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武術覚書  作者: asada11112
137/187

137 猛虎硬爬山の新しい発見

実は、

Youtubeにこの見解を書こうと思ったのですが、

色々と芋蔓式に思い出して、

昔に書いた話の続編になると気が付いたので、

こちらに書く事にしました。

これは最近、

師匠にB壇系の八極小架の解説を受けた所から始まる発見である。


その時の指導内容で面白い話が有った。


『合手について』である。


昔、八極拳の猛虎硬爬山の考察にて、

小架での閉當捶の後に、

『連環劈捶ー合手ー虎爪掌の爬山(山を引っ掻く動作)ー衝捶ー頂肘』

になるのではないかと言う説を出したが、


その合手について。


まずは、連環劈掌で合手をやった場合、

一つ目の右劈掌で相手の頭頂部を打ち、

二つ目の左劈掌を右掌の上に打ち落とす。


これが型で使われる合手の本来の使い方である。


普通に合手をしない連環劈掌を脳天に喰らうと、

まあ、耐えられる。

しかし、一つ目の右劈掌を頭天に残されたまま、

二つ目の劈掌を右掌の上に軽く落とされると、


耐えられずに座り込んでしまった。

理由は、


左右の掌で、力の入る方向、ベクトルが違うので、

タイミングをずらして同じ場所に『タタン』と二重の衝撃と別ベクトルが入ると、

人体は抵抗力を失って技が『入ってしまう』との事。


猛虎硬爬山を喰らった人間が、

頭が陥没した理由は其処にある。 


で、次の段階が、

片手でその効果を出す方法論。

以前に書いた話であるが、

取り敢えずここに書き直す。


合手では両手で発生させた二点の違うベクトル打撃を、

片手で発生させれば良い。


①最初に手首を反らした状態で、

右掌底の部分をオデコの生え際辺りに当てる。

これで頭には前から後ろ向きへの『一つ目のベクトル』が入る。


②次いで右手首を折り曲げて虎爪掌で相手の頭を引っ掴む、

これが脳天から真下に向けた、

『二つ目のベクトル』になる。


生理反応で相手の頭部は顎が前に出た状態に頸椎がズレる、

横から見て頭と頸椎が『Z字型』の配列に歪む。

(Zの一番上の横線が向かって左を向いた顎のラインとイメージして欲しい)


③そのまま下に落とす事で、

抵抗力が失われた人体に、


更に頸椎からの『Z字型のズレ』が下の脊椎骨に次々と伝わり、

ドミノ倒し状態に脱臼する。


つまりは、

脊椎が縦に潰れて頭が陥没したのではなく、

脊椎を繋ぐ靭帯が全て千切れて、

椎骨が全て脱臼して、

横から見て脊椎骨が大きな『N字型』になったので、


結果頭が胴体にめり込んだ訳である。


B壇系のS老師が、

武術系の雑誌で明らかにした、

『猛虎硬爬山は高度な関節技である』

と言う内容と一致する。


雑誌ではS老師は食用の猿で試したそうであり、猿は脊椎骨の全てが脱臼状態になっていたとの事。


さて、合手がB壇系の何処に合手が?


それは、

B壇系の八極小架の、

托掌(托槍)、長春系では並歩挫掌や孟村系の進歩単陽砲に当たる部分について習った時に、


托槍を打つ直前は、

古いB壇系の八極小架では、

実は両方の掌を重ねた姿勢になっていて、

それが合手と言う説明だった。


個人的には非常に驚き、

尚且つとても納得行く説明だった。


何故なら、

他の系統の八極小架では、

羅漢打虎(蟒蛇纏身)の後には、

右手は鈎手で下から降り上げる動作であるが、


B壇系では、

私が出した説の猛虎硬爬山の部分、

閉當捶の後の動きの、

小さな動きでの左右の探馬掌‥‥


それと同じ動作が、

其処にあったからである。


猛虎硬爬山の仮説を出す際に、

実は小架のその部分の動作と混同する事が良く有って、

私「いやいや、そっちじゃなくて」

と自分に言い聞かせていた部位であった。


そして、他の系統の八極小架では、

托槍の極めの形は掌底で相手の顎を上に突き上げる技だったのに対して、


B壇系の八極小架では、

その部分、

肘打ちと掌底顎打ちの同時二点打撃になっている。


つまりは、

B壇系の八極小架では、一度の套路で、

『猛虎硬爬山が違う形で二度出てくる』

と言う、

極めて特異な特長を持つ事が分かったのである。

(とても李書文らしいと感じた)


あと、自説を入れると、

B壇系八極小架の最初の頂肘の直前の形もまた、

猛虎硬爬山の合手ではないかと考えている。


他の系統の小架の最初の頂肘は、

殆どが拳を握った状態で行っており、

B壇系が開掌で、しかも左右の掌を重ねている。



頭部への劈掌・劈捶を避ける時、

咄嗟に人間は頭を後ろに下げる。

その時、身体を逸らせて胸が空く。

其処に頂肘が入る。

B壇系の猛虎硬爬山の頂肘は、

その使用法なのである。


劈掌ー頂肘ー劈掌と、連環するのが猛虎硬爬山の特徴である。


なお、

一時期、八極拳と日本の柳生心眼流が似ていると言われたが、


八極拳の合手は、

心眼流の『鉄砲』(双掌重ね打ち)そのものである。


因みに、心眼流の鉄砲の使い方として、

胸ぐらを掴んだ相手の腕に掛ける技が、

八極拳の連環劈掌からの合手と同じ技を相手の腕にかますと言う、

関節技として使う方法論があり、


心眼流の『奥伝・最後の技』

(島津師範の師匠が教えると言っていた日の、

前日の晩に鬼籍に入ってしまい、

危うく失伝する所を、

師匠がもしもの時にと師匠の奥さんに伝えて置いたお陰で、

ギリギリで伝わった経緯がある)

それは、

八極拳では言う所の巴子拳、

または心眼流版の『第二段階での伸筋抜骨』を使った拳で、

相手の喉に向かって合手を掛けると言う、

なかなかにエグい技である。



B壇系の八極拳では、


六大開の猛虎硬爬山は、

衝捶ー寸捶ー頂肘と、

心臓に向かって短い時間に三連撃します。


理由は『そうしないと殺せないから』

との事です。


師匠「ボクシングでも、KOするには、

ワン・ツー、じゃなくて、

ワン・ツー・スリーだろ?、

殺すには瞬間的に三つ入れないとダメ。

他の系統の八極拳に比べて、

套路に明確に相手への殺意が入っている。

そういう怖さがある。」


『一撃必殺』では無く、

連撃をちゃんとする。


因みにB壇系の八極小架の合手は、

相手の心臓に向かって打つそうです。

左右両方の掌、肘打ちと、

心臓に三つ瞬時に入れる事を考えた套路との事。


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― 新着の感想 ―
[一言] こんばんは。しょうもない話ですが、 ヤバいモノを見つけてしまったので、ご報告します。 件の痛備さんは「五百円」や「石○」系ですが、YouTuberの、 Medieval sword work…
[一言] 『拳児李書文外伝』にも、背後からの突きを転身しながら一回目の劈掌で払って二回目の劈掌を顔に撃つとか、一回目の劈掌を顔に当てて相手の動きを止めて虎爪掌の突きを撃つという形で表されてますね。 最…
[一言] 宝蔵院胤瞬です。 内容の濃いお話、いつも楽しく拝読しております。 件の痛備の先生が、『ゆっくり』のチャンネルで「猛虎硬爬山」の動画を新調しました。 以前よりも言葉遣いを忖度した内容になってい…
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