135 三角の家(番外編・怖い話)
三角の家
愛知県では有名な心霊スポットだった。
過去形なのは、大分昔に取り壊されてしまったから。
まだ物件が残っていた時の話。
(メモが何処か見つからなかったので書き直し。)
今は仕事の都合で練習会を辞めてしまったMさんが経験した話。
Mさんは大の心霊嫌い・怖がりであり、
心霊スポット探検などは絶対にしない人間なのだが、
そういう人間ほど心霊スポットに連れて行きたいと、
友達は思ったらしく、
連れ立って遊びに行った帰りに、
送っていくと言われて、
友人の車に乗ったら
そのまま三角の家の前まで連れて行かれたそうな。
本人は車から絶対に降りず、
友達だけが三角の家に凸撃したらしい。
M「何もなかったんですが、そんな事が有りました」
と、練習会の後の深夜の公演でのダベリで師匠とKさんに報告する。
K「何もないどころか、しっかり取り憑かれてるよ、何か変なことは起きなかったか?」
M「そういえば、アパートに帰ってきたら何かドアの前でドブの様な匂いがしてました」
K「他には?」
M「あと、帰ってから暫くコタツで横になっていて、
うとうとして‥‥寝返りをうったら、女の人がいた気がします。
‥‥でも勘違いだと思ってました」
K「これは俺の力じゃ取れない。
力のとても大きな妖怪だと思う。
お前の身体じゃなくてお前のアパートに取り憑いている。
元々、家に取り憑くタイプだと思う。
三角の家からお前の家に鞍替えしたんだと思う。」
M「でも僕‥‥車の中にいて、三角の家には入っていないんですけど」
K「お前が取り憑き安かったんだ。
外すには、お前のアパートのすぐ近くに多分‥‥お稲荷様の祠がある、
わかるか?」
M「はい、見かけた覚えがあります」
K「其処はお前のアパートの周辺地域を守護している神様だから、
其処に頼んで外して貰いなさい」
M「でも、別に怖くないし、何も起こってないからやらなくても良い感じがしますけど‥‥」
K「それが一番危ない取り憑かれ方だよ、一刻も早く外して貰いなさい。
お椀にガチガチに塩を固めて、
祠のお供え台に、プッチンプリンを乗せる様に塩を乗せて、
『あなたの取り仕切っている地域に領空侵犯している者が居ます、
どうか追い払って下さい』
って祈りなさい。」
それから三週間、Mさんは動かなかった。
確認する度に、
M「今週は行こうと思ったんですがその日に雨が降って‥‥」
とか、
M「今週は仕事が忙しくて‥‥」
と、のらりくらりと、
言い訳をして、近くにある筈の祠に行かなかった。
Mさんが帰った後でKさんに聞くと、
私「なんででしょう?、Mさんって凄い怖がりで、いつもなら速攻で行動する筈なのに」
K「向こうが、そういう風に意識を誘導している、俺らはこれ以上は出来ない、
あくまでも手続きをするのはM本人に限られている」
との事。
そして四週間目に、やっと行動したとMさんが報告して来た。
M「祠にお祈りしたら、急に今までの状態が怖くなりました。
『なんで今までこんな怖い状態で平気だったんだ』
つて寒気がしました‥‥」
と言っていた。




