012 システマについて
システマについて、
かつてソビエト連邦の特殊部隊の中で練習されていた軍隊格闘技、
その映像が初めてYoutubeに流れた時、
私の通う練習会でも、
かなりの驚きがあった。
瞬間にパシッと言う軽いはずの打撃を入れただけで、
相手が沈む。
私「これって本当に効いているんですか?」
師匠「やられた人間の反応は間違いなくきいている打撃、しかも速い、螳螂拳に並ぶ程のスピードでしかも利く打撃だ」
この動画を見た師匠の反応は迅速だった。
『少しでも多く情報を集めて研究して習う機会があつたら習う、そして会に技術を取り込む』
ディスカバリーチャンネルでの放送を録画して研究、
システマの日本支部があると聞いて其処から発売されたビデオを(主に私が購入して)師匠に見てもらって研究、
そして、日本での初めてのシステマの『講習会』があると聞いて、
多数のメンバーが参加を決める。
そして当日、
(私は二日間講習会の2日目に参加)
システマ講習会会場。
緊張したままトイレが近くなった私と二人程の生徒がトイレで用足しをしていると、
ぬうっ!
ティラノザウルスが高い所から覗く。
ニコッ
笑ったら、人間だと分かった。
(一瞬、捕食されるかと思った)
2メートル近い長身の外人の姿
「コンニチワー」
と言ってきた。
日本人の癖なのか思わずお辞儀してしまう私、
講習会が始まると、
その男が、今回の講習会の先生だと分かった。
最初に行うのは軽いストレッチ、
そして、
リノリウムの床で『受身の練習』
これで驚いた。
日本人の既成概念で、
受身の練習は、普通『畳』で行うというのがあったのだが、
いきなりそれを壊された感じであった。
師匠に聞くと、昨日もそれをやって、
ビジネスホテルで寝る時に身体のあちこちを擦りむいて痛かったとの事。
システマの先生(以下、先生と呼称する)曰く、
「実際は戦場で行うので、段階を進めると下に石やら木の破片やらコンクリートの破片などをばら撒いてその上を受け身する」
‥‥なんかとんでもない所に来てしまった気がする。
受け身の練習が終わったら、
呼吸法の練習。
呼吸法で横隔膜の緊張を取って行くと言うもの。
二人でペアになって軽くお腹を打撃して(勿論痛くない程度に加減して)力を抜いて行く。
それをやっている時に、
先生を見ると、
何やら向こうのペアにアドバイスをしている。
柔道か何かやっているだろう、
かなり横に大柄な体格の受講生
先生は軽く拳でその受講生の腹を打つ。
バッチイイイイイン!
物凄い音がして、
体重120キロはあるだろうその受講生が膝から崩れ落ちる。
皆んな目が点になる、
勿論私も。
先生は順繰りに受講生に打撃を入れて行く。
私の所に来た!、
ドン!
「¥$€%#☆‼️」
工事用の杭打ちハンマーで打たれた様な衝撃がくる。
必死に呼吸法で耐える。
な、なんとか耐える事が‥‥
ドドん!、
当てたその拳で二度打ちが来た!
その瞬間、
チカッと目の前に光が見えたかと思ったら、
目の前が次の瞬間真っ暗になった。
あ、このままだとヤバイ!
必死で呼吸法を行うと、
徐々に回復して目の前が明るくなる。
先生は
「もう一回できるか?」
聞いているっぽかったので慌ててノーサンキューをした。
見たことのない、打撃が珍しかったのか
生徒は結構その打撃を体験してみたくて、
ちょくちょく先生にリクエストして、
結果、悶絶していた。
さてさて、
そんなこんなで、
受講は続き、
適当なペアをまた組んで、
練習を続けていると、
受講生が何故か私に質問してくる。
資料を集めて数ヶ月前から動きを『予習』してきた私や同会派の生徒を、
システマの生徒だと勘違いしているっぽい。
しかし下手な事は言えないので誤魔化す。
終了後に他の生徒に聞くと、
やっぱり受講生からシステマ日本支部の生徒と間違えられたという。
師匠は、その後、
システマを色々研究して、
多くの事を中国武術に繋げていった。
日本には今のところ、
M師範の系統のシステマしか導入されておらず、
M師範は、どんどんシステマを変えて行き、
丁度、晩年のA道のU翁の様な状態になっているっぽい。
多くの日本人がシステマを捉え所の無いものと感じ始めている。
出来ればK師範の系統のシステマ(創始者がエンジニアの為、全て力学で論じられる)
に来日して欲しい。