110 自作の剣(演武用)の重心位置に関する考察
かなり昔、
独鈷杵製作用のグラインダーを使って、
中国剣を作ってみたことがある。
材料は、木とアルミ。
ステンレスや鉄で作ると逮捕されるので注意。
というか、
独鈷杵制作の時に、
ステンレス棒を削ってみて、
あまりの硬さに早々あきらめた自分としては、
そっちは最初から材料から排除。
そんな手間暇をかけるなら、
最初から、市販の演武剣を買う。
この手の工作にかかる苦労と苦痛と時間を、
時給で換算して、
休息に当てた方位がいいと判断できる。
それだけ鉄・ステンレスは割に合わない。
で、アルミの細長い板を買って、
グラインダーで削って剣にして、
柄は百円ショップのおもちゃ剣のもの切って使い、
パテで剣身に固定。
師匠に見せる。
師「んー、剣の重心が真ん中だなあ、もっと剣先にしないと」
重心?
師「俺の剣、振ってごらん」
ひょい、ひょい、
師「で、こっちがお前の作った方」
ひょい、ひょい、
あー、確かに師匠のは、剣先が重い。
振った勢いが剣先に集中する。
自分の作ったのは、真ん中あたりが重い。
師「Kの木剣は先っぽに鉛の重りを仕込んだんだよな」
K「はい、市販のでも重心が悪かったんで」
見ると確かに、木剣の先に穴があいて、鉛が突っ込んである。
K先輩から借りて振ると、
師匠のと同じく先っぽに勢いを感じる。
師「とにかくそのあたりを何とかしないと、武術の練習には使えないよ」
うちに持って帰って対策を考える。
何か剣先に重たいものをひっつけるか?
いやしかし、
重くなるのは練習でつかれてしまう(←へたれ)
軽い木剣で練習しても、とっても辛いのに(←ど・へたれ)
そこで変なことに気が付く。
師匠の剣。
ご存じ、ごく一般の演武用の中国剣
要するに金属。
要するに、先っぽがぺらぺらでしなる。
根っこの方は身が厚い。
ここ重要。
どう考えても、
質量的に、重いのは根っこの方で、
先っぽは遥かに軽い。
なのに、重心は先端にある。
何故?
と言うわけで、
私の自作剣、
先っぽを削って細くして、
質量配分を、根っこは重く・先端を軽くした。
結果、
なんと!、
振ったときに剣先が重くなった。
…………意味わからん!
その後、龍泉剣という、
武術用にちゃんと重心が作られた中国剣を手に入れる。
(ネットなどで調べると、現在中国でまともな機能性があるのは龍泉剣だけだという)
振ってみて、非常にうまく重心配分が出来ている。
ちなみに東京の方までETC土日割引を利用して店に訪ねて手に入れた。
武道店のおっちゃん曰く、この剣は
「重心調節が出来るように作られている」
とのこと。
方法は、
「剣の柄に鉛を仕込む場所があり、そこの鉛の数を調節する」
のだそうな。
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つまり、
剣先を重くするためには、
剣の柄の方に重りを入れる。
結論として、
K先輩のやりかた(先端を重量的に重くする)と、
逆の方法(柄の方を重くする)と、
二つの違う方法で、
「振ったときに剣先に重さが出る」
と言うことになる。
建築関係の人に聞くと、
「柄が重いと、軸心が柄に来て、剣の先端が良く回せる、振れるのではないか?」
との事である。
師匠から、素手拳法で、
師「相手を打つときに、拳に体重をかけるな!」
とよく言われるが、果たして関係があるのだろうか?
拳の時と武器の時は体の使い方が違うとも言われるので、
合っているかどうかは解らない。




