170 李書文の謎
170 李書文の謎
前回は張驤伍将軍の生没年の話であったが、
今回は師匠がわざわざ張驤伍伝の李書文八極拳の動画を見た理由についてである。
師匠「同じ李書文系八極拳でも、
開門弟子の霍氏八極拳と関門弟子の劉氏八極拳とはかなり違うよね」
今までは、松田隆智先生の説‥‥‥‥霍殿閣には李書文が習った事をそのまま伝えて、
劉雲樵には李書文が工夫した内容を伝えた‥‥‥‥‥
と言うのを信じて、
劉氏八極拳は最後に発生した異端なんだと思っていたのだが、
張世忠の八極拳の映像を見て、
疑問が出て来たとの事。
師匠「身体の操作法で分けると、
大陸の霍氏の系統と台湾の劉氏の系統に別れると思って居たんだが‥‥‥‥」
張世忠の『中身の使い方』は区別を付けると劉氏の系統に分類されてしまうとの事である。
師匠「他にある大陸の李書文系を見たら、
もしかして張世忠のように劉氏と同じ使い方をする所があるんじゃないかと思っていたんだけど‥‥‥‥‥‥」
張驤伍将軍の八極拳も使い方は霍氏の系統に属するものだったそうである。
今のところ張世忠老師の動画以外では、いなかったとの話。
謎である。
張世忠の兄弟弟子である、
許家福の弟子の鮑有聲の系統の動画や、
許家福のお孫さんの動画もあったが(元動画削除されてた!)
動画での使い方は霍氏のものと同じだったらしい。
張世忠老師のあの使い方は自然に出来るものではなく、
しかも、張世忠老師は李書文の直下の出来ではなく、
李書文の弟子である許家福から習った『李書文の再伝弟子』である。
師匠「って言う事は、少なくとも許家福の使った八極拳が既に劉雲樵のものに近いって事だよね、
しかし、なんで他の許家福の弟子の系統の動画が、
『動画上』でやっていないのか‥‥‥分からん」
(動画では隠している可能性もある)
因みに、今回練習会に『秘伝・2023年2月号』を持って行って師匠に渡したのだが、
李隨印師範のインタビュー記事を見ながら、
師匠「張驤伍将軍の写真って載ってる?」
と尋ねて来たので、
私「ありますよ、この二人並んでる写真の向かって右が張驤伍将軍です」
と示すと、
師匠「ああ、張驤伍将軍って拳法系の身体ではなくて、摔角の上級者の身体をしている。」
と言っていた。
なお、一緒に写真に並んで写っている張之江将軍は、
師匠「少林拳系の身体」
との事であった。
張驤伍将軍は、摔角の功夫を基盤にして李書文から習った八極拳を使っているらしい。
漫画『拳児』の蘇崑崙は螳螂拳の功夫を基盤に劉月俠から習った八極拳を使っている、
師匠「武術家だから、後年に面倒くさくなって、
別に螳螂拳で殺せるじゃん!
って螳螂拳の割合が多くなったかも」
との事。
(注・このあたりは私の目では区別が付かないので質問されても答えられない。
写真だけで摔角の身体や少林拳の身体だと区別出来師匠の目はどんなんだろう‥‥‥‥‥‥)
なお、霍文学老師の使い方について聞くと、
師匠「霍文学老師は『内功』がメチャ強い、彼の強さは内功から来ている」
との事。
この辺り、松田隆智先生は、
「李書文が内功を特に練習して、
李書文が外家拳だった八極拳を内家拳にしてしまった」
と言っているので、
李書文が霍殿閣にそういう教え方をしたとも考えられる。
(一説には、李書文は鐵砂掌の練功の為の漢方薬を買うには金銭の余裕がなかったので、
その代わりに内功を徹底的にやったと言う)




