145 番外編 鳥の姿の何か
番外編:鳥の姿の何か(10年前の話)
武術の練習が終わって、夜の公園でのだべりタイム。
霊能者のKさんも参加している。
当時生徒だったMさんも残って話している。
(『135 三角の家』に出て来たMさんと同一人物です)
Kさんが、暫しMさんを見つめて、
K「M君、呪いが掛かってる」
と言った。
基本、怖い系の話題が苦手なMさんは、
もの凄い怖がっていた。
Kさんの話では、
Mの体内に黒い何かの塊が入っているという。
K「え?‥‥なんだこれ?」
私「どうしました?」
K「引っ張り出したら、小さな鳥の形をしてる」
M「鳥‥‥ですか?」
K「式神みたいなものだと思うけど‥‥」
私「どんな鳥ですか?」
K「アニメの『カリメロ』に似てる。
カリメロから頭に乗ってる卵の殻を取った感じ、
脚が細くて長い」
Kさんが眉を顰める。
K「あ?!、コイツ返しやがった!」
私「返した?」
K「捕縛しようと霊力の縄を掛けたら、光って縄を霧散させた!、まるで映画みたいだ!」
この時、
魔物『無駄だ、お前の術とは【理:ことわり】が違う』
と言って来たという。
K「ちょっと待てよ‥‥コレも駄目、コレも駄目‥‥」
幾つかの捕縛の呪術を掛けて行く、
K「少しだけ掛かった!、ドーマンセーマンの五芒星と円形の組み合わせ!」
少し考えて、顔を上げるKさん。
K「解った!、魔法陣の形だ!、コイツ、式神じゃなくて西洋の悪魔だ」
私「西洋魔術の呪いが掛かってるんですか?」
K「そういう事になるわな。理が解っちゃえばこっちのもんだ。」
Kさんは、
円形、五芒星、六芒星等、
西洋魔術でも通じる図形を何重にも掛けて魔物を縛る。
K「よし!、捕まえたからコレは俺が貰っても良いよな?」
とMさんに聞く。
怖い系の大嫌いなMさんは、
どうぞどうぞ持っていって下さいと快諾。
M「ところで、僕になんでそんなものが掛かってるんですか?」
K「誰か知り合いに掛けた人がいる」
M「どういう事ですか?」
K「高校生ぐらいの時に、彼女いたでしょ?」
M「はい、いました。」
K「バレンタインの時に、チョコ貰って食べなかった?」
M「貰って食べました。」
K「それに髪の毛が入っていて、多分黒魔術の儀式でもやったんだと思う」
顔面蒼白になるM
M「黒魔術ってそんなに簡単に掛かるもんなんですか?」
K「普通なら効果は出ない筈なんだけど‥‥
その彼女の前世が魔女だね。だから掛かった」
魔物から、魔術を掛けた人間をたどり、
魔術成立させた原因である前世の魔女まで視えたという。
多分、本屋で買った簡単な『おまじない』の本をやったのだろうとの事、
翌週も、武術の練習会にKさんが遊びに来たが、
彼の胸元に変わった形のペンダントが下がっている。
K「これ?、『ソロモンの鍵』って言うやつ。
西洋魔術にも対応出来るように知識つけたから、
これであの時捕まえた魔物も使役出来るようになった。」
私「使役出来るって事は、あの魔物の正体が解ったんですか?」
K「そう、ネットで画像調べたら、アレはソロモンの72柱の中のストラスって悪魔がそのままの姿だった。
大きさから見てその眷属。」




