそれを練習されているのを見ていて驚いた旨が書いてあった。
技法内容は島津兼治師範より釘を刺されたので詳細を書けないとして、
『中国武術で練習されている気功に非常によく似た動きをしていた』
と言う内容であった。
※武術の場合は、気功と言うより『内功』と書いた方が良いっぽい。
これを数年後、
(もしかしたら十数年後)ぐらいに島津師範が、
月刊誌『秘伝』にて公開されていた。
(動画版がDVDに収録されている)
その内容は、
工夫伝として伝わる身体鍛錬法として、
心眼流東北伝を伝える相澤富雄師範が弟子の島津師範に伝えた技であり、
相澤師範はこれについて、
「東北伝でもほとんど伝える人がいなくなった絶技である」
と言っていたと言う。
島津師範によれば、
相澤師範が気まぐれで教えてくれた技であり、
詳しい名前を教えてもらう前に相澤師範が鬼籍に入ってしまった。
だが技法そのものは残った、
的な言い方をしていた。
この技については、
筋肉を鍛えるものではなく、
『スジ』を鍛えるものである、
と秘伝誌にて書いていた。
※なお、『スジ』は漢字で書くと『筋』であり、
『筋肉=キンニク』とごっちゃになってしまうので、
あえて今回私はカタカナ表記で『スジ』と書いている。
コレを読んだ人間は、
「スジ?、ふーん、それで?」
と思うかもしれないが、
あの達人として名高い塩谷剛三館長の秘密に迫るものとして、
私は興味津々である。
取り敢えず、
今の私の武術における『スジ』の使い方に関して考えている事を以下で述べる。
※なお師匠はこんな話は一切していない。
あくまでも私の理解で私の言葉で書く。
以下、内容。
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肉体には、
筋肉とは別に『スジ』がまるでピアノ線の様に、
沢山、
そして縦横無尽に走っている。
※正確には、そう言う意念で身体を動かす、
『スジ』は筋肉とは別系統に『機能的に存在する』人体の組織であり、
(実体は無い)
『スジ』を動かすには、
筋肉とはまるで違う力の出し方をして身体を動かさなければならない。
それが、所謂『勁』である。
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他流でコレに関連した内容ではないか?、
と『私が勝手に』判断したものを挙げて行く。
①近藤孝洋師範の著作、
『原説・太極拳』(愛隆堂)
以下・大意
武術の動きは脱力で行うのでは無く、
身体にビシビシに力を張り詰めても行うものであり、
例えば南派武術の洪家拳に伝わる、
『鉄線拳』がその訓練の代表とのこと、
※ネットで調べたところ、
『鉄線拳』は、洪家拳に伝わる秘伝の套路で、
『内功』を練る為のものと言う。
『スジ』と言う身体の中を走るピアノ線の様な組織を鍛える為に行うのが、
『鉄線拳』と言う、
ドンピシャの套路名である。
②北派中国武術においては、
それら全般を
『伸筋抜骨』
と呼んでいる。
『伸筋抜骨』の伸筋は西洋医学の伸筋と言うのではなく、
『スジを使う』
と言う意味に使う。
それが基本であり、
少林拳では特にその為の完成された套路、
『易筋経』
がある。
『易しくスジを動かす方法論を学ぶ経典』と言う意味である。
※ネットで易筋経を調べると、
清代には、易筋経を手に入れるため、
武術の各流派は互いに戦って殺しあったとする説もある。
との事(私的には、さもありなん、という感想)
③大東流合気柔術・佐川幸義宗範の1番弟子で、
佐川合気を追い求めた、
吉丸慶雪師範。
合気の研究過程で、発勁を調べる為に太極拳を学び、
筋肉とは違う『スジ』の使い方になんとなく気付いていたのかもしれない。
吉丸師範は、
初期の著作では『伸筋を使って』と書いていたが、
武術界隈で、
「筋肉に伸びて力を出す機能はない!」
とバッシングを受けて、
その表現をやめてしまった。
(後年、表現の言葉を『伸張力』と言い直していた。)
④心身統一合氣道の創始者
籐平光一師範、
有名な、『曲がらない腕』
の初段階の使い方がスジの技術である可能性がある。
初っ端から教えられる技術は、
中国武術では、
『一番その門派が伝えたい事』
であるので、
(例えば、呉氏八極拳ては套路の初っ端に行う『開門式』、
以前書いたが、
あれがたった一つ使えるだけで、
全ての相手の攻撃に対処が可能になる)
籐平光一師範は、
『スジ』の使い方をやっていた可能性がある。
今回は推敲に時間を取られた。
発表してはいけない部分に触らない様に文章をカットしたり、
表現を変えたり、
スクラップして置いて置いた、
秘伝誌掲載の心眼流の記事とDVDがどこにしまったかわからなくなったり、
(その為、記憶のみで書いていたりする)




