暗勁の実験台になった話。(続き) 伸筋抜骨の第二段階とは?
暗勁の実験台になった話。(続き)
伸筋抜骨の第二段階とは?
以前短編の『2.放鬆・伸筋抜骨について』
で書いたが、
まず伸筋抜骨の第一段階は
①リラックスして筋骨を引き伸ばす『陽』のやり方と、
②真逆の、ガチガチに筋骨を固めて圧縮する『陰』のやり方がある。
第一段階では、
『陰陽分明』できっちり分けて会得する。
その次の第二段階に入る。
そこでは『陰陽合一』を行う。
これで『一腕・一腕・一拳』が出来るようになる。
師匠の教えてくれたやり方は公開出来ないが、
以前書いた『お勧めの武術資料』の第一部分で書いた、
「柳生心眼流で公開された『剛身』で使う拳の握り方」が同質の技法に当たる。
DVDではなく『赤本』と呼ばれる復刊された書籍の方に詳細がある。
(恐らく同じ拳形を暗打として用いるT老師の通背拳も同じと考える。)
で、そこで上述した、
R老師の衝捶であるが、
この『一肘』が分からない限り、
まず再現不可能と見て良い。
形を真似ても、
①威力が伴わない、当たっても効かない。
②そして同時に相手に当たらない、相手が避けてしまう。
形意拳の崩拳が、
同じような体勢で打てるのは、
例えば右の崩拳を打つときは左腕(反対側の腕)で、
右拳のストッパーを作っており、
デコピンの様な状態を作っている為であり、
ストッパーを作らない八極拳では普通、出来ない。
今回習った『一肘』の使い方は、
上の二つの問題点が克服されている。
漫画『拳児』の中で、
李書文が劉月侠に稽古をつける描写があった。
身長も、リーチも劉月侠より小さいはずの李書文が、
ただ軽く拳を出すだけで、
劉月侠の攻撃が全く当たらずに、
一方的に李書文の攻撃が当たってしまう。
多分、この表現は、
原作者のM氏がB壇のS老師にやられた事をそのまま書いていると思う。
拳児で描かれる内容は、
おそらくは当時何故そうなるかはM氏には理解出来なかったが、
かなりの部分、M氏自身が体験して驚いた内容を、
素直に書いていると考える。
※以前、私の書いているこれに対しての感想で『これはフィクションだ』と書いた人がいたが、
こんな奇天烈な内容が想像で書けるなら、
今頃このなろう小説で一位でも取れているだろう。
私の才能は貧困で、
体験した事をそのまま書くしか出来ない。
話を戻して、
例えば、軽身功を使う盗賊が李書文をからかいに来た時、
李書文が槍で急に後ろを攻撃したシーンなんかは、
S老師が槍の練習をしている時に、
後ろでM氏が見学していた所に、
S老師がこれをやってM氏を驚かせたのではないかと師匠が言っていた。
更に戻して、
R老師の形意拳に似た衝捶の形は、
『一肘』を使う事で出来る様になる。
対人練習(寸止め)で、生徒同士でやってみて、
全く同じ現象が起きた。
普通の打ち方で来る相手に対して、
何故かこっちの拳を一方的に当てる事が出来る。
そして威力。
師匠「思いっきりは打ってはいけない」
と、言われた通りにやって、
師匠から食らった時と同じ様な相手の反応が起きる。
この結果には『呆れた』
なにせ、師匠がやったのと同様の現象が、
習ったその場にいた全生徒が出来たので。
(ただし、当然レベルの差はある)
師匠「だから、昔の術歌に有っただろう?、『秘伝とは己がまつ毛の如くなり、近くに有りても気付かざるべし』って。」
理屈は詳しくは書けないが、
「119ー武術のロマン技②界王拳」
で書いた、
「心意把の秘密」と同様の理屈が働いているらしい。




