011 わざと飛んでない?
わざと飛んでない?
日本の三大武道の一つ、
A道。
その演武を見ていると技を受ける方がわざと大袈裟にぶっ飛んでいる様に見える。
実際の所どうなのか?、
まずは、A道には、
『受けを取る』と言う思想がある。
技を受ける方が、理想の技の掛かり方をして、
掛け手を導くと言う姿勢の事。
これは掛け手を短期間で上達させると言うメリットがある。
しかし、相手が抵抗したり、意地悪をしたりすると掛からなくなってしまうと言うデメリットもある。
実際の場で相手もある程度の武道、格闘技の経験があると、
当然意地悪をするので、
効かなくなる事が多くなる。
そしてそれをどうするかを、道場では教えない事が多い。
其処から先は自分の工夫と言う事になる。
もう一つは、これは太極拳でも重要な方法論で、
『捨己従人』をやった場合である。
システマでは『エスケープ』と言う。
システマでは、打撃をされた時、
その打撃の軌跡で『打撃が綺麗に入り、大きくやられた動きをする』事で、
ダメージを軽減させることができる。
または敵の拳が到達する前に、
自分自分から先に喰らった動きをわざとする事で敵の拳を『外す』事ができる。
これは何度もゆっくり殴られる事で、
軌跡をおぼえて、
相手の瞬間的な動きから、身体が避ける様になる。
システマの動画などで、
触らずに相手を飛ばす様な映像があるが、
あれは高速の当身に対して、
当たっても当たらなくても、
喰らった方向、あるいは喰らったかも知れない方向に飛んで逃げる事によって、
もしかその打撃が当たっていてもダメージ軽減でき、当たらなくても相手との間を取ることができる。
私は入門して暫く、
上位の生徒のショアイ(投げ技)を喰らうのが嫌だった。
①倒れないように粘る、
②それでも倒れる、
③ビターンと畳に身体を強打、
④悶絶する。
このパターンだったが、
ある日、
①息を吐きながら力を抜いて、
②相手に逆らわないで、
③力を抜いてへにゃっと倒れる。
これで上位の生徒の投げが痛くない事に気がついた。
その方法で倒れている内に、
感覚的に、
『逆らうと痛い目に合う時の相手の技の質』
『逆らっても平気な技の質』
がわかる様になってきて、
相手が正確な師匠の指導どうりの技をかけて来た時だけ倒れるようになった。
それが無意識になってしまっているので、
ある質の力が来た時だけ、
無意識に吹っ飛んでしまう様に、
私の場合はなった。
それは面白い事に、
打撃で良いのが入って来る場合にも無意識的に倒れる事になった。