136 孫禄堂の軽身功の逸話
八卦掌の達人、孫禄堂の軽身功の逸話だったと思う。
武術家の集まった宴会の席で、
みんな何か出し物(?)をしようと言う話になって、
孫禄堂は、
壁に横向きに立って片足を上げた。
みんなは、
「それがどうしたの?」
と言う感じだったが、
孫は、
「壁に右肩と右脚をピッタリつけたまま左足を上げたのだ、みんなやってみると良い」
と言った。
他の武術で達が試したが、
誰も孫がやった様には出来なかった。
ーーーと、こんな様な話だった。
これ自体は、
私は小学生ぐらいに子供向けの力学の小話で、
重心の説明でこの状態では決して足は上がらないと、読んだ事があるが、
師匠はそれを再現した事がある。
練習場で柔軟体操をやっている時に、師匠より、
師匠「おいasada!、ちょっとこっち見ろ!」
と言われて振り向いたら、
師匠が壁際で、
片足立ちをしている。
それがどうしたんだろうか?、
と私が首を傾げていると、
やがて師匠は、ガックリと座り込み、
師匠「なんで分かんないの!、俺は今右肩と右脚を壁につけて左足上げてただろ!」
と言われて、
ようやく孫禄堂の逸話の再現だと思い至った。
私「師匠!、もう一回お願いします!」
と言ったところ、
師匠「無理!、筋肉を限界まで使ったから1日に二度は出来ない!」
と言っていた。
翌週、師匠は何人かの生徒がいる前でもう一回やって、
師匠「おい、お前ら、こっち見ろ!」
と言ったが、
見ても誰も師匠が何を言っているのか分からなかった。
(そもそも、孫禄堂の逸話を知らなかったらしい)
誰も理解してくれず、
師匠はどっかと座り込み、
師匠「もう、やだ‥‥」
と不貞腐れていた。
私「今の、写真に撮ったらどうでしょう?」
師匠「どうせトリックだと言って誰も取りあってくれないよ」
と言っていた。
一応、師匠の見解と、
やり方の説明を聞いたので、
ここに書いておく。
あれは、『把式』の応用との事である。
まずは壁に背中と踵を着けて馬歩をやり、
其処から馬弓捶の容量で右弓歩に身体を変えて行き、
(これで壁に対して横向きになる)
そして後ろになった左脚を自分の方に寄せていくのだそうである。
しかし、師匠のレベルでもかなり難しく、
生徒は教えて貰っても一人も出来なかった




