116 八卦掌の風景ー角度の変え方
八卦掌
角度の武術、
方向の武術。
角度を変えて打つ。
方向を変えて護る。
「それがどうした?、そんな事、どの格闘技でもやっているじゃあないか?」
と、お思いの貴兄、
そんな貴方に、当会の八卦掌は如何でしょう?
今なら、頭金8000円、月6000円の10年払い、
毎週日曜日の--------
と、言いたくなるような、体験、
あ、
でも、
十年じゃ無理っぽいな~
と、師匠の技を喰らいながら思ったそんな数年前の、
練習後のアフター。
はじめは散手、
師匠はゆっくり目に手加減した攻撃を出してくれ、
私は、それを凌ぎきる。
師匠「じゃ、次はどうかな~」
師匠が僅かに体の向きを変え、
先ほどと同じ攻撃をかける。
あれえ?
師匠、一歩も下がってないのに、遠くなった?
師匠、スピード変わってないのに、速くなった?
こっちの攻撃が、
届かない、
届かない、
届かない、
そこにいる師匠は遥かに遠く。
私の防御をすり抜けて、
ぺち、
ぺち、
ぺち、
ぺち、
遠くにいってしまった師匠の攻撃は、
異様に近い。
近くにいるのに遠い師匠、
遠くにいるのに近い師匠、
そうか、
これは、魔法だ!!
きっと、空間を曲げる魔法を使っているんだ!!
あるいは、催眠術か!!
師匠「現実逃避するんじゃない(苦笑)」
いや、師匠の方が現実離れしてますって!
師匠「本当の意味で、角度を変えると、こうなるんだよ」
師匠の説明は、以下の通り。
戦いには、『局面』というものがある。
向かい合って打ち合うと、
そこに、囲碁のような、『戦術の碁盤』が出来る。
通常の戦いは、
そこで、手足を使って、囲碁のようにやり取りをする。
手足が、置き石。
ほれ、手を出してみな、
ここに来た手を、こう押さえ、
ここから打つとこう受ける。
そこをこう手を出すと、此処に隙が手来て、
ほれ、お前のレベルだと、ここで詰み、
(ぽん、と師匠の手が私の脇を打つ)
だが、八卦掌は、
碁盤の位置そのものがずれてしまう、
それが理解できずに相手は、石を置く、
碁盤の位置と角度がずれて、
相手の置く手は、すべて『失手・悪手』
こちらに届くわけがない。
こっちは、ずれた位置、角度が解っているから、
碁盤にちゃんと石が置ける。
説明をしながら超スローで散手をやる。
やはり、空間が歪んでいるようにしか見えない。
師匠「碁盤の位置を『誤認識』してるからさ」
私「直す方法は無いんですか?」
師匠「あるよー(笑)」
回れ、右。
完全に、師匠から目を離して、
師匠を無視して、
整理体操、一、二、三、四~
もっかい回れ、右。
師匠と対峙。
師匠「ほれ」
防御できた!
攻撃届いた!
師匠「要するに、リセットするんだね~、でも、」
きゅっ、
また師匠が僅かに動く。
うわ!、ずっこい!
師匠「すぐ同じ事になるけどね~」
よし、リセットだ!
回れ、右、
整理体操…………
ぺち、
ぺち、
ぺち、
ぺち、
後頭部を数発はたかれる。
師匠「な~にを散手の最中に敵に後ろ見せてるんだ~(笑)、死ぬぞ~(笑)」
…………畏るべし、師匠。
師匠「俺と散手中に背中を見せるお前が畏るべしだよ、いや確かに俺が教えた方法だけどさ(笑)」




